スーパーロボット大戦
〜OVER THE GOD〜
第一章 異界激震編
第四話 赤い修羅
油の雨が降りしきる中、ダイソードとガ・バリュオーグ・・・
神の剣と斧が人の形をとりて大地に立ちにらみ合う。
それは正しく神々の戦い・・・大地が鳴動するかのように震えている。
「久しいな・・・ダイソード」
「ガ・バリュオーグか・・・」
幾億という時の果てでの邂逅・・・
だが、二人とも昔を懐かしむ様子も無く殺意を放ち向き合っていた。
「くくく・・・無様だな、かつて神の武具を一人で退けた剣がいまや人に使われているとはな」
「貴様こそ復活していたとはな」
お互いに憎しみの眼でにらみ合う。
「王太、奴は他の雑魚とは桁が違うぞ」
「分かってる。だから、お前の力が必要なんだ。行くぞ!」
王太の叫び声と共にダイソードがガ・バリュオーグに向かい走り出した。
そして、その拳を大きく振るい殴りかかる。
だが、それをガ・バリュオーグは見切りカウンターを食らわせた。
強烈な衝撃がダイソードを襲い吹き飛ばされる。
大地をえぐり巨体が倒れこんだ。
「くっ・・・」
「しっかりしろ、ガ・バリュオーグと私は同じ力を持つ神の武具だがそれぞれ長所と短所が分かれている。
私は攻撃力はあるほうだがガ・バリュオーグには遠く及ばない。だが、その分、スピードと魔力はあちらを上回っている。
魔法は油の雨により封じられているがスピードは生きている。先ほどのブロムにより私の足を殺す気だったのだろうが
予定が狂ったな。奴は確実に勝てる条件を用意し切れていない。付け入る隙はある」
ダイソードの言葉を理解し王太はガ・バリュオーグに向かって走り出した。
そして、スピードでかく乱するように動き回る。
だが、ダイソードよりも機動性の高いワイバーンとダンバインを相手に対処できるガ・バリュオーグにとって
その程度の翻弄では何の意味も無い。
逆に先手を打たれて再び吹き飛ばされる羽目になった。
「ダメじゃないか!」
「誰が相手をかく乱しろと言った。こちらから攻撃をしかけなくては勝てないぞ」
「攻撃って言っても・・・こっちは素人だぞ。プロの二人が簡単にやられるような相手に・・・」
トールとショウは別に戦闘のプロというわけではないがほとんど戦闘経験の無い王太に比べれば相当にマシだろう。
ダイソードという強大な力を持っていたとしても王太は所詮、素人。
戦う術を持たなければ力は持ち腐れでしかない。
「お前の得意なことは何だ?」
「えっ!?」
「得意なものは何だといっている」
「それは・・・サッカーかな。Jリーグに入れるほど上手かったわけじゃないけど毎日のようにやってたから」
「なら、それを戦いに応用しろ」
「サッカーを・・・」
「得意なものなら体も上手く動くだろう。奴に勝てる見込みがあるとすればそれしかない」
「分かった!」
王太はダイソードの言葉を今度こそ本当に理解するとガ・バリュオーグに向かって走り出す。
そして、滑り込んでスライディングキックを食らわせた。
素早い動きに反応しきれずガ・バリュオーグは体制を崩す。
「何時もボールばっかり蹴ってるけどな。蹴ろうと思えば人だって蹴れるんだぞ!!」
王太は物騒なことを口走るとガ・バリュオーグに向かって蹴りを食らわせた。
ガ・バリュオーグはボールのように空中へと舞い上がる。
そこへ風とオーラの翼を広げて二機が出現した。
「多勢に無勢だが悪く思うんじゃねぇぞ!」
「今なら!」
チェーンダガーとオーラソードでガ・バリュオーグを叩き落とす。
その落下地点でゼファーが剣を掲げていた。
「騎士道大原則ひとーつ、騎士は非道をしてはならない」
アデューはそういうと落下してくるガ・バリュオーグを見逃しそのまま地面に落下するのを見ていた。
「アデュー!!」
その状況を見てトールが大声で叫ぶ。
だが、アデューは聞いてないという様子で剣を構えていた。
「良く分からないけど・・・お前、強いんだってな。勝負だ!」
再び立ち上がったガ・バリュオーグに向かって立ち向かう。
「リューか・・・まさか、ここでお目にかかるとはな」
ガ・バリュオーグは冷静にゼファーの剣を受け止めると弾き返した。
「だが、クラスチェンジもしていないただのリューで俺に勝てるか!」
吹き飛ばされ体制を崩したゼファーに向かってガ・バリュオーグが殴りかかる。
「くっ!」
ゼファーはそれを盾で受け止めるがそのまま、吹き飛び木々をなぎ倒していった。
「俺とダイソードでひきつける!ショウはアデュー!」
トールがそう叫ぶとワイバーンとダイソードがガ・バリュオーグに向かってゆく。
「雑魚は引っ込んでいろ!」
ガ・バリュオーグはワイバーンに殴りかかるがそれは紙一重でかわされる。
「残念!雑魚だからって引っ込んでたらこれからの世の中、生きてけねぇんだよ!」
ワイバーンがチェーンダガーでガ・バリュオーグの頭部を切りつけた。
だが、火花が散るだけでその装甲を傷つけるまでにはいかない。
「引っ込んでいれば生きながらえたものを」
「ダイソード!」
ワイバーンはガ・バリュオーグに捉えられるよりも先に上空へと逃げ出した。
その隙を突いてダイソードがガ・バリュオーグに飛び掛る。
「うおおおおおおおおおお!!」
ダイソードはガ・バリュオーグの頭部に向かって渾身の蹴りを食らわせる。
衝撃が走りガ・バリュオーグが吹き飛んだ。
「手ごたえあり!」
王太は確実なダメージを確信する。
「油断するな。あの程度で壊れる神の武具ではない」
浮かれる王太をダイソードがいさめる。
それをあらわすようにガ・バリュオーグは立ち上がった。
だが、ダメージはあるようで頭部の装甲を破損させている。
「おのれ・・・ダイソード・・・」
ガ・バリュオーグの頭部の中・・・そこには白骨化した死体が横たわっていた。
服装からして王様のようだ。
「もしかして・・・北国の王?」
トールがそれを目の当たりにして呟いた。
「誰も乗っていないと思ったら・・・乗ってないじゃなくて死んでいたのか」
「バカな男だ・・・俺をダイソードと同じように扱えると思っていたのだからな。だから、とりこんでやったのだ。
こいつの持つ地位と権利とともにな」
「なら・・・手前が北国の王・・・この混乱の元凶か!」
「ふっ・・・貴様らは何も知らなくていい」
「何・・・」
「ダイソード・・・お前には分かっているはずだ。あの時と同じだということがな!」
ガ・バリュオーグはそういい残すとその場から去っていった。
だが・・・この場でその後を追えるような余力を残されているものはいなかった。
油の雨もあがり校庭にワイバーンとダンバイン、そしてダイソードが立っていた。
「ダイソード・・・さっきの話、どういうことだ?」
「・・・・・・・・・・・」
王太がダイソードに尋ねるが何も答えない。
「確か・・・あの時と同じと言っていたな・・・どういうことだ?」
「黙ってないで何とか言ってくれよ。お前は知ってるんだろ、今この世界に起こっていること
そして、伝説に記された力のことを」
ダイソードは知っているはずだ。ずっと意思を持ち続けているのならば。
しかし、ダイソードは語ろうとしない。
巻き込まれている身ともなれば少しでも情報が欲しいところだ。
それが先も後も見えないような状況ならば。
「語らないのなら何か理由があるのでしょう」
「まぁ、確かにそうなのかもしれないけど・・・・・」
ユーリナの言葉に王太は納得がいかないという感じで答える。
「すまない。だが、時がくれば話そう」
だが、ダイソードのその言葉で無理にでも納得しなくてはならなくなった。
こういわれてはこれ以上の無理強いは意味ない。
「皆さんもそれでいいですか?」
「俺はそれでもいいぞ」
と、トール
「俺も無理強いはする気は無い」
と、ショウ
「まっ、命の恩人に文句を言う資格は無いしな」
と、アデュー
三人も異論はないという様子で答える。
王太はそれを確認するとダイソードから降りる。
それと同時にダイソードは剣に戻り校庭に突き刺さった。
「これで後、6回か」
王太は剣を見て呟いた。
後、6回。たかが6回出撃しただけでダイソードはその力を仕えなくなってしまう。
「まっ、あの力・・・っつうか、あれ以上の力があと6回もつかえるって考えたほうがポジティブでいいぜ」
その肩をトールが軽く叩く。
「確かにそうですけど」
「何、今回はやられちまったけどさ。こっちに聖戦士と騎士見習い、それに俺がついてるんだぜ」
「すみません、色々と」
「なに、その代わり、ピンチになったらダイソードで護ってくれればいいんだから」
「ははは・・・そうですね。そのときは任せてください」
二人はそういうと腕と腕を重ねた。
それから学校を移動させるという計画が浮かび上がった。
どうやら、学校は下の城に引っかかって止まっているだけでそれを崩せばそのまま傾斜にしたがって動くらしい。
後はダイソードに帆をはって風で動かすということだ。
「おし、行くぞ!」
ワイバーンとダンバインが城を崩していく。
歯止めがとれて学校が見る見る内に移動していく。
その上にワイバーンとダンバインが着陸した。
始まる・・・全ての世界を巻き込んだ戦いの旅が・・・
「たぁ!」
「はぁ!」
アデューと王太が剣の稽古をしていた。
王太が強くなりたいということで騎士見習いであるアデューに剣を教わっている。
アデューは教えるほど強くはないと言っていたが稽古だけならするという戦っている。
が、ずぶの素人である王太をアデューは軽くいなしているという感じだった。
王太は剣の使い方からしてなっていない。
それを見習いとはいえ騎士のアデューの前では相手でない。
「うわっ!」
王太の剣が弾き飛ばされ地面に突き刺さった。
「おいおい・・・そんな簡単に放してちゃ実戦じゃ即、お陀仏だぜ」
アデューが剣を肩にかけ王太へと歩いていく。
「つつ・・・やっぱ、俄仕込みじゃダメか」
王太は体を大の字に広げて寝転ぶ。
「もう、へばったのか?」
「流石にいきなり、実戦じゃ無理がある気がするんですけど?」
「やっぱり、よぉ〜し、それじゃあ素振り千回だ」
「千回!」
王太は驚き上半身を勢い良く起こした。
「なんだ?だったら一万回!」
「いえ、千回でいいです!」
王太は立ち上がると剣を握りなおし素振りを始める。
その横でアデューも素振りを開始した。
「おぉ、やってるやってる」
それをワイバーンの肩の上からトールが見下ろしていた。
「どうだ?」
ショウがダンバインのコクピットから頭を出してトールに尋ねる。
「まぁ、はっきり言ってしまえば・・・全く分からん」
トールは腕を組んで大きく頷いた。
「こっちも軽くレクチャーを受けた程度だが・・・メンテもせずに戦えるのも限界はあるな」
「そうなのか?」
「あぁ、動力はオーラ力だから補給はいらないが・・・中の機関は何回も戦闘できるほど頑丈じゃないからな」
「そうか・・・メタルレプリカは自己修復するから細かいメンテはしなくていいと聞いたことがあるからな」
「便利なんだな」
「まぁな。だが、こっちは流石に無補給だとずっと戦ってられる訳じゃないからな」
「下手するとダイソードよりも使える回数は少ないかもな」
「補給できなきゃ・・・って無理そうだよな」
二人はお互いに愛機がどれだけ戦えるのか不安がっていた。
ここは自分の世界ではない。
それぞれに必要な物資が手に入る確立などほとんどないだろう。
代用できる物資があってもメカニック技術がさほど高くない二人では利用できるかは不明だ。
かなり、先行きは不安だがあえて二人は黙っていた。
ここであえて不安をあおることはないだろうということだ。
「ショウ!前のほうで何かが光ってるよ」
チャムがダンバインのコクピットに飛び込んでくる。
「早速か・・・」
「どうする、回避できるならしたいけど」
「どう考えても進行方向だ。それにこんなデカブツを逃がしてくれるわけが無い」
「確かにな・・・とにかく、学校が戦闘圏内に入る前に仕掛けるか。アデュー」
トールが叫ぶと素振りをしていたアデューが見上げる。
「どうした?」
「戦闘だ。ワイバーンの手にのれ」
ワイバーンが手を下ろすとその上にアデューが飛び乗った。
「敵ってどいつだ?」
「さぁ?」
「さぁって」
「詳しいことは分からないが進行方向で戦闘されてたらおちおち通ることも出来ないだろ」
「確かにな。騎士道大原則ひとーつ!騎士は降りかかる火の粉を払わなければならない」
「それが大原則な騎士も微妙だな」
三人はそんなやり取りを繰り広げながら学校から出撃した。
荒野が広がる世界の上空で赤い修羅と青い修羅が拳と拳をぶつけ合っている。
「フォルカー!」
青い修羅が拳から光を発し赤い修羅目掛けて飛ばした。
赤い修羅はそれを回避すると青い修羅の懐に潜り込み腹部を殴りつけた。
「くっ!」
青い修羅は後ろにひいて間合いを計りなおす。
「フェルナンド、よすんだ。俺たちが戦う必要は無い」
「戦う必要がないだと!俺たち修羅が戦わずしてなんの存在意義があるというんだ!」
フェルナンドと呼ばれた男は激情をあらわにして叫ぶ。
その心は怒りに支配されていた。
フォルカはその様子を見てうれいている。
だが、それをどうにかする考えはフォルカには浮かばない。
ただ、拳を交えることしか思いつかない。
「今の修羅が正しいと思っているのか?修羅界だけでなく全ての世界に戦乱をもたらす」
「戦う場所が広くなっただけの話だ。ただ、戦いその頂点に立つだけ」
再び二人の修羅・・・ヤルダバオトとビレフォールは再び間合いに飛び込むと拳を繰り出した。
連続して繰り出される拳がお互いに激突し弾いていく。
「うおお、轟・破・機・神・拳!!」
お互いの拳の乱舞が終わった瞬間、ヤルダバオトの腕の口が開きエネルギーが充満する。
「!」
フェルナンドはなんとかそれをかわそうとするがその気の流れに飲み込まれ回避がおぼつかない。
今まさにその拳がビレフォールに突き刺さろうとする。
「ライダース・ブレッド!」
だが、それが直撃するよりも先にヤルダバオトを電撃が襲った。
完全に不意をつかれたヤルダバオトをまともにそれをくらい吹き飛ばされる。
「くっ!修羅軍か!?」
だが、その先には修羅神とは違う機体が立っていた。
全長4mほどの黒いロボット。
それからは禍々しい気が立ち込めている。
「何者だ?」
「ライダース・ブレッドをまともに受けて持ちこたえるとはな」
黒いロボットに乗る銀髪の青年が答える。
「ガルデンか・・・余計な真似を」
フェルナンドは体制を整えると忌々しげにはき捨てた。
「俺が助けに入らなければ確実にやられていたがな」
「その時は潔く死を受け入れるだけだ」
「立派な心構えだが・・・こっちとしてはお前に死なれると困るんだ」
二人が口論している間にヤルダバオトは再び構えを取り直す。
機体の各部にダメージが残るがまだ、戦える。
しかし、二対一、不利な状況は間違いなかった。
「えぇ!こちら生徒会特別編成機動部隊!そこは我が学校の進路にあたる。邪魔なので速やかに退去しなさい!」
突然、緊張感の無い声が戦場に割ってはいる。
「そうよ、あんたたちどきなさーい!」
更に増えた。
「お前たち、真面目にやれ!」
次に怒声が響いた後。
「貴様はガルデン!」
別の意味の怒声も響く。
もはや会話とかそういう問題ではなくなってきていた。
「ほぉ・・・いつぞやおの騎士か」
「貴様が何故、ここにいる!」
「私だけだと思っていたがお前も飛ばされていたとはな・・・数奇なめぐり合わせだな」
「あぁ、俺はここでお前と出会えたことを感謝するぜ!リューナイト!ゼファー!」
アデューがゼファーを召喚し乗り込んだ。
そして、その勢いのままにガルデンの乗るダークナイトシュテルに斬りかかる。
シュテルはそれを剣で受け止めた。
「ここでお前を倒してやる!」
「その程度の腕でこの俺が倒せると思っているのか」
シュテルが力を込めてゼファーを吹き飛ばす。
「くっ!」
「貴様にようはない。この異世界で誰にも知られず朽ち果てるがいい!」
シュテルが剣を掲げ一気に振り下ろす。
「にゃろぉー!」
アデューはそれを何とか受け止めると立ち上がる。
お互いに剣で押し合うがゼファーは徐々に押し負けていく。
「くっ、頑張れゼファー!こんな奴に負けるわけにはいかないんだ!」
アデューが必死に力を込めるが次第に刃がゼファーへと近づいてくる。
このままではせりまけて切り裂かれるのは時間の問題だった。
だが、アデューにはまだ、勝機はある。
「させるかぁ!」
ダンバインが急降下してシュテルにオーラソードを振り下ろした。
「ちっ!」
ガルデンはそれに気づくと咄嗟に回避する。
「かわされた」
「ショウ、もっと良く狙って」
「そんなこといってもこう、サイズ差があると・・・」
ショウはダンバインの半分くらいの大きさしかないリューを相手に苦戦をしている。
しかし、彼も自分のダンバインが全体的に比べると小さい部類に入るなどとは知らないが。
「ちっ、オーラバトラーか・・・新しい仲間が出来ているとはな」
ガルデンはダンバインを見上げて忌々しげに呟いた。
「ショウ、助かったぜ」
「どうやら、強敵みたいだな」
「あぁ、だけどあいつは俺の相手だ。下がっていてくれ」
アデューの言葉にショウが驚く。
「だが、言っちゃ悪いが押されているように見えたが」
「騎士道大原則ひとーつ!騎士は正々堂々と戦わなくてはならない!だから、二対一なんて卑怯なまねは出来ない」
ゼファーの周りに魔力の渦が現れる。
それをショウはオーラ力として感じていた。
「凄いオーラ力だ・・・しかし・・」
ショウはシュテルのほうをみた。
「あの禍々しいオーラ力・・・危険だ。奴はバーンと同じ・・・いや、それよりも深い憎しみのオーラに捕らわれている」
「ショウ・・・なんか恐い」
「あぁ、アデュー。今は生き残ることを考えるんだ。こんなところで死にたくは無いだろ」
ショウが話しかけるがアデューは聞いていない。
ゼファーを走らせると一気にガルデンに向かっていった。
「クラッシュドーン!」
そして、必殺の一撃を浴びせようと突っ込んでいく。
「愚かだな」
シュテルは剣を構えるとゼファーの一撃を受け止める。
大地をえぐり、シュテルが押されていく。
だが、次第にゼファーの勢いは衰えていき、遂には止まってしまった。
「なっ・・・」
「この程度の力でシュテルに傷をつけることが出来るとでも思っていたのか」
力を失いとまったゼファーをシュテルが吹き飛ばす。
ゼファーは大地に倒れ、その力を失い光となってカードへと戻っていった。
そして、アデューが大地に投げ出され倒れる。
「仲間の言葉に耳を傾けていれば負けなかったものを」
ガルデンが不適な笑みを浮かべアデューを見下す。
アデューは何も言い返せず空を眺めていた。
「死ね!」
シュテルが剣を振り上げアデューに向かって振り下ろす。
二度目のピンチに今度は風が舞い降りた。
「エアロウィング展開!」
強風がアデューの体を吹き飛ばし大空へと巻き上げる。
それをダンバインが受け止めた。
「風・・・魔法じゃないな」
「さて・・・今度はこっちが相手だぜ」
一方、フォルテとフェルナンドは未だに死闘を繰り広げていた。
一度は勝負が決したものの互角に渡り合っている。
「たああ!」
「はああ!」
互いの拳がぶつかり合い衝撃が四散する。
しかし、次の瞬間動いたのはビレフォールだった。
「もらった!」
ビレフォールの拳がヤルダバオトの腹部に突き刺さる。
「くっ!」
フォルカはそれを耐えるとビレフォールに向かって蹴りを繰り出す。
だが、スピードの鈍った蹴りはビレフォールを捉えられず空を切るだけだった。
「これで終わりだな!」
ビレフォールの拳がヤルダバオトの頭部を殴りつける。
ヤルダバオトの白い髪が大きく揺れた。
「いや、お前のほうだ」
ヤルダバオトは腰を低くして懐に潜り込むとそのボディにブローを入れる。
「ぐっ!」
「はああ!」
ヤルダバオトの拳が連続してビレフォールに決まっていく。
そして、最後の一撃を叩き込むとビレフォールは地面へと落下していった。
「くぅ・・・」
ビレフォールが上半身を起こすとその前にヤルダバオトが降り立った。
「止めを刺せ・・・」
フォルカはそのフェルナンドの言葉を無視すると後ろを向いた。
「情けをかけるのか」
「お前なら分かるはずだ。今の修羅が間違ってることが」
「分からないな。俺には貴様が理解できん」
「今はいい」
「くっ・・・今日のところは引いておいてやる。だが、次に会ったときが貴様の最後だ!」
フェルナンドはそう叫ぶとビレフォールが飛び立った。
「どうやら、撤退のようだな」
ガルデンは飛び立つビレフォールを見上げて呟いた。
「帰ってくれるのか?」
「ここで俺一人、がんばっても仕方ないからな」
「そうか、だったらとっとと帰れ」
トールがそういうとガルデンも撤退していく。
トールとショウはそれを見送った。
これ以上、深追いをしてもしょうがない。
今は進路を確保できただけでも上出来というものだ。
それと・・・
「あんた」
トールがフォルカに話しかける。
「この世界の人間か?」
「いや、別の世界の人間だ」
「そうか。巻き込まれたというわけだな」
「お前・・・何か知ってるのか?」
「お前たちには関係ない」
「お前が乗ってるの・・・修羅って奴の機体だよな」
「そうだ」
「俺たちも修羅と戦ったことがある。聞きたいことがあるんだ」
「話す事は何も無い」
「ダイソード」
「!!」
その言葉にフォルカが反応する。
トールはニヤリと微笑んだ。
「やっぱなお前もダイソードのこと知ってるのか」
「・・・貴様ら何者だ?」
「ダイソードの所有者の友達さ」
「ダイソードを持っているのか」
「あぁ、ついでに言うと直ぐ後ろにいる」
トールは近づいてくる学校に突き刺さるダイソードを指差した。
「あれが・・・修羅王すらも恐れる神の剣・・・」
「お前さ、修羅と争ってたよな。離反者?それともあちらが離反者?」
「俺が離反者だ」
「そう。ってことはほかに仲間は?」
「いないな」
「っつうことで今日からお前は俺たちの仲間だ!」
「断る」
「生徒会に入れるぞ」
「興味ない」
「中学生がいっぱいだぞ」
「・・・だからどうした」
「興味ない?」
「ない」
「話しがそれてるぞ」
トールが勢い良く話してるのをショウが止める。
「君のその機体も損傷を受けているんだろ。修理は出来ないが休ませたほうがいい」
「確かにな」
「事情は詳しく知らないが一人で戦うよりも大勢で戦ったほうがいい」
「弱者の理論だな」
「あぁ、だけど。この大きな世界の中では俺たちは弱者だ」
「・・・・・お前、名前は?」
「ショウ=ザマだ」
「そうか。俺はフォルカ=アルバーグ。いい眼をしているな」
フォルカがむっつりとしたその口元を少し緩めた。
「ちっ、なんだよ。俺の言葉にゃ耳も貸さなかったくせに・・・」
「トール、すねてる」
「チャム、慰めてくれるのか?」
「う〜ん・・・やだ」
「ひでぇ・・」
学校の校庭にフォルカのヤルダバオトも加わった。
「流石に3機とダイソードもあると壮観だな」
トールはロボットたちを見上げながら呟いた。
「これがダイソードか」
フォルカがダイソードを見上げている。
「やっぱり、修羅はこれを狙ってるのか?」
ショウが尋ねるとフォルカは頷いた。
「神の剣ダイソード・・・修羅王は確かにこれを狙っている。そして、伝説の力もな」
「それは本当なのですか!?」
フォルカの言葉にユーリナが反応する。
「あぁ」
「その人たちも知ってるなんて・・・」
「だけど、別にほかに知ってる奴がいても可笑しくないだろ」
「はい・・・ですが、修羅も伝説の力を狙ってるなら急がなくては世界が大変なことに・・・」
恐れる事態だ。
伝説の力が修羅などに渡ってしまったら世界は大変なことになってしまう。
それこそ今の状態が生易しいほどに。
「まぁ、修羅の目的も分かって良かったジャン」
「そう、楽観視はしてられないと思いますけど」
軽い調子のトールに王太がつっこむ。
「だけど、それなら修羅が向かっているところに伝説の力があるということでは?」
今夜がそういうと全員が一斉にその方向を向いた。
「なるほど!確かにその通りです」
「まぁ、確実にそこに何かがあるとも限らないけど」
「でも、俺たちは元の世界に帰るのが目的だろ」
トールのその言葉に盛り上げかけていた空気が一気に冷めていく。
「なんだか知らんが・・・世界を救う気になってたのか?」
「う〜ん・・・でも、このままテルテウイタスについてそれで終わりって訳にはいかないと思います」
「確かにな・・・ここまで世界が混乱しておいて元に世界に戻れば全てが終わるわけが無い」
王太とショウは疑問を感じ始めていた。
「伝説の力を探すのか?」
「それは分からないが・・・遅かれ速かれ全ての世界に戦乱が降り注ぐだろう」
「だな・・・でも、ま。テルテウイタスにいかなきゃどうしようもないけどな」
結局はそうなるだろう。
今のこの状況で修羅に立ち向かったところでどうにかなるわけではない。
組織を相手取るのにこちらは圧倒的に力が不足していた。
力という問題ならダイソードがあるから相当なものだが。
「そこに行けば他の世界にもいけるのか?」
フォルカが尋ねる。
「えぇ、自由自在というわけにはいきませんが」
「そうか・・・なら、俺もそこまでは同行させてもらおう」
「本当ですか?」
「修羅は世界を移動する方法を持っているらしいからな」
「その話・・・本当?」
「あぁ、この世界を結合させたのは修羅王だからな」
「はい・・・?」
「修羅王がこの混沌とした世界を作り出したんだ。どんな技を使ったかは知らないがな」
「それって・・・全ての元凶は修羅ってことか!?」
一同はその事実に驚きの声をあげる。
「あぁ、修羅王さえ倒せばこの世界も元通りになるだろう」
「・・・やること明確になったな」
「あぁ」
修羅王を倒す・・・それこそがこの世界を元通りにするために必要なことだ。
北国の飛行艇
「フェルナンド・・・お前がやられるとはフォルカとかいう奴は相当強いらしいな」
灰色の髪をした少年がフェルナンドに話しかける。
「クロヴァス・・・お前が何故、ここに?」
「何故?俺は俺が戦いたいように戦うだけだ」
「ふっ・・・別世界の傭兵のくせに随分と修羅らしい物言いだな」
「そうか?なら、俺は生まれる世界を間違えたんだろ」
「・・・だが、お前が来るとはな。バイストン=ウェルはどうなった?」
「ドレイクとかいう奴が時期に世界を掌握するんじゃないか?別にどうでも良いがな。
あそこに今、骨のある奴は少ない。ショウ=ザマとかいう奴がいなくなったらしいからな」
「そいつがそこの最強なのか?」
「という話だがな。それと聖戦士とか呼ばれてたな」
「聖戦士・・・伝説の力か?」
「さぁな。詳しいことは知らん」
クロヴァスは素っ気無い態度で答える。
そして、窓の外から広がる荒野を見下ろした。
「・・・ガ・バリュオーグが敗れたらしい」
「何!?」
フェルナンドが驚きの声を上げる。
「今は北国に戻っているが顔を損傷していた」
「神の武器を破損させるとは・・・何者だ?」
「ダイソード」
「・・・神の剣か」
「いいな。そいつ・・・戦いたい」
「行くのか?」
「あぁ」
クロヴァスはそう告げるとそのまま立ち去る。
「身勝手な奴だな」
「ガルデンか?」
「まぁ、俺も他人のことは言えないが・・・何時になったら俺をもとの世界に戻す気だ?」
「俺は知らん。将軍かガ・バリュオーグにでも尋ねるんだな」
「ちっ・・・」
ガルデンもそのまま立ち去っていた。
「・・・他世界の修羅もとりこんで徐々に肥大化するか・・・フォルカ・・・貴様だけは俺が倒す」
次回予告
突如として現れる灰色の閃光
その出現にトールは一人で出撃する。
繰り広げられる激闘・・・そして、ダイソードを狙う修羅の軍隊が押し寄せる。
学校を護るために立ち上がる戦士
彼らに勝機はあるのか・・・
次回
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第一章 異界激震編
第五話 灰色の閃光
混迷の世界に青い稲妻が降り立つ