スーパーロボット大戦
〜OVER THE GOD〜
第三章 地球混迷編
第六話 戦士の証
牙王は夜の街をふらつくように歩いていた。
やらなければならないことがある。
その為には力が必要だ。
そして、その力を自分は持っている。
知らないうちに・・・“かつて”という人生の中で手にしていた。
だが、それは今の自分を否定してしまう。
そんな恐怖感がそれを操ることを拒否する。
だが、やらなければならないこと・・・
サードを救いたいという気持ちは自分が拒否する過去であること。
そんなことは分かっていてもこの気持ちは止められなかった。
どうしようもないほどに恐ろしかった・・・この気持ちを否定してしまうのが
極点王を手にし戦うよりも・・・
今の自分を否定するよりも・・・
この気持ちを否定するほうが・・・
自分の全部を否定してしまうような気がした・・・
「オレは・・・どうなっちまうんだろうな・・・」
牙王は誰に言うでもなく空を仰いで呟いた。
そこには満月がまるで牙王を見守るように浮かんでいる。
「やっぱり、牙王は帰ってきてないんですか」
九郎は教会を訪れていた。
昨夜、ガンダムと冥獣との戦いにおいて突如として現れた極点王。
だから、九郎は牙王が死んでいないこと、この街にいることは分かった。
帰ってきているのではと尋ねてみはしたがやっぱり無駄だったようだ。
「で、汝は牙王を探してどうする気なのだ?」
アルが厳しい目線で九郎を攻め立てる。
牙王と関わりあうということはそれだけで普通の人生とは異質だ。
地球の王と呼ばれる存在・・・それはありとあらゆる外道の法を記録するアル=アジフとしても異質なもの。
「どうも。ただ、心配なだけだ。知ってる人間がいなくなっちまうってのはいい気がしねぇからな」
九郎の言葉は真実だろう。
だが、それだけでないことは読み取れる。
だから、その態度がアルをいらだたせる。
「いい加減、汝は・・・」
「九郎さん!」
そこにハジキが飛び込んでくる。
「牙王が生きてたって本当なのか?」
「あぁ」
その言葉に責任の一端を感じていたハジキは安堵の表情を浮かべた。
「それじゃ、今何処に?」
当然の疑問に九郎は答えられない。
極点王を牙王が操ることは言ってはいけないと感じていた。
少なくとも普通に暮らす人に話していい話ではない。
「それが見かけただけで居場所は分からないんだ・・・あいつのことだから多分、大丈夫だと思うんだが・・・」
九郎はそうはいうが安心できなかった。
牙王はとても壊れやすそうで放っておけない。
野放しにすればそのまま消え入りそうな存在だ。
まるで自らで自分の存在を否定しているような。
「九郎!そんなに心配なら探しに行けば良かろう!」
「って、言ってもだな。俺だって仕事が・・・」
「仕事など入ってなどいないだろ」
「一応、お前の替わりの魔導書をさがせって姫さんにはいわれてっけど」
「ふん、あの小娘も諦めが悪い。デモンベインは妾のものだというのに」
「デモンベイン・・・?」
ハジキが聞きなれない言葉に疑問を投げかける。
九郎はアルを素早く抱えると走り出した。
「それじゃ、オレは仕事があるから、またなぁ!」
「こら!何処をさわって・・・」
そのまま、嵐のように去っていった。
「なんだったんだ・・・一体・・・」
ハジキが唖然としているとライカがその肩を掴んだ。
「ハジキちゃ〜ん、ちょ〜っとお話があるんだけど」
ライカが全開の笑みでハジキに話しかける。
その笑顔は怖い・・・凄まじいプレッシャーだ。
「ははは・・・なんです?」
「このごろ、出席率が悪いんだけど・・・まだ、あの仕事してるんじゃないでしょうねぇ?」
「いや・・・それは・・・」
「ちょ〜っと、奥で話そうか」
ライカは気軽にいうがハジキにはまるで独房に入れられるかのような絶望感を感じた。
「それで覇道のお嬢様が私になんの依頼かな?」
椅子に座りコーヒーカップを口につける黒い紳士。
ロジャー=スミスは優雅に仕事の話を進める。
「この前、ロジャーさんが預かってたという疫神牙王という少年についてです」
「彼か・・・彼が持つあの極点王というスーパーロボットの力を手に入れるおつもりかな?」
「そうですわ。あれがあればブラックロッジとの戦いに役に立ちます。デモンベインが使えない以上、この街の護りは素早く固めたいですから」
「確かに破壊ロボが相手ではMSでは辛いの現実でしょう」
「あなたのビッグオーが協力してくださればそんな必要もないのですけどね」
「さて・・・なんのことかな」
ロジャーがとぼけてみせるが彼がビッグオーを操っているのを瑠璃は知っている。
瑠璃の祖父、覇道鋼造もロジャーのネゴシエイト技術よりもそのビッグオーを頼っていたからだ。
「とりあえず、昨日は偶然、居合わせたチボデー=クロケットとドモン=カッシュに助けられましたが彼らは元々はコロニー国家のファイター。
ガンダムファイトの予選もありますし何時までもここにいるわけではありませんからね」
「しかし・・・覇道財閥ほどの財力があるならあのガンダムを作ればいいのではないかね?」
「無理です。知っているでしょう。あれはコロニーの技術の粋を集めたMS。連邦軍からの横流し品しか買えないうちのルートじゃ手がだせるものじゃありません。
ただでさえあのケチなアナハイムがMSのルートを圧迫しているんですから・・・」
金持ちは金持ちで大変らしい。
「では、そちらの交渉を受け持ちましょうか?」
「結構です。いきなりMSの製造工場でも襲われても適いませんからね。今、あそこを敵に回すわけにはいきません」
「やれやれ・・・信用されてないようですね」
「そんなことは・・・でも、そんな遠まわしをしていても間に合いません。私が欲しいのは今すぐにブラックロッジと戦える力です」
「・・・ふむ、仕方ない。これもビジネスだ。わかりましたお受けしましょう」
ロジャーはそういうと立ち上がった。
「助かります。では、一時的に貴方に覇道財閥総帥の名においてアーカムシティでの行動規制をAレベルまで解除します」
「感謝します」
「分かってると思いますが・・・もし、アーカムシティに出たり、パラダイムシティについて語った場合、貴方を抹殺せねばなりません」
「肝に銘じておきます。それでは・・・」
ロジャーはサングラスをつけると部屋を退出した。
異端に対して禁忌を用いる。極めて覇道らしいやり口といえる。
パラダイムシティは覇道の管理の下、完全なる極秘事項となっていた。
どういうわけかレーダーにもひっかからず、霧が万年覆っているために肉眼での確認も困難だ。
よっぽど、運が悪くなければ見つかることはありえない。
だが、そんな都市にもブラックロッジは出現する。
ありえないはずの街を最初から知っているかのように。
マスターテリオンは玉座に座り気だるそうにエセルドレーダの髪をいじっていた。
彼にとって全ての事象がつまらないのだろう。退屈は最も恐ろしい拷問でもあった。
そこに混沌が訪れる。
「相変わらずだね。大導師」
「貴公か・・・今回はその姿なのだな?」
「そうそう、ナイアって呼んでね」
「相変わらずひねりの無い」
「ネーミングセンスは今一でね・・・それよりも今回は凄いことになってるわよ」
「ほぉ、貴公がそうまでいうとは・・・確かにあの光は今までの比ではなかったが」
マスターテリオンはイージス計画の際に放たれたスーパーロボットたちの光を思い出す。
あの強大なエネルギーと想い・・・それは正しく力だった。
「それもあるね・・・だけどそれ以上に色々と感じられている。結合された異世界で、あの鋼の都、日本で、他の大地にも、そして宇宙にも様々な力が渦巻いている。
これほどまで混沌とした様子は今までになかった。15年前の戦いのときも、一年前の戦いのときもそう感じてたけど。
ここまで来て確信したよ・・・今回で終わる。どのような結末になるかは分からないけど確実にね」
その言葉にマスターテリオンは初めて目を開けたように感じた。
何時も、何も見ていなかった瞳が何かを見つめ。
そして、立ち上がる。
「では・・・余もその力を味わいに行くとするか」
「いくのかい・・・目的は彼かな・・・?それともハートの王様?黒い交渉人?もしかして、あの地球の王とかいう子かな?」
ナイアの言葉にマスターテリオンの口端が少し緩む。
「全員だ」
そう嬉々とした感じで答えた。
ドモンは街を歩いていた。
昨夜の戦いでシャイニングガンダムも少なからず損傷してしまいそれをパートナーであるレインに怒られ、逃げ出してきたのだ。
激しい鍛錬よりも小言を聞くほうが答えるとドモンはそう思っている。
チボデーとの再戦の約束もあるのでしばらくここにとどまらなければならないドモンは少しいらついていた。
彼には目的がある。ガンダムファイト以外の目的が・・・
そのためにドモンはそのための情報集めをしていた。
「この男を知らないか?」
半分に破かれた写真の断片を突きつけ尋ねる。
聞き方がぶっきらぼうなために厄介ごとに発展しかねないが街のごろつきなどコロニーの格闘技チャンプからすれば相手ではない。
軽くあしらって次へと移っていた。
裏路地、浮浪者がうろつく中でドモンは一人の少年を見つける。
その少年の瞳は正しく刃だった。
ギラギラと輝く・・・何に対して不満を感じているのかそれは何もかもを切り裂こうとしているかのようだ。
その様子にドモンはまるで今の自分を重ねているように感じ、声をかける。
「おい、この男を知らないか?」
ドモンはお決まりの感じで写真を突き出す。
だが、少年は一瞥もせずにただ、座り続けていた。
「聞こえないのか?」
「聞こえている」
返事は即座に返ってくる。だが、明らかにとげとげしい。
「なら、見て答えろ」
だが、ドモンはそんな感じも分かっているのにあえて高圧的な態度で接した。
少年は顔を上げるとドモンの顔を睨みつける。
「五月蝿い・・・俺に関わるな!」
少年が叫ぶ。
だが、ドモンにはその叫びが空虚なものに感じられた。
関わるな・・・その言葉が響いてこない。
しかし、ドモンは気にしない。
「オレが質問しているんだ。答えれば去るさ」
「・・・五月蝿い」
少年はギロリとにらみを利かすと腰に差していた刀を抜く。
白刃が暗い路地裏で危険な光をかざした。
大地を蹴り、勢い良く突進する。
迷いのない中々の踏み込みだ。
だが・・・
「遅い」
ドモンは軽々とその攻撃をかわす。
コロニー格闘技の王者にとってその程度の踏み込みなどとまってみえるというもの。
正しくレベルが違った。
「くっ!」
少年が連続で刀を振るうが全てドモンに紙一重でかわされる。
紙一重の距離が余りにも遠かった。
あと数センチのはずなのに当たるという事実がありえないように感じられる。
「くっ・・・あぁ!!」
少年は勢い良く刀を振るった。
その大振りは動作が大きくとてもじゃないがドモンには当たらない。
だが、
「!?」
ドモンは右手で刃を押さえていた。
ドモンの首筋を狙い鋭く放たれた一撃・・・
それは少年が振るっている刃だ。
「・・・貴様、何者だ」
ドモンはその斬激に違和感を感じた。
速いんじゃない。
突然、現れたのだ。
気配が突如として出現し首を切り裂こうとした。
ドモンほどの反射神経と拳のスピードでなければ頚動脈を切られていたところだ。
「・・・あの一撃を・・・人間なのか?」
少年も驚いていた。
あの一撃が外れるはずないと確信していたのだ。
ありえない
こんなことが人間に可能なのか・・・
「牙王!!」
突如として一つの声が少年にあびせられた。
通りのほうからやってくる長身の青年と小さな少女。
「・・・九郎・・・アル・・・」
少年・・・牙王は呆然とした様子で現れた二人組みに呟いた。
「牙王こんなところで・・・まさか、この人に喧嘩を売ったのか!?」
九郎は驚愕していた。
喧嘩を売ったことよりも、売った相手に。
何せあのコロニー格闘技の王者、ドモン=カッシュだ。
命があるだけでももうけもんな気すらしてくる。
「・・・お前たちはこいつの知り合いか」
ドモンが真っ直ぐに九郎を見て尋ねた。
「ほぉ・・・中々の闘気だな。昨日の身のこなしといい・・・もはや、人間の域を超えておる」
アルはドモンの全身から発せられるオーラに感心していた。
どれほどまでの修練を積めば人間がこの位置につけるというのか。
魔術の素養は見当たらない。
人間が本来持つ筋肉と気というものでここまでの強さを手に入れたのだ。
魔術師よりもありえないとさえ言える。
「そこの小娘も、お前も妙な気を纏っているな・・・もしや、貴様ら師匠の言っていた魔術師という輩か?」
ドモンは拳を突き出し構える。
臨戦態勢だ。
直ぐに攻撃が飛んできても可笑しくない。
「ちょ、ちょっと待て!?なんだっていきなり!?」
九郎はいきなりドモンに拳を向けられ焦っていた。
ある種、拳銃を突きつけられるより怖い。
「魔術師は人の世を乱す者と聞いている。シャッフルの紋章にかけて貴様らのような者を野放しには出来ん」
ドモンの拳にキング・オブ・ハートの紋章が浮かび上がる。
「なっ・・・あの紋章は・・・九郎、とてもじゃないが勝ち目がないぞ。破壊ロボより質が悪い」
「んなことは分かってるよ!とりあえず、落ち着きましょう。ね?」
九郎は狼狽して頭を下げていた。
真正面から殴り合いをして勝てるわけがない。
マギウスになったからといって勝てるともとても思えなかった。
昨日の動きでそんなことはとうに分かっている。
「・・・敵意はないようだな」
ドモンはそう感じると拳を収めた。
「とりあえず、ここじゃなんですし場所を移しましょう。牙王も」
九郎は一安心すると牙王に視線を移した。
牙王はばつが悪そうな表情でそっぽを向いている。
教会
「牙王、今までどこに行ってたんだ?」
九郎は責めるように牙王に尋ねた。
椅子に腰をかけた牙王はそっぽをむいて答えようとしない。
「ライカさんだって、ハジキだって心配してたんだぞ」
「・・・関係ない。俺にかかわるな」
牙王が叫んだ。
何処に向かうでもなくただ、はき捨てるように
「関わるなって・・・ほおっておけるかよ。お前みたいな危なっかしい奴」
「オレはやらなきゃなんないことがあるんだ。ここにいるとオレは戦いを呼んでしまう」
「そうか・・・お前、ライカさんたちのことが心配で・・・」
「違う・・・邪魔なだけだ。オレを取り巻く全てが・・・空気だってなくなってしまえばいいのに」
牙王は何に対してそこまでいらついているのか感情が高ぶっている。
「牙王・・・」
「重症だな・・・人間、悩みがあると自暴自棄になるが・・・ここまで激しいとはな」
アルは呆れた様子で呟いた。
「この前までそんなんじゃなかったじゃないか。一体、何があったんだ。ハジキにだって積極的に手伝ってたのに。
あの後、なんかあったのか」
九郎は不安を感じていた。
もしかしたら自分のせいで誰かを巻き込んで落ち込んでいるのかもしれない。
それすらも憶測だ。
だから、何があったか聞きたかった。
出なければかける言葉が選べない。
「・・・・・・」
「だんまりか。牙王、黙ってちゃわかんないだろ!」
九郎が立ち上がり叫んだ。
いい加減、頑なな態度に我慢も限界だ。
元々、気が長いほうではない。
「そこまでだ」
その時、教会の入り口から制止の声がかかる。
一同の視線がそこに注がれる。
そこには黒いスーツを着た紳士がたっていた。
「答えたくないものを無理やり聞き出そうとするのは感心しないな」
「誰だ、あんた?」
「ロジャー=スミス。ネゴシエイターをしている」
ロジャーはサングラスを外し挨拶をした。
「ロジャーさん」
牙王はこの場にいるはずがない人物に驚いていた。
「まさか、君にこんなに早く会うことになるとは私自身も思ってなかったよ。牙王」
「知り合いなのか」
九郎は牙王とロジャーの接点が思い浮かばず驚いていた。
「少し彼を世話したことがあるだけさ。ほんの二日前だがね」
「二日前って・・・ブラックロッジに追われた後か」
九郎は納得した。
行方不明だったときに世話してくれていた人か。
「どうやら、事情を知っているようだね」
「・・・・・・」
「ふぅ・・・さっきまでマナー違反だと思いつつ立ち聞きしていたが・・・牙王、君は私と別れた後に何かあったのか?
あの時の君と随分と感じが違う・・・何をそんなに恐れているんだ?」
「・・・違う、恐れてなんかない・・・」
「あの力が、極点王とかいうものが怖いのか」
「違う」
「では、やはりあの少女のことか」
「!」
ロジャーの言葉に牙王は口をつむぐ。
「私はあの時、君は戦うと確信していた。それは正しかったようだな。しかし、君は何かを失うことを恐れている」
「・・・・・・・」
「いや、違うな。得ることを恐れているんだな」
「!」
「分かりやすいな」
ロジャーとのやりとりを聞いて九郎は思い出した。
牙王は両親や友人といった大切な人を冥獣に殺されていることを。
大切な何かを失うことを極端に恐れているのだ。
「しかし、君は一人であの少女を助けだせると思っているのか?」
「・・・助ける。誰の助けも要らない。ロジャーさんの力も、九郎の力も借りない。これは俺の問題なんだ!」
牙王が叫んだ。
ロジャーの顔を見て真っ直ぐに。
これは彼の本音だ。
嘘のない。
失いたくないのだ助けてくれた恩人たちを自分の勝手で。
戦う力があるなら失うのは自分自身だけで良い。
「大した心がけじゃないか」
今まで静観していたドモンが口を開いた。
「どういう意味だ?」
「そのままさ。自分がなそうということに他人の力など必要ない。そういう決心をつけている相手に手を差し伸べるのは逆に無粋じゃないのか?」
ドモンは正しいと思って口を開いていた。
だが、ロジャーも九郎もその言葉を不快に感じる。
「では、君はどんな苦境に立とうとも一人で乗り越えると。命をなくしてでも」
「そうだ。自分の手でやり遂げねばならんことは自分の手でなす」
ドモンは強い意志を瞳にこめて睨んだ。
その信念は大したものだが何処か狂っているように感じる。
四人が四人とも違う思惑で静寂を生み出していた。
四人とも思いが違う方向に向かっている。
まるで交わるのを避けるように・・・
だが、静寂に不吉な気が投げかけられた。
一斉に全員が教会の入り口に視線を向ける。
「ほぉ、これは全員、そろっているとはな。余は運が良い」
金髪の美少年は嬉しそうな微笑を浮かべる。
その笑顔に全員が凍りついた。
悪寒が全身を駆け巡る。
少年から放たれる気が心を不安にさせる。
ここにいちゃいけない。
本能が必死に忠告する。
だが、動けなかった。
動くことがままならなかった。
「久しいな、大十字九郎、それにロジャー=スミス」
少年は九郎とロジャーに話しかける。
「誰だお前は・・・・くっ!!」
ロジャーの脳裏にイメージが生まれる。
三つの瞳が闇に浮かぶ・・・
「うっ・・・お前は・・・マスター・・・」
ロジャーが頭を抑えうずくまる。
「マスターテリオン!!」
替わりというわけではないがアルが叫んだ。
「マスターテリオン・・・まさか、こいつがブラックロッジの!」
九郎は信じられないという面持ちでマスターテリオンを見た。
いや、彼の放つこの圧倒的な恐怖・・・納得せざるを得ない。
「そうだ。余がブラックロッジを束ねる首領マスターテリオンである」
金色の髪が揺れる。
全てが不吉だった、
彼がこの場にいるだけで死んでしまうのではないかという恐怖を感じる。
「貴様・・・魔術師だな」
そんな中でもドモンは真っ直ぐにマスターテリオンを睨んでいた。
威圧感は感じているだろう。
だが、それでも鍛えられた心はそれを打ち破り彼を動かす。
「そうだ。キング・オブ・ハートよ。マスターアジアは元気か?」
「なっ!貴様、師匠を知っているのか!?」
「良く、知っている。人間であれほどまでの力をもったものはそうはおるまい」
「ふっ・・・なるほど。師匠が言っていた世界を混沌に陥れる魔術師とは貴様のことだな」
「そうだろうな。奴は余を敵視していた」
「ならば・・・覚悟!」
ドモンは飛び出し拳を打ち出す。
だが、マスターテリオンはそれを軽く受け止めていた。
「なっ!?」
「どうした・・・この程度ではマスターアジアには遠く及ばんぞ」
「くっ!」
ドモンは連続して拳をうちだした。
その速度は神速、もはや一般人には残像のみがうつるほどだ。
だが、マスターテリオンはそれを全て片手で受け止めていた。
「まっ、まるで拳がみえねぇ」
九郎はその人間離れした突きに目を見開いていた。
「しかも、一発一発が壁を突き破るほどの威力だ・・・しかし、その程度では奴には通じぬ」
アルは悟ったかのような様子で呟いた。
次の瞬間、ドモンの体は宙に打ち上げられそのまま、椅子に突っ込む。
「どうした、ドモン=カッシュ。キング・オブ・ハートの紋章が泣いているぞ」
「・・・くっ・・・黙れ!」
ドモンは一般人なら即死でも可笑しくない衝撃から身を起こした。
しかし、ダメージは大きいようで足がふらついている。
「その程度ではデビルガンダムを止めることなど不可能だな」
「!貴様、何故デビルガンダムのことを知っている!?」
「あれは実に興味深い代物だからな」
「まさか、貴様・・・キョウジをかくまっているのか!」
「いや、デビルガンダムの所在は余が聞きたいくらいだ」
マスターテリオンは本当に知らないらしい。
嘘をついている口調には思えなかった。
「デビルガンダム・・・ガンダムってことはMSだよな。そんなものを欲しがるなんて」
「・・・デビルガンダム・・・なんだとてつもなくいやな感じがする」
アルは薄ら寒いという感じで両腕を押さえていた。
「アル=アジフ、貴公は覚えていないようだな。まぁ、思い出したくもあるまいがな」
「どういう意味だ?」
「今の貴公には関係のないことだ。さて・・・余興は終わりだ。大十字九郎」
マスターテリオンはゆっくり九郎に近づいてくる。
九郎は身動きがとれなかった。
恐怖が体を支配する。
「何事ですか!?」
「なんだなんだ!?」
そこに横のドアからライカとハジキが出てきた。
最悪のタイミングだ。
恐らくドモンが椅子をぶちまけた音で慌てて出てきたのだろう。
「ふん、虫けらか・・・いや、虫けらではないものもいるな。まさか、貴公もここにいるとはな」
マスターテリオンはハジキを見る。
「なっ・・・なんなんだお前は!?」
ハジキの顔が見る見る青ざめていくのがわかる。
「始めまして・・・になるかな。貴公たちにとっては・・・いや、一人、余でも始めましてがいるが」
マスターテリオンは次は牙王に視線を移した。
「・・・・」
牙王は絶句している。
力の差を感じているのだ。
勝てないと悟っている。
「サードの報告どおりだな。余をもってしてもその力、全容がつかめん」
「!?貴様、サードを知ってるのか!?」
牙王はサードという言葉で言葉を取り戻した。
挑みかかるような視線を向ける。
「・・・サードに興味があるのか。なるほど・・・サードはブラックロッジの構成員だ。余の玩具といっても良い。好きに出来ると言うことだ。
この意味が分かるか。少年」
「!!」
牙王は怒りに身を任せて突進した。
白銀の刃が揺らめく。
巨大なオーラが教会全体を覆い、一気に刃に集中した。
しかし・・・
「この程度か」
刃はマスターテリオンに届かない。
腕に刃はたっている。
だが、傷が一切つかない。
「失望したぞ」
マスターテリオンは無造作に牙王を弾き飛ばす。
そして、ドモンとは反対側の椅子に激突して倒れた。
「牙王!」
「・・・所詮は虫けらか・・・」
「てめぇ!!!」
九郎はその言葉に完全にきれた。
牙王とは関係も浅いが傷つけられ、こけにされて許せるほどの間柄じゃない。
まるで肉親を傷つけられたかのような怒りを覚えていた。
それは九郎の全身の魔力を活性化させる。
閃光が発せられマスターテリオンを殴り飛ばした。
先ほどまで一切、攻撃を受けなかったマスターテリオンはそのまま、ドアのほうまで吹き飛ばされる。
「ほぉ・・・一撃、加えるとは・・・では、次の段階へ移るとするか」
マスターテリオンは何事もなかったかのように立っている。
「では、デモンベインを呼ぶが良い。それにビッグオー、シャイニングガンダム、ライトニング・・・後は極点王といったか。それも呼べ」
マスターテリオンは外に出るとそう呟いた。
それを追ってきた九郎は唖然とした。
奴は生身でデモンベインを・・・いや、スーパーロボットたちを相手にするといっているのだ。
正気の沙汰とは思えない。
「九郎、これはチャンスだ」
「いや、チャンスっていったって、流石にそれは反則じゃ」
「うつけもの!それだけ汝と奴との間には実力の差があるのだ。それに極点王と恐らくは奴らが持つロボットの力が加われば倒せる可能性もある」
アルは必死になって叫んでいた。
今、この状況でマスターテリオンを倒せればブラックロッジを壊滅させたも同じだ。
チャンスだ。この機会を逃せば次に奴を倒せる機会があるかどうか・・・
「って、言ってもデモンベインは覇道邸の地下じゃないか。今からどうやって・・・」
「安心しろ、あの時、虚数展開カタパルトの主導権は握ってある。妾がいればいつだってデモンベインは召喚できる」
「なっ・・・ぜってぇ姫さん激怒するぜ」
「あんな小娘のことなど気にしていてもしょうがない。ゆくぞ!」
「お・・おう!!」
九郎はアルと合体しマギウスへと変身する。
白銀の髪と白い肌、黒い外套に包まれた魔術師形態へと。
「憎悪の空より来たりて、正しき怒りを胸に・・・我ら魔を断つ剣を取る。汝、無垢なる刃!デモォォォォンベイィィィィン!!」
九郎が呪文を唱えデモンベインを召喚する。
空間が即座にふるえ、始からそこにデモンベインがいたことへと変ずる。
強烈な衝撃波の後に無垢なる刃がおりたち、大地を揺るがした。
「くっ・・・正気か」
ドモンは驚いた様子でデモンベインを見上げていた。
人間一人に対する武装じゃない。
しかし、マスターテリオンはまだ、余裕の表情を浮かべていた。
「貴公の師匠、マスターアジアとて似たようなことをしていたのではないか?」
マスターテリオンの言葉にドモンは思い出す。
修行時代、テロ活動を行っていたMSを素手で破壊した師匠の姿を
「師匠と同じぐらい強いというのか・・・」
ドモンは戦慄を覚えていた。
しかし、マスターアジアとてこの50メートルもある巨体を倒せるかどうか・・・ありえなくもない。
そこに突然、凄い勢いで巨大な人影が迫ってきた。
「ら・・・ライトニング!」
ハジキはそれを見て驚きの声を上げる。
それはハジキのライトニングだった。
デモンベインに比べてあまりにも小さなその鋼はマスターテリオンを睨みつけている。
「あいもかわらず敵対するのだな・・・真田ハジキ、貴公はどうする?」
「く・・・ライトニング、いくぞ!」
ハジキはライトニングによじ登るとマスターテリオンを睨みつける。
そして、そのままマスターテリオンに向かっていった。
高速で飛び出すライトニング、名前のごとく電光石火の速度だ。
だが、マスターテリオンはそれを軽々と回避する。
「どうした?その程度か」
「くそっ!いくら、刀が通用しないからってライトニングのパワーなら!」
当たれば倒せるとふんだハジキは一気に間合いを詰める。
だが、カウンターでマスターテリオンはライトニングを弾き飛ばした。
二倍はあるだろう巨体は軽々と空へと投げ出される。
「うわぁ!!」
空中でハジキはライトニングから投げ出される。
このままではアスファルトに落下してしまう。
それをドモンが飛び出し、空中でだきかかえ地面に着地した。
「大丈夫か?」
「あ・・・ありがとうございます」
ハジキはドモンに助けられたことを驚きながらも光栄に感じていた。
「あれを弾き飛ばすか・・・」
「あたりまえだ。魔術師ならそれぐらいの芸当は出来る。あのドモンという男でも恐らくは可能だろうな」
「だけど、こいつなら!」
デモンベインは思い切り拳を振り下ろした。
しかし、軽々とマスターテリオンはそれを回避する。
「遅い、ライトニングに比べれば止まって見えるぞ」
「くっ・・・大きさに差がありすぎるだろ」
「落ち着け!デモンベインの拳の速度なら捕らえられるはずだ」
「こんのぉ!!」
デモンベインが拳を振るう。
今度はまともにマスターテリオンを捉えた。
だが・・・
「なっ・・・」
「ま・・・まさか!!」
マスターテリオンは手をだしデモンベインの拳を受け止めている。
どれほどの質量差があるというのか。
それはありえるはずのない光景だった。
「余を失望させるな」
マスターテリオンはそのまま、デモンベインを弾き飛ばす。
巨体が転倒しビルを巻き込んで瓦解させた。
「な・・・なんてパワーだ」
ドモンは素直にその光景に驚愕していた。
ありえない。
いや、そんなことを考えるだけ無駄だ。
常識など一切通用しない。
そう考えるしかない。
「奴に・・・生身の奴に勝てない程度ではデビルガンダムを倒すなど不可能・・・」
ドモンは意を決する。
「でろぉぉぉぉ!!ガンダァァァァァァァァム!!」
ドモンが指を鳴らすと何処からともなくブッドキャリアーが飛来する。
「マスターテリオン・・・法を無視する貴様を生かして帰すわけにはいかない」
ロジャーは未だに頭痛が襲うがそれでも必死に立ち上がってきた。
そして、腕時計を構える。
「ビッグオォォォォォォショォォォォタァァァァイム!」
すると突然、地面からビッグオーがせりあがってきた。
「ほぉ・・・さすがにこれだけそろえば、余とて生身で危険か」
マスターテリオンはいならぶスーパーロボットたちを見て微笑んだ。
その様子は余裕に満ち溢れている。
これだけ囲まれれば普通なら怯えるはずなのに。
「エセルドレーダ、出番だ」
マスターテリオンがそういうと空が歪み赤い巨大なロボットが出現した。
「り・・・リベル=レギス!マスターテリオンめ・・・本気で潰しにかかるきか」
アルは焦っていた。
リベル=レギスはかつてアルの乗っていた鬼械神アイオーンすらも破壊したほどのデウス・マキナ。
デモンベインと九郎、それに実力も良く分からないライトニング、シャイニングガンダム、ビッグオーで勝負になるか分からなかった。
「どうした・・・かかってこい」
マスターテリオンは挑発する。
リベル=レギスは地面に着地するとただ、たっていた。
それは余りにも隙だらけだ。
「その余裕・・・後悔するなよ!!」
シャイニングガンダムがリベル=レギスに突撃する。
そして、ビームソードでリベル=レギスに一撃を加えた。
だが・・・
「なっ!傷一つないだと!!」
「その程度の出力のビーム兵器でリベル=レギスの装甲を傷つけることは不可能」
幼い少女が抑揚のない声で答える。
「まさか、それが貴公の全力ではあるまいな」
「くっ・・・ならば!オレのこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!必殺!シャァァァァァイニングフィンガァァァァァア!!」
シャイニングガンダムの拳が緑色に光る、
そして、バーニアを全開にしてリベル=レギスに突撃した。
輝く拳がリベル=レギスの頭部を掴み破壊しようとする。
しかし・・・
「なっ・・・シャイニングフィンガーが通用しない!?」
「この程度では余はおろかデビルガンダムに傷一つつけることかなわぬぞ」
「このぉぉぉぉっ!!」
ドモンが叫び力を込めるが一向に装甲が軋む音すら聞こえない。
「ふん」
リベル=レギスが腕を振るうとシャイニングガンダムが吹き飛ばされた。
2倍以上の体格差があるシャイニングは軽々吹き飛びビルにめり込む。
「次は私が相手だ」
ビッグオーがアスファルトを踏み砕きリベル=レギスに挑む。
「マスター・・・ビッグオーのサドンインパクトは」
「わかっている」
リベル=レギスはふるわれるビッグオーの拳をかわし掌打でビッグオーを空中に吹き飛ばした。
空中に浮かぶビッグオーの影からライトニングが飛び出した。
「たぁ!!」
ライトニングのキックが決まるが全く意味がない。
まるで建造物を蹴って飛び跳ねただけのようだ。
「その程度の力ではリベル=レギスを傷つけるなど到底不可能だぞ」
「わかってるさ。俺はお前の気をそらせればそれでいい!」
ライトニングは繰り出されたリベル=レギスの拳の側面に蹴りを入れてそのまま、空中の方向を転換する。
そして、拳をふりぬいたリベル=レギスにデモンベインが迫る。
「アトランティスストライク!」
デモンベイン、必殺の蹴りがリベル=レギスの背部に直撃する。
「くっ、ライトニングに気をとられすぎたか」
「損傷は軽微です」
「ふっ、今の奴ではこれが関の山ということか」
リベル=レギスは即座に体制を整えるとデモンベインに肉薄する。
そして、そのまま拳で吹き飛ばした。
「どうした、余はまだ、拳しか使っていないぞ」
マスターテリオンは退屈だという様子で呟いた。
実力が圧倒的に違いすぎる。
次元が違うという言葉の意味が身にしみて感じられた。
「つ・・・強すぎる・・・」
「バカな・・・俺の技が通用しないなんて・・・」
「ここまで圧倒的だというのかマスターテリオンは・・・」
「嘘だろ・・・おい・・・」
四人は絶望感に襲われていた。
それぞれの最大の攻撃が全く無意味に終わったのだ。
何も通用しない・・・何も出来ない。
強大な悪に屈するだけ・・・そんなこと・・・
認められない。
認めちゃいけない。
しかし・・・機体がガタガタになり、動きが鈍る。
ダメージは小さくない。
「命が・・・・・・大切な何かが失われる・・・」
あれは地球を救うために必要な力だ。
失うわけにはいかない。
デモンベインは唯一、あれに対抗できるものだ。
ライトニングの基となるガドは思いを力へ変えられる。
シャイニングガンダムは悪魔に対抗するために必要なものだ。
ビッグオーをなくしてあの計画の阻止はありえない。
「違う・・・違う!そんなこと関係ない!さえずるな過去の俺!
オレはオレだ!疫神牙王だ!お前じゃない地皇じゃない!!」
なくしてはならない。
マスターテリオンを野放し手にしてはならない。
全てが終わってしまう。
終焉・・・混沌・・・
「関係ない!!そんなことは関係ない!失いたくないんだ!ただ、失いたくないんだ!
九郎を!アルを!ハジキを!ロジャーさんを!ドモンを!!失っちゃいけないんだ。
この街には誰かが住んでるんだ。どこかの誰かが!!
その人たちは誰かの大切な人なんだ、失わせちゃいけないんだ!!
誰も失っちゃいけないんだ!!もう、こんな気持ちを味わうのも!誰かが味わってるのも!!
そんな気持ちばかりが溢れているのも!嫌なんだよ!!!」
牙王が空に叫ぶ。
それは本当の言葉だった。
恐怖に駆られ事実を受け入れてなかった自分じゃない。
力だけに頼って突き進もうとしていた自分じゃない。
誰かを失うのが怖くて誰とも関わろうとしていた自分じゃない。
正直な気持ちが溢れる。
そう、自分は命が失われるのが嫌なのだとはっきりと感じられた。
どこかの誰かが自分と同じ目にあってると思うと胸が苦しくなるんだ。
どこかの誰かが親と同じように失われると思うと涙が出てくるんだ。
もう、そんな気持ちを味わいたくないから・・・だから!!
「だから、力を貸してくれ。極点王!!」
牙王は心からその鋼に願った。
リベル=レギスの目の前の空間が極点王になる。
「空間歪曲・・・違う空間そのものが別の存在に変わった」
「あれが極点王・・・どれほどの力があるか・・・」
マスターテリオンは興味深げに極点王を見る。
「牙王よ・・・あの言葉がお前の本当の言葉だな」
「そうだ。オレは失いたくない。だから、奴を・・・すべてを奪う奴を倒す」
「よくぞ、言った。それでこそ戦士だ。私が力を貸すに値する気高き心だ。今、この瞬間から私は地皇の生まれ変わりではなく。牙王・・・君に力を貸そう」
「ありがとう・・・いくぜ!!」
極点王が唸る!
大地がひれ伏すよりも早く動く。
空気が裂ける音がする。
だが、それすらも力となっていると感じられた。
「おおおおお!!」
金剛丸を振り下ろす。
だが、リベル=レギスはそれを腕で受け止めた。
「守護法炎!!」
極点王の前方に紋様が浮かび上がり炎が射出される。
リベル=レギスを焼くが装甲自体に損傷はみられない。
「不可解な術を使うが・・・この程度か」
極点王は一度、距離を置くと再び、金剛丸を構えた。
「奴は強い・・・あいつを排除するには極点制裁しかない」
「しかし・・・あれは牙王の意思そのものが威力へと変わる・・・奴ほどの存在を斬るとなると相当の強い意志が必要だぞ」
「それしかないからかけるんじゃない。斬れると思うからやるんだ!!」
金剛丸の刀身のエネルギーが研ぎ澄まされていく。
世界がその鳴動にひれ伏していった。
「おぉ・・・これは真なる制裁・・・世界は牙王、君に従う」
「マスターテリオン!!お前にオレの仲間は!!大切な人たちは奪わせない!!」
牙王が想いの限り叫んだ。
世界が震える。
「なんだ・・・このプレッシャーは・・・まさか、この地球にこれほどまでの力がまだ、眠っていたというのか・・・くくく・・・ははははは!!
面白い・・・これで退屈しなくてすみそうじゃないか」
「うおおおおおおぉぉぉぉっ!!」
極点王が一気に迫る。
だが、リベル=レギスは逃げようとしない。
「マスター!?」
「正面から受け止める。あれの一撃がどれほどの威力か試してみたい」
「全てはマスターのお心のままに」
リベル=レギスは魔力は腕に集中する。
「極点制裁!!」
極点王の力を全て込めた金剛丸がリベル=レギスに向かって振り下ろされた。
刃と鋼ではなく、意思と魔力がぶつかり合う。
凄まじいエネルギーが衝突しあい空間が歪ませる。
「断ち切れ!!」
極点王が思いの限りに刃を振りぬいた。
空間がまるでそう望むかのように裂けていく。
それに抗えずリベル=レギスの腕は切り裂かれた。
「空間が・・・」
「自分から裂けたというのか・・・そのようなことをやってのけるというのか」
マスターテリオンにしてもその現象は不可解でしかなかった。
世界が奴にひれふしている。
その命令に絶対服従。彼が裂けろといえば裂けていたのだ。空間であろうと。
「面白い・・・ここで潰すには惜しすぎる。大十字九郎、ロジャー=スミス、そして、疫神牙王、再び、余と対峙する日を心から待ちわびるぞ」
マスターテリオンがそういうとリベル=レギスは空間転移しそのまま、消えていった。
残された極点王は刃を振りぬいた状態のまま固まっていた。
そして、力を失いそのまま光へと消えていく。
その後に熟睡する牙王の姿だけが残されていた。
次回予告
デモンベインの無断使用、シャイニングガンダムによるビルの倒壊、不法物の所持、ビッグオーの呼び出しにより
九郎、アル、ドモン、ハジキ、ロジャーは覇道邸に呼び出されていた。
牙王もまた、彼らと共に覇道邸を訪れる。
そこにブラックロッジの突然の襲撃。
炎の中、アンチクロスとの激闘が始まる。
次回スーパーロボット大戦〜OVER THE GOD〜
第三章 地球混迷編
第七話 炎の激闘
命を護る牙となれ、牙王!
インターミション
牙王:・・・・・・
九郎:よぉ、随分とやさぐれてたみたいだが戻ってよかったな
牙王:あぁ
九郎:随分と素直だな・・・
ロジャー:いいことじゃないか。これで交渉もしやすいというもの
牙王:ダメです。ロジャーさんの交渉だったら100%ビッグオーざたになります
ロジャー:・・・どういう意味かね
ハジキ:そのまんまでしょ、
ロジャー:君たちは私のことを誤解しているようだな。私は・・・
ドモン:くそ!マスターテリオン、次こそは勝つ!!
九郎:だけど・・・あの強さは反則だよな
アル:何をいってる九郎、汝は自分の見せ場を牙王に奪われたのだぞ。もっとちゃんとしろ
九郎:確かにそうだけど・・・あれだけそろって敗北って
ハジキ:というかオレ・・・ライトニングじゃ戦うの不可能だと思うんですけど
牙王:それは言っちゃいけない
ドモン:師匠は生身でMSを破壊できる。ようは修行次第ということだ
ハジキ:そんなもんすかね?
九郎:まぁ、メタトロンも人間サイズだけど破壊ロボと戦ってるしな
ドモン:ほぉ、そんなやつがいるのか。一つ、手合わせしてみたいものだな
ロジャー:君たち、私を無視するのは止めたまえ
牙王:そういえばロジャーさんもマスターテリオンを知ってるような感じでしたね
ロジャー:その話は相当重要だから伏せさせてもらうよ
九郎:確かデモンベインと一番クロスが多いのがビッグオーらしいからな
ロジャー:というか私の敵はほとんどでないからな。ほぼ、デモンベインと話を共有するそうだ
牙王:なにせ作者がビッグオーを見たことがないからな
ロジャー:そういうことだ。まぁ、ある程度、知ってる設定を混ぜているといっていたが・・・どうなることやら
牙王:その時はビッグオーで叩き潰せばいいんじゃないですか?
ロジャー:私はそんなことはしないさ
九郎:いや・・・やりかねん