スーパーロボット大戦

〜OVER THE GOD〜

第一章  異界激震編

第一話 青い稲妻

 

グレートミッションの最中に突如として現れた謎の怪異現象。

宇宙空間に切れ目が走り数多の異世界がその姿をのぞかせた。

そして、その亀裂はだんだんと一つになっていき、そして、セカンドウェーブの通過と共にそれは消えていた。

地球圏に突如として現れたその現象は現段階でも調査が続いているがその調査の進展は一向にあがらなかった。

その日を境に世界規模で行方不明事件が勃発し其の現象との関連性も調査されている。

 

鬱葱と茂る森の上を一機のロボットが飛行していた。

背面に装備された翼状の推進器から風を発しそれは飛行していた。

その機体の周りは空気が渦巻いている。

青を基調としたカラーリングをしたその機体の中で同じく青い髪と空色の瞳をした青年が唸っていた。

「う〜む・・・ここは何処だ?」

彼の名はトール=セルヴァイス。

ホライゾンと呼ばれる世界で愛機であるワイバーンと共にとある宗教と戦っていた。

だが、とある作戦の最中に突然、空に切れ目が走りそこに飲み込まれ気づけば見知らぬ場所に墜落していた。

幸いワイバーンの損傷は軽微で自己修復能力で直ったのをきにあたりを索敵しているのだが一向に何も見えてこない。

明らかに空気が自分が住んでいた場所とは違う。

空気循環・・・風を操る機体に乗っているからこそ分かることだが・・・

「さて・・・どうしたものかな・・・」

せめて村の一つでもあれば情報収集も出来るというのにそれどころか人一人見つけられない。

このままでは餓死してしまう恐れも存在する。

そればかりは避けたいところだがいかんせん後は運に頼るしかないのが現状だ。

「あぁ、なんか腹減ってきたなぁ・・・作戦前にもっと食っときゃよかったぜ・・・このまま行けばミイラになれるかもなぁ・・・

別に憧れてないけど・・・」

そんなことをぼやきながらトールは飛んでいると突然、レーダーに反応が現れる。

距離はそれほど離れていない。

だが、その反応は明らかに機動兵器を示していた。

「メタルレプリカか・・・敵か味方かも分からないがとにかくこのままじゃらちあかねぇしな」

意を決するとトールはその方角へ向かって機体を旋回させた。

 

「そこまでして勝ちたいのかバーン!」

青い虫のようなロボットに乗った青年が目の前に滞空する同じ系統のロボットに向かって叫んだ。

まるでてんとう虫のようなロボットだ。

「五月蝿い・・・私はなんとしてでも貴様を討たねばならんのだ!」

バーンと呼ばれたてんとう虫ようなロボットのパイロットが叫んだ。

その目は追い詰められたもののそれだった。

ここまで来てしまった者は己の目的を達するためにならどんな手でも使ってくる。

「これはオレとお前の勝負のはずだ。チャムは関係ないはずだぞ」

「そうよ、離しなさいよ!」

バーンの手に捕まっている小さな妖精の様な少女が叫んだ。

「だが、このミ・フェラリオのオーラがお前の力を増幅してるとも言えるのだ。それではフェアではない」

「そんな小さなミ・フェラリオのオーラでオーラバトラーの性能が変わるものか」

「ショウ!どういう意味よ!」

「そのまんまの意味だ」

「なによ!私にいつも助けられてきたくせに!」

「何時だよ!」

「何時もよ!」

「えぇい!喧嘩を始めるな!」

「きゃぁ!」

自分を無視して喧嘩を始めたことに怒りを覚えたバーンはチャムを握る手の力を強めた。

「やめろ!」

「ならば勝負だ。ショウ=ザマ!」

「くっ・・・いい加減分からないのか。ここはバイストン=ウェルじゃないんだぞ。地上でもないんだ。そんなところまで来て争う必要があるのかよ!」

「何処であろうとも貴様は私の敵だ。この挑戦・・・受けられるのなら」

「くっ・・・」

チャムは人質は人質だが勝負をさせる理由として扱っているらしい。

この二人は因縁があるらしいがショウのほうはそこまで相手を憎んではいないようだ。

だが、バーンのほうは違った。

完全なる私怨で目の前の敵を怨んでいる。

そして、それはショウを倒すまではやみそうになかった。

そのオーラはオーラを力に変えるオーラコンバーターを介して周りの空気をゆがめているようだった。

「分かった・・・だが、チャムは開放しろ」

「あぁ・・・それで全力を出せなかったといわれたくないからな」

バーンはそういうとコクピットを開け放ちチャムを外に放り出した。

チャムは自分の羽で飛ぶとショウのほうへと飛んでいこうとする。

「チャム来るな。下がっていろ」

「ショウ・・」

「でなければバーンに撃ち殺されるぞ」

ショウの言うとおりだった。

バーンは自分の機体であるドラムロの腕をチャムに向けている。

そこはフレイボムと呼ばれる火炎弾を飛ばす兵器の発射口だ。

オーラバトラーの装甲にもダメージを与えるその威力ならミ=フェラリオなど一瞬にして蒸発できるだろう。

チャムは青い顔してそのばからそそくさと離れていった。

「これで邪魔者はいない・・・勝負だショウ!」

「あぁ、受けてやるよ。バーン!」

ショウのダンバインとバーンのドラムロ。

二機はオーラソードを抜くとそれぞれのオーラを高めた。

「おぉぉぉぉぉ!」

「はぁぁぁぁぁ!」

二機は真正面から敵に向かって飛び出すと剣と剣を打ち付けた。

オーラとオーラがぶつかり合い激しい光が奔流となりてあたりを照らし出した。

背面のオーラコンバーターから大気中のオーラを吸収しパイロットのオーラを増幅していく。

「たぁ!」

ショウが力を込めるとダンバインがドラムロを弾き飛ばす。

「くっ!」

完全に力負けをしているその隙をつきダンバインは追い討ちをかけようとオーラソードを振り上げた。

だが、そこで勝負が終わるほどにバーンは甘くは無い。

腕を振り上げフレイボムを打ち出した。

ダンバインはそれを紙一重でかわす。

だが、その動作の為にドラムロとの距離が離れてしまう。

「ちぃ!」

ダンバインは左腕のオーラショットのトリガーを引くとオーラを纏った弾丸を撃ち出した。

ドラムロはそれを回避するがオーラショットが間近で爆発する。

その爆発は大きく膨れ上がりドラムロを吹き飛ばした。

「なんだ!」

ショウはその光景を見て驚きの声を上げた。

どうやらその威力はショウにとってはいがいだったらしい。

「そういえばショットから聞いたことがあるがバイストン=ウェルは武器の威力を下げる何らかの結界がはってあるらしいが・・」

どうやら、オーラバトラーという兵器の武装は作られた世界であるバイストン=ウェルではその力が弱まってしまうらしい。

ということはオーラバトラーはバイストン=ウェル以外の世界のほうがその力を引き出せるということだ。

「意外な決着のつきかただったが・・・バーン。せめてその魂だけでもバイストン=ウェルに戻れればいいが」

ショウは未だに収まらぬ爆煙を見つめながら呟いた。

だが、その先でショウは更に信じられぬ光景を目撃する。

煙が晴れたそこから無傷のドラムロが現れたのだ。

オーラバトラーの装甲ではあの爆発に耐えられないはずだが・・・

よく見るとドラムロの周りに薄い膜のようなものが張られている。

「ふはははは!残念だったなショウ!この世界は私のオーラを増幅している。どうやらこの世界は私を歓迎しているようだな!」

「くっ・・なんだって!」

「残念だったなショウ!名前も知らぬ大地の土となれ!」

ドラムロがオーラソードを構え突撃してくる。

それをダンバインは受け止めるが先ほどとは違い今度はダンバインが弾き飛ばされた。

どうやら、あの爆発を防いだバーンに対して恐怖心のようなものがついてしまったらしい。

気持ちが負けてしまいそれがオーラに影響したのだ。

「くっパワー負けしている・・・」

「勝負あったな!」

ドラムロが更に追い討ちをかけようとダンバインの懐に飛び込もうとする。

「南無三・・・」

ショウは念仏を唱える。

もはや、後は生き延びることを天に祈るだけだった。

その願いが届いたのかは分からない・・・

だが、ショウは生きていた。

そして、目の前ではドラムロの腕がオーラソードごと吹き飛ばされている。

「何が・・・起きたんだ?」

事態が飲み込めないショウはただ、目の前のドラムロを見つめていた。

「くっ・・・何者だ。一対一の真剣勝負を邪魔する奴は!!」

バーンが叫ぶ。ショウを倒せなかったことよりも一対一の勝負に水を差されたこと事態が頭にきているらしい。

 

バーンが叫ぶその目の前にはコウモリのようなロボットが飛行している。

三機編隊のそれは一斉に口から超音波のようなものを発した。

ダンバインとドラムロは離れるとその攻撃を回避する。

「何者だこいつら!?」

「この世界の機動兵器か・・・面白い。勝負の邪魔をすることの愚かしさを教えてやろう!」

「やめろバーン、その損傷で突っ込めば死ぬぞ!」

「五月蝿い、あのような卑しきものたちに敗れる騎士ではない!」

バーンのドラムロは其のコウモリに向かい飛び掛った。

だが、片腕を失いオーラソードすらも失ったドラムロでその三機を相手にするには分が悪すぎた。

フレイボムを放つも回り込まれ片足を吹き飛ばされる。

「ぐわぁ!」

「下がれバーン!」

ショウのダンバインがコウモリに接近するとオーラソードを振るった。

浮遊しているそれは攻撃を回避すると距離をとり超音波を放った。

「うおぉぉぉぉ!」

ショウは叫んだ。

それはオーラバトラーのダンバインの力を増幅させる。

そして、光の膜が展開し超音波を防いだ。

「出た・・・」

ショウはその光の膜、オーラバリアが展開されたことに驚いていた。

だが、それは確実にダンバインの性能を向上させる要因となる。

今はよろこんでしかるべきことだ。

「ここはオレに任せろ」

「なんだと・・・貴様に任せて逃げるなど・・」

「勝負がつけられなくなるぞ。今度、あったとき万全の状態で相手をしてやる。今は下がるんだ」

「くっ・・・えぇい、今日のところは任せる」

バーンはドラムロを戦場から後退させる。

その後を追おうと一機のコウモリが加速する。

そのコウモリに突然、一本のダガーが突き刺さった。

頭部に突き刺さったそれは火花を放ちながら完全に突き刺さっている。

「不意打ち好きには不意打ちをってな」

突然、そこに風の翼を広げた一機の翼竜が現れた。

青きそれは超高速でその戦場に駆けつけるとコウモリに突き刺さったダガーに手をかけそのまま一気に振り下ろした。

火花が散り装甲が削られながら切り裂かれる。

そして、盛大な爆発を起こし四散した。

「何者だ!?」

「少し聞きたいことがあるんだよ。そこのコウモリより話しが通じそうじゃん」

「聞きたいこと?」

「オレの名はトール。ともかく、こいつらを倒した後にしようぜ」

「あぁ、オレの名はショウ。今はお前を信用する」

実際に戦力的にきつい状態での加勢は嬉しかった。

それに下手に刺激して敵に回られても困るというものだ。

 

ダンバインはオーラショットを連続して放った。

大爆発が響き次第にコウモリを追い詰めていく。

そして、動きが完全に鈍った。

そこを目掛けてダンバインが青白い光を放ち加速する。

「オレのオーラ力を受けてみろ!!」

オーラソードに青白い光が纏わり発光した。

膨大なエネルギーが刀身に宿る。

そして、コウモリを頭上から両断した。

まさに一閃。

一撃で敵を切り裂くその威力は凄まじいの一言である。

 

ワイバーンは風の翼を広げコウモリの超音波を回避していく。

「当たるかよ」

まるで戦闘機のようなスピードで飛行しながらワイバーンは急激に旋回する。

それはもはや旋回ではない。

人が向きを変えるように方向をかえ急加速を繰り返している。

普通の人間では耐えられないようなGが発生しているにも関わらずトールは平然とした様子でそれを行っている。

そして、敵の攻撃をかわすと同時に一気に下降し下に回ったかと思うと一気に加速し敵の背後に回りこむ。

「唸れ!チェーンダガー!!」

ワイバーンは右手に握った高速回転する鋸状の刃を持つダガーで一気にコウモリの背中を切り裂いた。

だが、それでは流石にとどめには遠いらしい。

反転し攻撃をしかけようとするコウモリに追い討ちかけるように左手のチェーンダガーを突き刺した。

それがとどめとなり爆発する。

 

戦闘終了後

トールとショウはお互いの機体を大地に下ろし顔をあわせていた。

「助かった・・だが、お前は何者だ?」

ショウは不審な目線でトールを見つめる。

まぁ、いきなり現れ助けてくれたとはいえ味方とも限らない。

「トール=セルヴァイス。まぁ・・・なんていうのかな?こことは違う世界からやってきたってことは説明できるけど」

「別の世界・・・バイストン=ウェルか?いや、違うな地上でもなさそうだし・・・」

「バイストン=ウェル?地上?よく、分からないが・・俺の世界はホライゾンって呼ばれてたな」

「ホライゾン・・・聞いたことが無い世界だ」

「その口ぶりだと・・・この世界の人じゃないのか?」

「あぁ・・・オレはバイストン=ウェルからやってきた。その前は地上なんだが・・・まぁ、とにかくここの世界の住人ではない」

「そうか・・」

トールは少し残念そうな表情を見せる。

だが、直ぐにその表情は変わった。

「ということは仲間だな」

「仲間・・・」

「そうそう、お互い他の世界から来ちまったもの同士。協力しようぜ」

「・・確かに一人で行動するよりも安全だな。あんな物騒な奴らもいることだし・・・それにかなりの腕のようだしな」

「そうでもないぜ。オレよりも全然、そっちのほうが動きが良かったぜ」

「オレの名はショウ=ザマだ」

「ショウ・・・ショウか。オレの名はトール=セルヴァイス。それじゃあ、これからよろしくな」

「あぁ・・・」

「あぁ!いたいた!」

そこにチャムが飛んでくる。

相当探していたのか疲れ果てている。

「なんだ!?」

「そっちの世界でも妖精は珍しいみたいだな」

「私はミ=フェラリオよ」

「分かってるよ。こいつはチャム。まぁ、オレの相棒みたいなもんだ」

ショウが説明するとトールは興味津々の様子でチャムを見ている。

「この人誰?」

「さっき助けてくれたトール=セルヴァイスって言うパイロットだ」

「貴方がショウを助けてくれたの。ありがとう」

チャムは素直に感謝の気持ちを伝えた。

「おう、これからはよろしくな。短い付き合いか長い付き合いかは分からないが・・・ともかく、よろしく頼むぜ」

トールはそういうと手を差し伸べた。

「あぁ、できればさっさと元の世界に帰りたいけどな」

「違いない」

トールとショウはその手を握り合うとお互いに笑いあった。

青い稲妻と呼ばれるトールと聖戦士と呼ばれるショウの出会い。

この出会いが二人の人生にどんな意味をもたらすのか分からない・・・

だが、このまるで闇に包まれたかのように先の見えない現状ではそれは心強い味方であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

青い稲妻と聖戦士の目の前に現れた空飛ぶ学校。

そして、大地に突き刺さる巨大な剣・・・

大いなる力・・・神の武器ダイソードが目覚める時

大いなる災いが世界を包む・・・

異世界の来訪者をこの世界はどう受け止めるのか・・・?

 

次回

スーパーロボット大戦〜OVER THE GOD〜

第一章 異界激闘編

第二話 神の剣

混迷の世界に青い稲妻が降り立つ