スーパーロボット大戦
〜OVER THE GOD〜
第一章 異界激震編
第二話 神の剣
「にしても、ここは本当に何も無いな」
トールは足元に広がる木々が生い茂る森を見下ろしながら呟いた。
かれこれ2,3時間は飛んでいるが何も見えない。
ワイバーンとダンバインの巡航速度ならかなりの距離を進んでいるはずなのだが何も見えない。
「これだけ広い世界だ。見逃したのかもしれないな」
「それだけは勘弁して欲しいぞ」
ショウの言葉にトールは青い顔をしている。
自分にはなすべきことがあったのだ。
あまり、時間はかけたくは無かった。
それはショウにとっても同じことだ。
「ねぇ、ショウ。あっちのほうで何か大きなのがとんでるよ」
チャムが右斜め前を指差して告げた。
二人はその方向に目をやるとそこには巨大な建造物が見えた。
「・・・なんか、浮いてるぞ」
トールは不可思議なそれを見つめ疑問符を浮かべている。
「そうみたいだな・・・あれは!?」
ショウは目を見開き驚いている。
「見覚えでもあるのか?」
「いや、実際には無いが・・・アレに似ているものを見たことがある」
「それじゃあ、バイストン=ウェルってところの・・・」
「いや、違う。あれは地上のものだ・・・あれは学校だ」
九江州中学校
そこは何処にでもあるような普通の中学校だった。
だが、ある日の朝・・・イージス計画の翌日にそれは起きた。
突然の雷鳴と共にこの中学校はその敷地ごと空間を飛び越えここに現れたのだ。
そして、中学生たちは訳も分からないまま異世界へと飛ばされ・・・
そして、何者かの襲撃を受けていた。
空を飛ぶ竜が学校の壁に突っ込みその背から大量の象ににた化け物がなだれ込んでくる。
校庭にも似たような化け物が次々に現れていた。
そして、職員室があった場所に一つの大きな剣が突き刺さっていた。
その剣はとても大きく学校よりも大きいほどだった。
そんなわけの分からない状況に追い込まれ中学生たちは逃げ惑っていた。
そんな中、一年生の百地王太は一人の少女を連れて逃げ惑っていた。
見ず知らずの少女・・・王太にはその少女の言葉が頭の中に流れ込んでいた。
剣を抜いてくれ・・・剣を封印している鎖を外してくれ・・・
その言葉を信じた王太はそれが自分たちの存命につながるならと一途の望みをかけることにした。
そんな、おり全校放送が流れる。
突然のことに生徒はおろか化け物たちも驚いていた。
「あぁ、ただいまマイクのテスト中。こちらは生徒会・・・これより全校に・・・
ベートーベン作交響組曲第五『運命』を流します」
突然のことに生徒たちは目を丸くしている。
突然の襲撃もそうだが生徒会のいきなりの発言にもまいっている。
だが・・・
「反撃してください」
その一言と流れ出す軽やかな音楽が・・・
中学生の意思に火をつけた。
逃げ惑っていた生徒たちは一斉に蜂起し大反撃が始まる。
化け物たちは突然、流れ出した音楽に驚き足並みを乱していた。
最高の反撃だ。
王太はその隙を突いて巨大な剣を駆け上る。
「これで助かるってんならこんな鎖なんてたたきってやる。
だけど、こんな巨大な剣が抜けたってどうなる?なんか、特別な方法があるなら教えてくれ」
王太は少女に語りかけた。
確かに抜けたとしてもこんなもの扱えるわけが無い。
「(心で・・・心で掴んで。見かけの姿に騙されてはダメ。心でならどんな大きなものでもその手に出来るから)」
少女の声が王太の頭に直接投げかけられる。
だが、竜に乗る兵士の鎖が王太と少女をそのまま剣を絡めとっていく。
どうやら、敵はこの剣を持っていく気だ。
王太はこれにどんな意味があるかは分からなかった。
だが、このままむざむざやられるわけには行かない。
「(剣を・・・剣を引き抜いて・・・心でならどんな大きなものでも・・・)」
「こんなわけの分からないところで・・・殺されてたまるかぁ!」
王太は両手を広げた。
手に握り締めた剣で巨大な剣に巻きつけられる鎖を切り離す。
そして、心の中で巨大な手を大きく広げる。
その手は巨大な剣の柄を握り締め引き抜いた。
巨大な剣は見る見るうちに人型へと変わっていく。
そして、校庭に一機のスーパーロボットがその姿を現す。
その頭部に王太と少女は乗っていた。
「なんだ?何があった・・・なんなんだこれは?」
王太が手を上げるとそのロボットも手を上げる。
どうやら、思い通りに動くらしい・・・
突然のことに王太は混乱していた。
「ねむい」
突然、声が聞こえてきた。
「何処だ?何処にいる」
「私はお前と共にある。私は剣・・・お前の力!」
王太は突然の声に驚いていた。
「我が名はダ・イスォウド。“主たる者の力”の意だ」
「だ、大ソード・・・そりゃいいや」
少々、間違っているがさほどではない。
それに王太の知っている言葉からすればダ・イスォウドの巨大な剣の姿ならダイソードのほうがしっくり来る。
「わたしを目覚めさせたのはお前か!?」
「はいっ!」
いきなりの言葉に王太は思わず返事をしてしまう。
「そうか・・・ならば仕方ない。古の契約により今より七たびめざめて七たび力をかそう・・・だが!
私は眠い」
「はっ!?」
突然、眠いといわれて王太は驚く、この剣にも睡眠欲があるのだろうか・・・
「あまり起こすな!」
ダイソードはそういうと目の前から迫り来る巨大な飛竜を殴り飛ばした。
そして、視界が開け・・・王太はまじまじと外の世界を見下ろした。
そこは今まで見たこともない世界だった。
確かなことは・・・自分が住んでいた世界ではないということだけである。
「巨大な剣が変形した・・・すげぇ」
トールはダイソードの変形を見て素直に感心した。
「あれはどうやらあの学生たちの味方らしいが・・・俺たちも加勢しよう」
「そうこなくちゃな!」
トールはショウの意見に賛同すると二機は推進力を上げて加速した。
王太はダイソードを操り竜を投げ飛ばしていた。
このダイソードは非常に頑丈で竜の火炎ぐらいではビクともしない。
更に王太の思い通りに動き自分が発揮した力を増幅してたたき出していく。
モビルスーツやアームスレイブなんか問題にならない操縦のしやすさだった。
これならば素人の王太でも戦える。
だが、敵の攻撃は学校にも飛び火していた。
自分の学校が・・・同じ中学生が攻撃にさらされる。
王太の心に怒りの炎が満ちた。
そして、叫び声を上げる。
「これ以上、学校に・・・火ぃふくんじゃねぇ!」
王太が叫ぶとダイソードの瞳から炎がほとばしり竜を焼き尽くしていた。
その火力は竜の撃つ炎とは比べ物にならないほどに強力だ。
「・・・ダイソードがやったのか?」
「わが七魔力のうち一つ、フレイムスコールだ。お前が遠くの敵をしとめたいと思ったから出たのだ。
驚くほどのことではない」
そうは言うものの王太は驚いていた。
これほどの力・・・ニュースで見ていたモビルスーツの力を超えているのではないのか・・・
そう、もはやこれはスーパーロボットと呼ばれる者たちの域に達している。
「おまえ名はなんと言う?」
「はっはい・・・王太。一年B組百地王太・・です」
王太はダイソードから発せられるプレッシャーに押し負けていた。
「どうやら・・・まだ、敵はいるようだな」
ダイソードはそういうと遠くの方角を見た。
そこにはコウモリ型のロボットが3機編隊を組んで飛んでくる。
「さっきのとは違う」
「どうやら、奴らもこちらを狙っているようだが」
「だったら・・・叩き潰すだけだ」
さっきの戦闘で疲れてはいるがあれに対抗できるのは自分だけだ。
王太は力を振り絞りフレイムスコールを撃つ。
コウモリ型のロボット・・・ハルパスはそれを器用にかわしていった。
そして、超音波を発して攻撃を仕掛けてくる。
その攻撃にダイソードはさっきよりもダメージを受けていた。
「くっ、さっきの化け物よりも強いぞ!?」
何とか振り払おうと腕を振るうが相手が飛んでいて思うように当たらない。
そこに足元からカメレオンのようなロボット・・ボフリィが舌を伸ばしダイソードの足を絡めとる。
「うわぁ!」
ダイソードはそのまま転ばされそこにハルパスが落下し突撃をかけてきた。
度重なる攻撃にダイソードは大したダメージを受けていないがその衝撃で王太は倒れかけている。
「その程度か、神の剣ダイソード」
そこに一機、馬のような顔をしたロボットが現れた。
それは他の二機種に比べて違うオーラを放っている。
「くっ・・・何なんだ。お前らは?」
「オレは神の剣ダイソードを回収するように言われてきた・・・修羅軍のアリオンだ」
「修羅軍・・・!?くっ、そんな訳のわからない奴らに・・・!」
ダイソードはボフリィの舌を掴むとそのまま引き剥がし投げ飛ばした。
そして、アリオンと彼が乗るロボット、アガレスに挑んだ。
「まだ、動くか・・・流石はダイソードだな・・・だが」
アガレスがいきなり二機に分かれた。
突然のことに王太は驚き動きを乱す。
その隙を突きアガレスは二人がかりでその拳をダイソードにたたきつけた。
ダイソードは吹き飛ばされ校庭に倒れこむ。
「ははは・・・たいしたこと無いな。まぁ、乗り手が素人だから仕方ないか」
アリオンはあざ笑いダイソードを見下ろしていた。
王太は意識をなんとか保ち相手を見ていた。
実力が違う・・・いくら、巨大な力を持っていてもそれを操るものが巧くなければ・・・
「く・・・」
「わたしの力ならあの程度の敵、相手ではない」
「だけど・・・」
「お前がその意識を失えばわたしは元の剣に戻るぞ」
「くそ・・・」
王太は何とか意識を保つが体を動かせないでいた。
さっきからのダメージで意識が途切れそうだ。
このままで学校の皆が殺されてしまう。
どうにかしなくては・・・だが・・・
「そこまでだ!」
「お前らの相手はこのオレだぁ!」
突然、ミサイルが降り注ぎハルパスを二機吹き飛ばした。
突然のことにアリオンは驚き顔を上げた。
そこにはダンバインとワイバーンが高速で飛来してきた。
「オレがあの馬面を叩く。トールは周りの雑魚を頼んだ」
「分かった」
ダンバインがオーラソードを抜き放ちオーラ力を高める。
青白い光が宿りアガレスに挑みかかった。
「報告にあった紫と青のロボットか・・・とんだ来客だな」
「何者だ、お前たちは!?」
アガレスはオーラソードを回避すると二機に別れダンバインに襲い掛かる。
ショウはそれを見切り攻撃をかわしていった。
「オレは修羅軍のアリオン。お前こそ何者だ」
「オレはバイストン=ウェルのショウ=ザマだ!」
ダンバインのオーラソードがアガレスの動きを見切り腕を斬り飛ばす。
「くっ・・・!そうか、あのオーラバトラーとかいう厄介な・・・」
アリオンの表情に焦りの色が見え始めている。
「一気に行くぜ!」
ワイバーンは風の翼を広げハルパスの周りを旋回する。
あまりのスピードにハルパスは翻弄され大きく隙を作った。
その隙をトールは見逃さずにチェーンダガーで切りかかる。
高速回転する刃がハルパスの装甲を切り裂いた。
だが、大したダメージは負っていない。
「ちっ・・・」
ワイバーンは超音波をかわしつつ腰に装備された機銃を撃った。
数発命中するものの大したダメージにはならない。
「威力が足りないか・・・なら!」
ワイバーンは大きく反転すると距離を一気にとる。
ハルパスは追いかけるもあっという間にワイバーンとの距離は大きく離れていた。
そして、ある程度の間合いを取るとワイバーンは大きく風の翼を広げ突撃した。
そのスピードはまさに疾風。
一陣の風が吹き抜けた。
ハルパスはその風に吹き付けられその体を両断される。
音速で振るわれたチェーンダガーはその刀身を風圧で伸ばし一気に切り離したのだ。
「威力はスピードで補うまでだ」
トールは堕ちていくハルパスを見ながらにやりと笑みを浮かべた。
「どうやら、後はお前だけみたいだな」
ダンバインはオーラソードを振るった。
紙一重でかわしたつもりだがアガレスの胸部装甲に傷が付いた。
「くっ・・・流石にヤバイか・・・」
「修羅軍といったな・・・なぜ、俺たちを襲った」
「俺たちは争うのが生きがいなんでな」
「争うのが生きがい・・・」
「そういうこと・・・だけど、死ぬのはごめんでな」
アリオンはそういうと反転し一気に飛んでいった。
「くっ・・逃がすか」
「ショウ、今は深追いはやめろ」
後を追おうとするショウをトールが引き止める。
「だが・・・」
「下手に深追いすると囲まれる可能性もあるぜ」
「・・・そうだな」
トールの言葉にショウは納得した。
そして、校庭へと降り立つ。
突然、現れた二体のロボット。
中学生たちはモビルスーツではない見慣れぬそのロボットに驚きの声を上げていた。
二人はコックピットを開きその場へと降り立つ。
「あなたたちが助けてくれたんですか?」
一人の少女が前に出て尋ねた。
「あぁ」
「感謝してくれよ」
ショウは普通にトールは恩着せがましく言う。
「助けてくれてありがとうございます・・・聞きたいことがあるのですが・・・貴方たちは一体?」
少女は当然の疑問を投げかけた。
見た目的には自分たちと変わりは無い。
さっき襲ってきた化け物たちの仲間とも思えなかったが信用ならなかった。
「オレはショウ=ザマ。君たちと同じ日本人だ」
「日本人・・・貴方もここに飛ばされたのですか!?」
少女は落ち着いた様子で尋ねてきた。
いきなり、こんなところに送られたにも関わらず落ち着いたものだ。
この少女は先ほど流れた放送の声でもあった。
つまりは生徒会の人となる。
「理解が早いな・・・オレはバイストン=ウェルに飛ばされた時は理解に苦しんだが」
「バイストン=ウェル・・・ここはそういう名前の世界なんですか?」
「いや、バイストン=ウェルは前にオレがいた世界だ。ここはバイストン=ウェルじゃない」
「それでは貴方もここに飛ばされたということですか・・・」
少女は少し落胆した様子だった。
当然だろう。折角、情報が得られると思ったのにこれでは・・・
周りの生徒たちも次第に落胆していっている。
「横の青い人もバイストン=ウェルという世界から?」
「いや、オレはホライゾンっていう世界から来たんだ。もちろん、ここじゃねぇぞ」
トールは何故か自信満々に語っている。
どうやら、この男は頭のネジが外れているようだ。
「そうですか・・・私は生徒会長の千導今夜といいます」
少女はぺこりとお辞儀をした。
「オレはショウ=ザマ・・・さっき、言ったな。それでこいつがチャム=ファウだ」
「あたしはチャム。よろしくね」
突然、ショウの背中から現れたチャムにあたりの人々が驚きの声を上げる。
「おい、ショウ。チャムを紹介するのは最後にしろ。俺が自己紹介しづらいだろ」
トールはショウをにらみつけている。
「そんなの知るか。さっさと自己紹介しろ」
「ったくよぉ・・・オレはトール=セルヴァイス。まぁ、多分厄介になるからよろしくな」
トールは軽く挨拶をする。
「まぁ、私たちは全員挨拶してたらきりがありませんし・・・こちらに来てください」
今夜はそういうと三人を校舎のほうへと招きいれた。
「ん・・・空が」
トールは上を見上げると巨大な月が太陽を飲み込もうとしていた。
「日食か?」
太陽は次第に飲み込まれあたりを闇へと包んでいった。
闇の中・・・王太は目を覚ました。
「うっ・・・ここは?」
「目が覚めたか?」
王太は目を瞬かせその声の方向を見つめた。
そこには逆行を浴びて佇む一人の影があった。
「あんたは・・・?」
明らかに中学生ではない。
背が高く顔つきにも幼いところが見えなかった。
だからといって決して大人びているとはいえない。
「オレはトール=セルヴァイス。覚えてるか、青いロボットのこと。オレはアレに乗っていた」
「ダイソードを助けてくれたあのロボットのことか?」
「そういうことだ。感謝しろよ」
トールは恩着せがましいことを言うがその口調と笑顔にいやらしさなど微塵も無い。
「オレは百地王太って言います。助けてくれてありがとうございます」
「何々、聞けば右も左も分からない状態で皆を救ったそうじゃねぇか。立派だな」
「いえ・・・無我夢中で何も分からずやっただけですから・・・」
「そうそう、横にいる女の子」
トールにそういわれ王太は初めて自分の横に昼間の少女が眠っているのに気がついた。
「襲うなよ」
「襲いません!」
「オレは加勢しないし金を出されても口止めされないぜ」
「だから、襲いませんって!!」
ふざけた様子のトールに王太は少々の怒りを覚えたが自然と笑みがこぼれていた。
彼の雰囲気、一つ一つが何故か安らげるような気がする。
「外・・・見てみろよ」
トールはそういうと外を指差した。
王太は誘われるように歩いていき外を眺めた。
校庭ではキャンプファイヤーが行われていた。
生徒たちは教科書を炎へと投げ捨て、プールの雨水を煮て消毒し飲んでいる。
突然、こんなところに飛ばされたのに元気なものだ。
「なんじゃこりゃぁ!」
王太はその光景を見て驚きの声を上げている。
「生徒会長が言い出したんだぜ。いきなり、敵を寄せ付けない為に炎を上げるってさ。
それもあるだろうけど落ち込んだ気分を無理やり盛り上げてるんだ。
良いリーダーを持ったな」
トールは活き活きとしている生徒たちを見下ろしながら尋ねた。
「・・・そうみたいですね。少々、無茶苦茶な気もしますけど」
「そうでもないぜ。こういう無茶苦茶な状況はさ。こっちも無茶苦茶やら無きゃどうにもならいものさ」
王太は横で炎を眺める青年の横顔を見てなんだか頼もしさを感じていた。
実際に年齢も自分たちよりも上だろう。
だが、この横にいる青年は何故か当てに出来る感じがした。
「あら、起きてたの」
今夜の声が聞こえ二人は振り向いた。
そこには給食をトレーに乗せて運んでくる今夜とショウの姿があった。
そして、チャムが飛んでくる。
「よ、妖精!?」
王太はチャムを見て驚きの声を上げる。
「あぁ!まただ。私はミ・フェラリオよ。妖精なんかじゃないわ」
チャムは心外だという様子で王太の目の前で怒っている。
「そういうなチャム。バイストン=ウェル以外の人間はミ・フェラリオのことなんて知らないんだからさ」
「もぉ、どこかにミ・フェラリオはいないのかしら?」
チャムはそれでも憤慨している。
先ほどから散々、妖精だと生徒たちに騒がれたばかりなのだ。
「ミ・フェラリオはいなかったがオレの世界には獣人とか空人とか魔人はいたぞ」
トールがそこに話題を持ちかける。
「獣人?獣が私たちのような人型してるんですか?」
「そういうのもいるけど、耳が違って尻尾がついてたりとかが多いな」
「なんか・・・マニアックな世界ですね」
「そうか?」
オタク文化など知らないトールにとってはそれは当たり前の世界だ。
「そうそう、これ前日に運び込まれたレトルトの給食ですが」
今夜は王太に給食のトレーを差し出した。
王太はそれを受け取る。
「えっ、でもそうなると食料は・・・?これで全部のはずでしょう?」
「明日、皆で下の森にとりに行きます。それにそういう取り合いになるようなものは残したかないほうがいいんです」
今夜のその言葉に納得する。
下手に残せばそれを取り合って暴動になりかねない。
「でも、全校生徒分ですよね。そこの二人は?」
王太はこの学校の生徒でない二人を見て尋ねた。
「あぁ、先生の分があったからもらったぞ」
トールのその一言で先生たちがいないことに実感がわいた。
そう、職員室にダイソードは突き刺さっていたのだ。
朝の職員会議中だった先生たちは・・・
「トール」
「・・・すまない」
ショウに言われてトールはすまなそうに頭を下げた。
「いえ、良いんです。分かってましたし」
そうは言うが王太は暗い顔する。
自分はダイソードで戦う前に職員室にいったんだ・・・
誰もいなかったことは知っている。
「まぁ、全ては明日からだな。こっちとしても人と合えて嬉しい限りだ」
トールは正直な感想を述べる。
非戦闘員とはいえ同じ境遇の仲間がこれほどまでにいれば妙に安心できる。
「こっちも貴方たち二人・・・いえ、三人の存在は頼もしいですから」
今夜はトール、ショウ、王太を見ていった。
三人とも力を持っている。
巨大なものと戦う力。
ロボットの力を・・・
こうして、トールは浮遊する中学校とその生徒たちと出会うことになった。
そして・・・神の剣ダイソードと呼ばれる巨大な力・・
修羅軍と言う謎の組織の存在を知り・・・自分たちの戦いがより複雑になっていくのを感じていた。
次回予告
トールたちは中学校が下敷きにしている城へと下りる事になる。
ユーリナから語れるこの世界のこと・・・
そして、城で眠っていた一人の騎士と出会う。
再び襲い掛かる敵軍に対しトールがショウがダイソードが立ち上がる。
そして・・・
次回
スーパーロボット大戦〜OVER THE GOD〜
第一章異界激震編
第三話 音速の騎士
混迷の世界に青い稲妻が降り立つ