スーパーロボット大戦
〜OVER THE GOD〜
第二章 日本激闘編
第四話 ナデシコ発進
GEAR本部
そこは星見アミューズメントパークの地下にある秘密基地である。
そこに現在、北斗と銀河。そして、極東支部の代表として甲児とキョウスケ、それにアーテがやってきていた。
鉄也は次の戦闘の為にいち早く極東支部へと戻っている。
「私がこのGEAR本部の司令、渋谷だ」
優しそうなおじさんが彼らに話しかける。
そして、突如として天井から仮面を付けた金髪の女性が降り立った。
「私は副指令のベガです」
四人はその奇抜な登場の仕方に唖然としていた。
「貴方たちが電童に選ばれた子供・・・」
ベガが視線を北斗と銀河に向ける。
「あっ、はい。草薙北斗っていいます」
「俺は出雲銀河」
二人がそれぞれ自分の名を告げる。
「あのロボットのパイロット・・・子供だったんだ」
アーテが二人を見て少々驚いていた。
「子供ってお前だって子供じゃねぇか」
銀河はアーテを睨みつける。
どうも子供扱いされたことをむかついているらしい。
だが、アーテも思い切り顔をしかめていた。
「子供・・・確かに子供だけど君たちに子供扱いされるいわれはないよ」
「何言ってんだよ。同い年か年下じゃん」
「いくつ?」
「年?11歳だけど」
「私は13歳の中学生だよ!」
「えぇ!!」
その場にいる一同が驚きの声を上げた。
「アーテちゃん・・・お前、中学生だったのか」
「てっきり、小学生だと思っていたが・・・」
「甲児さんとキョウスケさんまで・・・うぅ」
アーテはいじけてしまった。
「あぁ、すまねぇ。こっちも悪気があったわけじゃねぇんだが・・・」
甲児はどうにかフォローしようとしているが上手く言葉が出てこないようだ。
「ほら、銀河君があんなこと言うから」
「俺のせいかよ!まさか年上だなんて思ってなかったし。お前だって思ってなかっただろ」
「うん・・・まぁね」
流石にアーテを年上に思える奴は幼稚園生ぐらいだろうそれほどにアーテは幼い。
「それよりも本題に入りたいんだが」
何時の間にか話題が別方向にそれて置いてけぼりをくっていた渋谷長官が切り出す。
「すみません。話を続けてください。甲児、すまないがアーテをちょっとどかしておいてくれ」
キョウスケの言葉に従い甲児はいじけるアーテを連れて後ろへと下がっていった。
「それではお聞きしたい。先ほどの敵・・・ガルファとは?」
キョウスケの問いに渋谷長官が答える。
「ガルファとは機械生命体こそが宇宙を支配する種族だとし星の文明を滅ぼし続けるもの」
「機械生命体・・・ゾンダーとは違うのか?」
「GGGからの情報提供にあるゾンダーとは発生源も構造も異なるもの。
ただ、どちらも機械をとりこむ力を持つことと人類・・・いえ、有機生命体を滅ぼすことを目的としていることは同じ」
「機械を・・・では、あのGMはやはりGMなのか」
「そういうことだ。まぁ、ガルファはゾンダーほどに機械を取り込む力はない。油断さえしなければMSでも撃破は可能だろう」
「そうか・・・全く、厄介な敵ばかりだな」
キョウスケはそういうが少々、嬉しそうな顔をしている。
「ガルファの力は強大よ。確かにベガ星連合軍にムゲといった銀河規模の軍を撃退しているスーパーロボットの力があれば
対抗も可能でしょうけど・・・ゲッター線汚染の拡大によるインベーダーの活性化。
ゾンダーの出現。ザンスカール帝国、ザフトととの戦争。それに地球連邦軍もティターンズの台頭によって
元々、一枚岩じゃなかった組織が更にその指揮系統が混乱してきている。
だからこそのGEARやGGGといった特殊組織だけどね・・・
まぁ、ともかく地球は今、とんでもなくピンチにあるってことなの。
そして、そのピンチには少しでも・・・決定的な力が欲しい。
その力が電童。貴方たちが乗ったロボットなのよ」
ベガが一気に北斗と銀河に現在の状況を説明する。
いきなりのことなので銀河は混乱しているが北斗はその言葉を理解し青ざめていた。
「そんな・・・戦争は終わったんじゃないの?スーパーロボットたちが侵略者を全滅させたんじゃ?」
「それは確かに事実よ。だけど、今もなおスーパーロボットが戦い続けているということも事実なの。
この世界上でもっとも安全で平穏な場所はスーパーロボットの研究所を多数持つ日本といってもいいでしょうね。
おかげでザンスカールもザフトもスーパーロボットを脅威と感じて襲撃してこない。
でも、貴方たちも知ってる通り。この日本ですら必ずしも安全ではない。ガルファ。
それに先日、魔都とゾンダーも攻撃を開始した」
北斗と銀河はその言葉を沈痛な面持ちで聴いていた。
自分たちの知る現実は所詮は儚き夢のような場所に立つ不安定なもの。
脆く簡単に瓦解する。
その事実を突きつけられた幼き子供はただ、黙っているだけだった。
「貴方たちの力が必要なの。ミケーネ帝国に対してマジンガーがあったようにガルファに対抗するためには
電童の力が必要なのよ」
ベガが真っ直ぐに銀河と北斗の顔を見つめる。
「俺、やるよ」
「えっ!?」
銀河の言葉に北斗は驚きの声を上げる。
「それって地球がやばいってことだろ。つまり、母ちゃんとか乙女、町の皆も危ないってことじゃんか。
それで黙ってみてられるか」
「でも、そのガルファってのは色々な星を滅ぼしてきたんでしょ。そんなの相手に僕たちが・・・
それにスーパーロボットもいっぱいいるのに逆に足手まといになっちゃうんじゃ・・・」
北斗はTVで見ていたスーパーロボットの活躍の姿を思い出ししり込みしてしまう。
自分たちがあれほどのことが出来るというのだろうか?
確かに電童の力は本物だ。ガルファの機獣を撃退して見せた。
だからといってこれからも撃退できるとは限らない。
「確かにいきなり力を渡されて戦えって言われてもしっくり来ないよな。
俺もそうだったぜ。いきなりマジンガーZを託されて神にも悪魔にもなれるって言われて。
まっ、お前はお前だ。自分の思うとおりにすればいい。
まっ本音を言えば仲間が増えるのは心強いことだけどな」
北斗は甲児を見上げている。
伝説の英雄が生きた英雄が目の前で自分の為に話しかけている。
それはとても光栄なことだった。
「やってみなくちゃわからないって。なっ」
「・・・そうだね。わかった。やってみるよ」
北斗も渋々といった感じだが納得し承諾してくれた。
こうして、ここに電童という新たなるスーパーロボットが地球を護る戦士に加入した。
佐世保
そこの地下ドックで新造の戦艦が今、飛びたたんと準備が進められていた。
ネルガル重工・・・最近になって急速に力をつけてきた軍需産業の会社である。
現在、地球連邦に売り出しアナハイムエレクトロニクスを押しのけようと躍起になっている。
この戦艦も彼らの計画のための要である。
その戦艦にはネルガル重工の人事部が集めた優秀な人材が数多くクルーとして登録されていた。
だが、その選別方法は優秀だが雇用費を安くするためにこの際、性格は問題としない。
というものだった。
まぁ、このご時世で性格も良くて腕も立つものなど何らかの組織に所属している。
まぁ、一部では性格が破綻してるが腕が立つ奴もざらにいるが。
まぁ、その戦艦であるが・・・現在、攻撃を受けていた。
「木星トカゲ?」
アーテが輸送艦の中で甲児に尋ねた。
「あぁ、あれだ。多分、東京ジュピターの中にいる恐竜帝国かなんかだろ」
「えっ、恐竜帝国って何ですか?」
「・・・・さぁ?なんか戦ったことがあるようなないような・・・うぅん・・・」
甲児が首をひねりながら悩んでいる。
「木星トカゲ・・・突如として木星の方角から現れた謎の無人機動兵器。
既に火星圏がその攻撃により壊滅したという」
キョウスケがデータベースを閲覧しながら答えた。
「火星圏壊滅!?それって凄い大ニュースじゃないですか。でも、ニュースでもそんなことやってないですよ」
「情報操作だろうな。これ以上の混乱を防ぐための緊急手段だろう。あまりいい手段とはいえないがな」
「そうですね・・・でも、イージス計画が成功したっていうのに火星の人たちかわいそう」
「そういえば。今、開放された情報によると木星トカゲを撃退するために戦闘したガイキングとダイターン3、ダイモスが
現在、行方不明となっているらしい」
「あっあの大空魔竜ガイキングと無敵鋼人ダイターン3、闘将ダイモスがですか!?」
「あぁ、大空魔竜と小バームも現在の状況は不明。恐らくは木星トカゲに拿捕されていると言われている」
「あ、あのスーパーロボットが・・・地球の危機を救ったスーパーロボットが敗れるなんて・・・」
「どうやら、イージス計画直後のエネルギー切れの所を狙われたらしい。まともに対応できないまま圧倒的な物量により
押されてしまったらしい。三機のスーパーロボットは最後の最後まで戦い一部の人々を脱出させたらしい」
アーテの脳裏にその姿が浮かぶようだった。
彼らの姿を見たのはTVの向う側・・・全く違う場所からただ眺めていただけだが
その存在感と力・・・そして、その身にまとう正義の心は彼女の心にしっかりと焼き付いていた。
弱き人々を護るための鋼鉄の巨人・・・・それがスーパーロボットという存在なのだ。
彼女はそうありたいと思いディングレイに乗っている。
いや、そうあらねばならないのだ。父の願いと町に住む人々のためにも・・・
「で、なんだっけそのネルネルとかいう会社の戦艦を護ればいいのか?」
甲児がキョウスケに尋ねる。
「ネルガル重工だ。現在、木星トカゲの襲撃を受けMSが迎撃に出ているが物量差からおされているようだ」
「まっじゃなかったら俺たちが駆り出されることはないからな」
スーパーロボットは連邦軍の切り札とも言えるべき代物。
その使用は戦略的な意味合いがなければ承認されることはない。
「そのネルガルの戦艦ってのはそんなに重要なものなのか?」
「そこまでの情報は降りてきてないな。恐らくは木星トカゲに対する新兵器といったところだろう」
「なるほどな」
それで先手をうたれて焦っているところを彼らにお呼びがかかったのだろう。
グレートマジンガーなどの他のスーパーロボットは現在、他の戦いの為に遠方へと出向いている。
電童も初戦闘後の点検の為に出撃は無理。
そこであまっていたマジンガーZ,アルトアイゼン、ディングレイがチーム編成されたというわけだ。
機体数で考えればたった3機の増援だがスーパーロボットと呼ばれる機種に分類されるマジンガーZ。
そして、試作型とはいえ量産機以上の性能を持つアルトアイゼン。
ディングレイはお世辞にも性能がいいとは言えないがいないよりはマシだ。
彼らを乗せた輸送機は作戦ポイントに到達した。
佐世保の地下ドック
ナデシコの中
「MS隊全滅。木製トカゲの無人機動兵器バッタ地下ドックに侵入してきます」
色の白い銀髪の美少女・・・ルリが告げる。
「やれやれ困ったことになりましたな。よもや木星トカゲの動きがここまではやいとは。
それにここまで大事になっては連邦のほうも木星トカゲの存在を公表せざるを得ないでしょうな」
メガネをかけたインテリな男性・・・プロスペクターが呟いた。
「それでどうするんですか?このままだと攻撃されちゃいますよ」
オペレーターの女性・・・メグミが訪ねる。
「極東支部に要請した増援の到着まで後2分・・・このままだとナデシコはスクラップ確実です」
ルリの言葉はクルーたちを戦慄させる。
「俺のゲキガンガーは出撃できねぇのか!!」
突然、松葉杖をついた男がブリッジに乱入してきた。
「ヤマダさん。あなたは今、足を負傷してらっしゃるでしょう。それにゲキガンガーじゃなくてエステバリスです」
「ダイゴウジ=ガイだ!!こんなのただのかすり傷よ」
ヤマダ・・・改めガイが叫ぶとプロスペクターはガイのギブスを軽く叩いた。
ガイは苦悶の表情を浮かべてのたまわっている。
「唯一の戦力がこれでは・・・やられるのを待つしかありませんかな」
プロスペクターはやれやれといった表情で呟いた。
「大丈夫です!」
突然、きっぱりと女性の声が断言した。
クルーたちは一斉にその女性のほうに視線を向ける。
「こういうときは必ず王子様が助けにきてくれるもんです」
その女性・・・ナデシコ艦長のユリカの発言に一同が唖然とする。
「格納庫から通信。モニターに開きます」
ルリが平然と仕事をこなしていく。
そして、モニターに一人の青年の顔が映し出された。
「うわ・・・なんだ?どうなってんだ?」
その青年は慌てふためいた様子でいる。
ユリカはその青年の顔を見て突然、瞳を輝かせた。
「アキト!アキトなのね!私のピンチに駆けつけてくれたのね」
「ユリカ!?なんでそんなところに・・・」
「そう、アキト。私たちを護ってくれるために一人であの大軍の中に向かって行くのね」
「はぁ!?お前何言ってんだよ。俺はただ、お前が落としたものを届けに・・・」
「愛する貴方をそんな危険な場所にいかせるなんてできない・・・でも、アキトも男の子だもんね」
「とにかく、俺の話を・・・!」
「頑張ってアキト。愛する私の為に!」
「人の話をぉぉぉぉぉぉ・・・・・!!」
そして、そのままモニターは閉ざされた。
その光景にクルーたちは更に唖然としている。
テンカワアキト・・・彼は近くのラーメン屋で働いていた普通の青年である。
だが、昨日起きたガルファとの戦闘音によりトラウマで体がしびれ動けなくなって首になってしまった。
彼は行くあてもなくさまよっていると見覚えのある女性の姿をみた。
その女性、ユリカの落とした写真を拾って彼はその後を追った。
そして、色々とあり何故か彼は現在、ナデシコに積んであったネルガル重工の新型機動兵器エステバリスの中にいた。
IFSと呼ばれる特殊な操縦システムを持つエステバリスはナノマシンを体内に注入しなくては使用することが出来ない。
その技術は軍でもほとんど知られていない新技術でネルガルに関わる一部のパイロットと火星に移住した一部のものたちしか
IFSを操れる証である手の甲の印を持っていない。
アキトはその数少ない一部の火星移住者であった。
その為にこのエステバリスを動かせる唯一の人間として木星トカゲと戦う羽目となった。
アキトに戦闘の経験などない。
それよりも戦闘音を聞いただけでも体が動かなくなるのだ。
「なんで俺は・・・」
アキトは自分自身の不幸を呪った。
どうして、こうも自分は厄介ごとに巻き込まれるのだろうか・・・
悔やむアキトの視界の前方に小さな自動機械・・・対人用兵器。黄色い塗装が施された機械。
アキトは目を見開いた。
見間違うはずがないあれは・・・自分たちを・・・火星の人々を・・・
「うわあああああ!!」
アキトは叫んだ。
そして、エステバリスの近接武器イミディエットナイフを構えバッタに突撃していく。
機体外周に展開される空間歪曲場ディストーションフィールドを身に纏い突っ込んでいく。
そして、立ちはだかるバッタを打ち砕きながらエステバリスは外へと飛び出した。
そこは地獄だった。
無数に散らばるMSの残骸とそれ以上のバッタの残骸。
死闘を物語っていた。むくろたちはただ、無言で語り続けている
アキトは背中に悪寒を感じながらエステバリスを歩かせる。
突如として、背面から弾丸が降り注ぐ。
それらは全てディストーションフィールドに阻まれ地面に落ちていった。
もし、ディストーションフィールドがなかったら致命傷にもなりえただろう。
「くそっ、囲まれてるのか?」
アキトはレーダーに映る無数の反応を見て青ざめていた。
こっちは一機、それに比べてバッタは軽く数十機はいるようだ。
その戦力差はいかんともしがたい更に乗っているのが素人となれば結果は明白といっても良いだろう。
「くっ・・・うわああぁぁぁ!」
アキトは叫ぶとただ、がむしゃらにバッタに向かっていった。
性能はバッタよりも完全にエステバリスのほうが上だ。
一匹をイミディエットナイフで突き刺し破壊する。
だが、残りが一斉にアキトに向かって攻撃をしかけた。
ミサイルが嵐のように降り注ぐ。
ディストーションフィールドにより直撃を防ぐが爆風が完全に視界を奪い去った。
突如としてエステバリスの体が宙に浮き地面に叩きつけられた。
アキトは何が起こったのかわからず困惑している。
エステバリスはミサイルにより弱まったディストーションフィールドをバッタの体当たりで打ち破られ吹き飛ばされていた。
決定打とはならなかったがそれでも機動兵器群の中でも装甲の薄いエステバリスではかなりのダメージとなっている。
「ちくしょお・・・護れないのか俺は・・・」
アキトの脳裏に幼い少女の顔が浮かぶ。
どうしようもない絶望感。自分自身の無力が呪わしかった。
「くそぉぉぉ!!」
エステバリスは立ち上がるとラピッドライフルを乱射しまくる。
弾丸が狙いも定められず飛び交っていった。
だが、必死に抵抗するのも空しくエステバリスはミサイルの炎に飲み込まれそうになる。
だが、そこにはある一定の法則がある。
それはまるで神が記した運命のごとくたどるべき道がある。
だが、一ついえることはそれは神が施した運命でも何かの策略でもない。
しかし、それは真理に近いもの。
立ち上がり戦うべき戦士の危機においてそれは行使される。
脅威なる威光。鋼鉄の洗礼。それは絶対守護の名においてもたらされる正義の印。
鉄の城が炎を防ぎ無力化する。
黒き装甲が炎に揺らめき魔神が世界に浮かび上がる。
それは人の願いがこの世にもたらした正義の形。
悪を打ち砕く絶対足る力。
「危なかったみたいだな」
スーパーロボットマジンガーZの姿がそこにあった。
アキトは呆然とその巨大なる勇姿を見上げている。
「・・・マジンガーZ・・・・本物・・・!?」
アキトはニュースで見ただけのヒーローに驚愕していた。
間近でみるそれは言葉では言い表せない貫禄というものがあった。
「こいつらが木星トカゲか・・・けっ、木星から来たらしいが地球はこの兜甲児とマジンガーZが護ってるんだ。
好き勝手できると思うんじゃねぇぞ!ロケットパーンチ!」
マジンガーZの拳が高速で射出される。
空気を切り裂く巨大なる弾丸は次々とバッタを貫き粉々に砕いていった。
対人兵器に近いバッタ如きの性能ではスーパーロボットに適うはずもない。
アキトはエステバリスの中でその姿をただ、瞳に焼き付けていた。
「やっぱ甲児さんってかっこいい!」
アーテがあいも変わらずヒーローしている甲児に対して黄色い声援を送っていた。
「このままではいいところを全部、甲児に持っていかれてしまうな」
「それは困るよ。かれこれ、私いいとこなしだよ。ここらへんで一発、いいところ見せないと戦力外通告受けて
ディングレイは強制処分で私も監視つきの日常を送る羽目に・・・」
「軍属ではないアーテの場合はそうなる可能性はあるな」
「そんなのいやだぁ!!」
ディングレイは大地を蹴り上げてバッタへと向かっていく。
だが、大きさも機動性も違うディングレイではバッタを追いきれない。
右往左往しながら拳を振るい続けていた。
ここまでのスケール差があれば拳の一撃でも勝負を決することは出来るだろうが当たらなければ意味がない。
「このぉ!ダイナマイトシュート!」
ディングレイの腕のハッチが開き小型の爆薬を射出する。
爆発が起きてバッタの動きが一瞬止まる。
アーテはその隙を見逃さず背部のバーニアを吹かせ大地を蹴り上げ爆発的な推進力を生み出す。
ディングレイの巨大な質量はそのままバッタを吹き飛ばした。
バッタは軽々と宙を舞いそのまま地面に激突して分解される。
「この戦法はつかえるよ!」
アーテは嬉しそうに叫んだ。
「相手を足止めして攻撃を加えるのは基本的な戦術だがな」
キョウスケもスプリットミサイルでバッタを足止めしリボルビングステークでバッタを打ち抜いた。
「むぅ・・・プロの軍人が民間人の少女相手に自分の腕前を披露していい気になるなんていい趣味じゃないよ」
「毒づくな。アルトの機動性ではこいつらを相手にするのが厄介なだけだ。それに言ってやれるような代物ではない。
民間人でそれだけ出来るなら相当なものだ」
「そう!?やっぱキョウスケ中尉は分かってるよ」
「・・・ふぅ」
キョウスケは疲れたような表情を浮かべて次の目標へと向かっていった。
ディングレイはミサイルの直撃を受けず装甲の厚い部分で防いでいった。
派手な爆発を起こしているが実際には大した損傷は受けていない。
それでもかわせるならそれにこしたことはないのだがそこまでの機動性はディングレイに存在しない。
「シールドが欲しいな」
アーテは攻撃を防ぎながら呟いた。
そして、接近してきたバッタを空中で掴みそのまま地面で叩きつけた。
「これでとどめだ。ルストハリケーン!」
マジンガーZの口から酸性の暴風が迸りバッタを飲み込み溶かしつくしていった。
「よし、これで片付いたか?」
甲児はあたりを見回しながら呟いた。
どうやらバッタは完全に倒しきったようだ。
アルトアイゼンとディングレイは装甲に軽い損傷。マジンガーZにいたっては全くの無傷だった。
その圧倒的な強さにアキトは茫然自失としていた。
戦闘中もマジンガーZはずっとアキトを護り続けていた。
それでもそのほとんどを一体で撃破し損傷もない。
むしろバッタの兵装ではマジンガーZの装甲に傷一つつけることすら適わなかった。
正しくスーパーロボットというところだろう。
「いや、まだだ」
キョウスケが呟くと同時に皆、気がついた。
レーダーに映る無数の機影。
バッタの大群がこの佐世保に向かっていた。
「うわぁ・・・自分の目を疑いたくなるってこういう状況をいうんだね・・・というか、昨日の戦闘とまるっきり
同じ状況だよ!」
アーテが叫んだ。全く持ってその通りだ。
お約束というかなんと言うか戦術的に弱ったところを叩くのはいいというか・・・
まぁ、戦力は随時投入よりも一気に投入したほうが効果的なんですがね。
まぁ、とにかく木星トカゲにとってナデシコはそんな戦術的なミスがあろうともどうにかしても落とさねばならないということだろうか?
「電童がいれば一撃で終わるだろうけどな」
アーテは昨日と同じ状況ならと思い呟いた。
まぁ、それが無理なのも分かっているから誰も突っ込みをいれない。
どっちにしろ危機的な状況なのに代わりはない。
「まぁ、どんなに出てこようがマジンガーZでぶっとばすだけだけどな」
「全弾撃ちつくしても、たとえ両腕がもがれようとも戦いぬくだけだ」
「う〜ん、二人とも漢だねぇ」
アーテは二人の意気込みに感動しつつディングレイを構えさせる。
その時、レーダーに突然、巨大な熱量が映し出される。
それは海を割り暗き空にその白き装甲を浮かび上がらせた。
ナデシコ・・・花の名を冠されたネルガルの切り札。機動戦艦。
「貴方の為に急いできたの」
「艦長。その割には予定よりも随分と遅れてます。もし、スーパーロボットが間に合わなかったらあの人死んでましたよ」
「大丈夫よ。アキトは愛する私を残して死んだりしないわ」
ナデシコの艦長の妙なテンションに流石のアーテたちも唖然としていた。
「とにかく。ルリちゃん。ど〜んとやっちゃって」
「やります。グラビティブラスト広域放射」
ナデシコの最強兵器。強力な重力場を放射して敵を押しつぶし破壊する必殺兵器。
その威力は容赦なくバッタたちを飲み込み一瞬にして鉄くずへと変えていった。
重力場によって引き裂かれた海が元に戻り大きくうねりを上げる。
その頭上の空間は何も残らずただ、静かな空間が広がっていた。
「わぁ・・また、どーにかなっちゃったよ。これもスーパーロボットの力なのかな?必殺お約束みたいな」
アーテは禁断の領域に突っ込みをいれている。
「ともかく、危機はさったようだな。ネルガルの戦艦・・・連邦軍の戦艦よりも格段に性能は上のようだな。
もしくは連邦軍最強の戦艦大空魔竜に匹敵するかもしれん」
キョウスケはグラビティブラストの威力に驚愕していた。
戦艦があれほどまでの攻撃力を持つとは。
機動兵器がそれ以上の威力の兵器を持っているほうが問題な気もしてくるが。
「アキトぉ〜、大丈夫〜?」
ユリカの声に反応してエステバリスが起き上がる。
損傷は激しいがまだ、稼動できる範囲内だ。
「ありがとうございました・・・俺、結局何も出来ないで助けられて」
「何言ってんだよ。たった一人であの多勢に戦いを挑むなんざそうそうできることじゃねぇぜ。
お前がいかなきゃ俺たちは間に合わなかった。あの戦艦はお前が護ったんだよ」
「・・・甲児さん・・・」
アキトはその言葉に感銘を受けていた。
これほどまでに伝説の英雄の度量は大きいのだろうか。
自分なんかとは違う・・・その勇姿、言葉はアキトの心に刻み込まれた。
「こら〜!てめぇアキト!自分ひとりで活躍した挙句に兜甲児に激励を受けるだぁ!?!?
手前一人だけいい思いしやがってぇ!!!」
ナデシコから暑苦しい声が響き渡る。
「邪魔ですヤマダさん。とにかくテンカワさんは一回、ナデシコに戻ってください。
私たちはこれから火星に向かいます」
「火星・・・火星だって!?」
アキトは驚き声を上げる。
火星・・・自分の生まれ故郷・・・そして・・・・
「なんだ、もう行っちまうのか?」
「すみません。助けてもらって感謝してるんですけどこっちにも色々と事情があるんですよぉ」
「それならしゃあねぇな」
「随分とあっさりしてるんですねぇ。何で火星に向かうのかナデシコってなんだってきかないんですか?」
「知ったところでどうにかなるわけじゃねぇしな。それに縁があればまた、会うことになるだろ。
なんたって俺たちは地球を護る同士なんだからよ」
「・・・かっこいい。流石はマジンガーZのパイロットは言うことが違いますね」
「好意に感謝します」
ナデシコはアキトを回収するとそのまま真っ直ぐに宇宙を目指し飛び立っていった。
作戦は終了した。
このまま帰還すればゆっくりと休める。
アーテは全身にかいた汗を不快に感じながらそんなことを考えていた。
その時、突如としてディングレイに衝撃が走る。
アーテは訳が分からないまま衝撃に体をゆすられた。
小さな体にシートベルトが食い込む。
「アーテ!」
突然の襲撃に気づいた甲児とキョウスケが戦闘態勢に移行する。
その目の前にはザリガニを二足歩行させたようなフォルムのロボット軍団歩いてきていた。
「データベースに存在しない機体・・・何処の組織の機体だ?」
あいにくと敵組織が多すぎて絞りきれそうにもなかった。
「そんなことは後にしてさっさとあいつらをぶっ飛ばすぞ」
「そうだな」
マジンガーZとアルトアイゼンがそのザリガニロボに向かって突っ込んでいった。
「くっ・・・不意打ちなんて・・・」
アーテは何とかディングレイを立ち上がらせた。
だが、左肩の装甲が大きくえぐられている。
稼動に問題はないがもう一度同じ箇所の攻撃を食らったら間違いなく左腕がもげるだろう。
「奇襲は戦術の常套手段だ」
アーテの耳に聞き覚えのある静かな声が聞こえた。
「・・・そうだね。でも、一つ付け加えるなら悪党が得意とする戦法でもあるよ」
アーテはディングレイのカメラ越しにその巨大なるロボットをにらみつけた。
世界を征服するために作られた侵略兵器。
父親の因縁の敵、ディングレイの宿敵。
「軍に所属したか・・・当然の答えだな。こっちが魔都の力を借りるならばそっちは連邦軍・・・
いや、スーパーロボット・・・偉大なる先輩の力を借りるか」
「くっ・・・どうだっていいでしょ。それに私はあんただけじゃない。この世界にはびこる悪と戦うために
この力を・・・ディングレイを使うんだよ」
「ふふふ・・・ははは。ディングレイを・・・心がけは立派だな。だが、実力に見合ってないんじゃないのか?」
「なにっ!?」
「お前は彼らの役に立っているというのか?ディングレイ如き性能でこれから来るべき脅威に立ち向かえると思っているのか?
相手はたかが天才科学者じゃない。宇宙を次元を震撼させるほどの闇・・・いや、もしくは人知をはるかにこえし者かも知れない。
それに対してお前は人類観点のみの科学により生み出されたたかが鋼鉄の巨人で立ち向かう・・・
それは絶望に等しき道をむやみに突き進むのと同じことだぞ」
魔光がアーテを罵る。
だが、その声は真っ直ぐでまるで問いかけるような教えるかのようなそんな厳しい声だった。
「それは・・・・・でも・・・やらなきゃならないんだよ。戦わなきゃならないんだよ」
「何故だ?父の約束か?だったら俺だけを相手すればいい。俺を倒せばいいそれで終わりにすればいい。
軍になど加担せず大いなる脅威に目を向けずただ、俺を目指し突き進めばいい」
「・・・・・・」
アーテは答えられなかった。
戦う理由・・・それは確かに父の教えだから。
それだけなのだろうか・・・それだけの為に戦っているのだろうか・・・
「答えられるなら・・・ここに屍をさらし消えていけ戦場から」
魔光のギレイG7が指のドリルを高速回転させてディングレイに向かってくる。
眼前に脅威が迫ろうともアーテは動けずにいた。
何故だろう・・・腕に力が入らない。
迷っている・・・今まで迷いなんか無かったのに・・・
ただ、真っ直ぐ戦い続ける甲児を見ていると自分が何故か惨めに思えていた。
言われるがままに戦っている自分が・・・・
言われるがまま・・・
本当にそうなのだろうか?
父親のためだけなのだろうか・・・
ディングレイの腹部装甲をドリルが貫く。
内部の機関が激しい音を立ててひしゃげ爆発する。
コクピットの計器が紫電をたて、絶望的な数値をたたき出していく。
「それが答えか・・・」
ギレイG7はそのまま腕を引き戻そうとした。
だが
「そう・・・これが答えだよ」
ディングレイはギレイG7の腕を掴む。
各部モーターが焼ききれんばかりにフル稼働し装甲を圧迫していく。
「何!」
「私は戦う・・・そう、ディングレイを真のスーパーロボットにしてみせる!私は・・・私は!
世界を護るための鎧となる!」
ディングレイは力任せにギレイG7の腕を引きちぎった。
そして、腕を腹部に刺したままギレイG7へと歩み寄る。
異常音を発せながらディングレイは歩き続ける。
モーターが以上加熱しディングレイの内部温度はどんどんと上昇していった。
「そうだよ。必要なんだ・・・世界を護る英雄を護るための鎧が・・・私はそんな風になりたい。
そう思う。今、決めたんだよ!」
「・・・決意した・・・だが!」
ギレイG7はミサイルをディングレイに向かって打ち出した。
ディングレイはそれを左腕で叩き落す。
爆発がディングレイの装甲を吹き飛ばし内部フレームがむき出しになった。
「うらぁ!」
ディングレイは大地を踏みしめ巨大なる右足を高速で振るった。
しかし、体制がままならぬままに放たれた一撃はギレイG7に触れることすら適わずに空を切る。
「決意しようが覚悟しようが実力不足は変わらない。一度、その身に刻むんだな。敗北という文字を」
ギレイG7のドリルがディングレイの頭部を粉砕する。
しかし、ディングレイはそれでもおくさずに立ち向かった。
「ダイナマイトシュート!ゼロ!」
ディングレイは右腕のハッチを開放しそのままギレイG7にたたきつけた。
腕が爆発しギレイG7の装甲を弾き飛ばす。
「・・・無茶苦茶な!」
「無茶でも苦茶でも結構!この命を世界の平和の為に捧げられるなら本望だよ!!」
アーテが叫んだ。
その言葉に魔光は薄ら寒いものを感じた。
いけない・・・これはいけない・・・
ギレイG7はディングレイの特攻をかわすと一旦距離をとった。
ディングレイはそれでも必死にギレイG7を目指して走り出す。
だが、激しい衝撃によりディングレイのシステムは大量のエラーを出しオートバランサーも上手く作動しない。
その為にディングレイは無様にそのまま地面に倒れこんだ。
「くっ・・・システム再チェック・・・・動け・・・動いてよぉ!」
アーテは何とかシステムを復旧させようとするがもはや再起動してもまともに動くかも怪しい。
たとえいくら頑丈に作られていようと限界以上に無茶をすれば動かなくなる。
「・・・お前は知らなければならない・・・戦いたければ知らなければならない。敗北を・・・
勇ましき英雄の生き方をまねれば英雄になれるわけじゃない。君はその器じゃない。
君は凡人なんだ」
魔光はそう告げるとそのままその場を去っていった。
ただ、アーテは押し黙ってその言葉を受けていた。
返す言葉なんてない。
返せるわけがない・・・・負けたのだから・・・・敗者が聞ける口なんてない・・・
「アーテ!」
甲児とキョウスケが駆けつけたがアーテは何も返さなかった。
ディングレイは銅金の工場で修理が行われていた。
修理といっても予備のパーツに交換するだけだからさほど時間はかからない。
アーテは空に浮かぶ月を眺めていた。
覚悟を決意し言葉にもしたのに何の意味も成さなかった。
その場の勢いの答えでは意味を成さぬというのか・・・
違う無力なだけだ。己自身が・・・
「よぉ、アーテ。けいきよく負けたな」
そんなアーテに甲児が話しかける。
「・・・・・・・すみません。私・・・結局、何の役にもたててないですよね・・・役立たずです」
「おいおい、一回負けたぐらいでそんなに落ち込むなよ。俺の仲間にゃしょっちゅう撃墜されてるけど元気な奴がいるぜ」
「・・・・・・・私、軍辞めます。甲児さんの足をひっぱるぐらいだったら」
「・・・・ふぅ。アーテ、明日光子力研究所につれてってやるよ」
「えっ?」
「別に急な任務もないしな。俺も一度ぐらいは帰っておきたいし」
「でも・・・」
「いいから。約束だぜ」
甲児はそう告げると去っていった。
アーテは甲児が何かを企んでいるのだと分かった。
だが、詮索する気分にはなれない。
このまま眠ってしまおう・・・それがいい・・・
次回予告
戦う意義を見失うアーテ。彼女を奮い立たせる為に甲児は光子力研究所を訪れる。
そして、再びゾンダーがその暗躍を開始する時、
獅子の結晶を持つ勇者王と古城に眠りし重力の騎士が目覚めの時を迎える。
アーテは再び戦場に立てるのか・・・
次回
スーパーロボット大戦 〜OVER THE GOD〜
第二章 日本激闘編
第五話 重力の騎士
平和の為に、そびえたてディングレイ!