スーパーロボット大戦

〜OVER THE GOD〜

第四章         宇宙混沌編

第二話 銀の流星

 

アーガマは現在、補給物資の受け渡しポイントへと向かっていた。

アーガマはエゥーゴと呼ばれる組織に属する戦艦である。

そして、その目的はティターンズやザフトなどを粛清し来るべき脅威のための戦力を集めること・・・

そう、彼らは地球人類同士が争っているという現状を止めるために動いているのである。

その方法は力には力というものでしかないがそれでも平和のためだと思い戦っていた。

 

格納庫内でルクティは次の作戦のデータを読み込んでいた。

読み込むといってもルクティ自体は会話するだけでその情報を記憶するので実際に人に話す感じである。

「以上だ。分かったか?」

クワトロに尋ねられルクティは勢い良く頷く。

「はい、サイド2のグリーンノアで実験中だというティターンズの新型モビルスーツの調査の奪取ですよね」

ルクティが先ほど説明された作戦を復唱する。

「そうだ。ティターンズがどれほどのモビルスーツを開発しているかは分からないが脅威になることは確かだ。

その芽は早いうちに摘んでおくに限る」

「ですよね・・・でも、連邦軍は大侵略戦争以前まであまりモビルスーツの性能向上してないんですよね」

ルクティは自分の記録にあるモビルスーツのデータを思い出している。

連邦軍が一年戦争で投入した最新鋭モビルスーツガンダム。

そのスペックは圧倒的でパイロットだったアムロ=レイがニュータイプだったことから多大な戦果を上げ

この地球圏で知らぬものなしと言われるモビルスーツとなっている。

だが、あれから15年もの歳月が経っていると言うのにあまりモビルスーツの性能は上がっていなかった。

最近で言えば大侵略戦争の際に作られたアナハイムの試作型ガンダムの三機があるが基本的にガンダムとの差はない。

そうというのも地球圏内に存在するインベーダーの駆逐と都市の復興計画の為にその国力のほとんどを使っていたためでもある。

それと他の極秘の計画の為に予算をモビルスーツの開発までにさけなかったことも挙げられる。

「表向きはな」

「表向き・・・?ということは凄い性能のモビルスーツが存在しているんですか?」

ルクティのデータの中にそんなものはいない。

良くてリックディアスとかそこらへんぐらいだ。

それでもスーパーロボットなどに比べると圧倒的に性能に開きがある。

「連邦軍が地球の内部でゴタゴタとしてる間にコロニーのほうでは着実にその開発が進んでいる」

「そうなんですか!?」

「モビルスーツの開発技術で言えば連邦軍は今の中で一番劣っていると言えるだろうな」

「へぇ・・・それじゃあ。どんなモビルスーツがいるんですか?」

「あいにくだがこれ以上の情報は教えられないな。いずれにせよ時が来れば分かるということだ」

クワトロはそういうと格納庫の出口へと向かっていく。

その後姿をルクティはふくれっ面で見送っていた。

 

 

小型シャトルが漆黒の宇宙を疾走している。

その後をティターンズのモビルスーツ、ハイザックが追いかけていた。

「アイビス、後方二時の方向から敵モビルスーツ来るわよ」

「くっ・・・分かってる!」

アイビスと呼ばれたドライバーはシャトルをコントロールしハイザックのビームライフルをかわした。

そして、そのままハイザックたちを振り切る。

「やったわ。さすがねアイビス。こんなボロシャトルで良くティターンズのモビルスーツをまけたわね」

「そんなことないよ・・・あたし程度の腕じゃこの程度のシャトルがお似合いなんだ」

アイビスは相棒であるツグミの褒め言葉を受け入れなかった。

相当にネガティブである。

その時、前方より一機のモビルスーツが迫ってきた。

「アイビス!」

「くっ・・!」

アイビスはすぐさまに舵をきるがそのハイザックはその動きを読みいく手を阻んできた。

「完全に読まれてる・・・!?」

「あのパイロット・・・相当な腕前よ」

アイビスとツグミはそのハイザックのパイロットの技能に驚愕していた。

 

「その程度の動きで私から逃れることなんて出来ないわよ!」

銀髪の少女がハイザックのコクピットで威勢良く叫んだ。

そして、そのままシャトルへと取り付く。

「観念して積荷を置いていきなさい」

少女はライフルを突きつけシャトルのパイロットを脅す。

「私たちはただの運び屋よ。何の証拠があってティターンズが横取りしようとするの!」

ツグミが叫び返す。

「貴方たちがエゥーゴの新型モビルスーツを運んでるってことは分かってるのよ。さぁ、観念しなさい」

少女の自信満々の言葉に嘘偽りは無い。

どうやら、積荷がなんであるか分かっているようだ。

「ツグミ・・・それ本当なの?」

アイビスはその言葉に反応し後ろにいるツグミに問いかけた。

「・・・ごめん、アイビス。少しでも割のいい仕事をしないとやっていけないのよ」

「・・・くっ・・・」

運び屋家業をしていれば時々はある仕事だ。

更に現在、戦争中ということもありその手の依頼は逆に多いぐらいである。

危険な橋だが渡りきれればその先にあるのは大金だ。

「アイビス・・・こうなったら積荷に乗り込むわよ」

「ツグミ、何を言ってるの?」

「いいから早く!」

ツグミに強引に引っ張られアイビスは後ろの格納庫へと向かった。

 

「どうしたの。早く応答しないと撃つわよ!」

少女は先ほどから応答が無いのでイライラとしていた。

どうやら、短気らしい。

本当に撃ちかねないほどにピリピリしていると突然、シャトルが爆発した。

「きゃっ!」

ハイザックは咄嗟に後方へと下がり何とかダメージを最小限に抑える。

「脚部損傷・・・スラスター出力30%低下」

ハイザックは足がやられてしまったらしい。

こうなっては高速で動くことなんて出来ない。

「自爆するなんて・・・潔いわね・・・新型機は回収できなかったけどこれでエゥーゴの戦力状況は防げたわね」

少女は少し残念そうな顔をするが作戦は一応成功したと安心していた。

その時、煙の向うから高速で何かが飛来しハイザックの右腕を撃ち抜く。

「きゃあ・・・腕部破損・・・さっきの爆発はフェイクって訳ね。やってくれるわ」

煙が晴れ目の前に白い流線型の機体が現れた。

その機体はモビルスーツではなかった。

DCと呼ばれる対異星人用の組織で作られている人型機動兵器。

「アーマードモジュール・・・エゥーゴはDCの協力も得てるというの」

ティターンズに対して非協力的であるDC。

DCは15年前、真ドラゴン覚醒とセカンドインパクトと同時に落ちてきたとされるメテオ3に記されていた

異星文明の技術を保有している。

そのためにティターンズはその強力を要請しているが断固として跳ね除けていた。

現在、エアロゲイターのものと思われる技術を有しているのはDCと

マオインダストリーとテスラ=ライヒ研究所だけである。

「例えアーマードモジュールが相手でも負けられないわ」

ハイザックはビームライフルを白い機体目掛けて放った。

だが、その機体は高速で移動しそれを回避する。

その翼からは緑色の光が放たれていた。

「くっ、テスラドライブの機動性に今のハイザックじゃ・・・」

スラスターが損傷しているハイザックでは重力を制御し高速で移動するアーマードモジュールについていけない。

何とか最小限の動きで敵の攻撃を回避するがそれでも直ぐに限界が来てしまう。

動きの鈍ったハイザックに向かい白い機体は腕から伸びるエネルギー状の剣で斬りかかった。

「ゼオラをやらせるかよ!」

そこに一機のザクが横から飛び込んできてショルダータックルで白い機体を吹き飛ばした。

「間一髪だったな」

「アラド!?」

ゼオラは突然の援護に驚いていた。

ハイザックとは推力が違うザクでここまで来るなんて・・・

「後は俺に任せてゼオラは下がってろ」

「何を言ってるの。落ちこぼれの貴方じゃ直ぐに落とされるわよ」

「これでもオレはスクール出身だぜ・・・それに取って置きの秘策があるんだ」

「秘策・・・分かったわ。貴方がそういう時はかならず何かしでかすものね」

ゼオラはアラドの言葉を信じると撤退していった。

「それじゃあ、行くぜ!」

ザクはヒートホークを構え白い機体へと向かった。

 

「くそっ・・・あれだけ損傷してるのに倒せないなんて・・・」

アイビスは必死に攻撃しているのに全く当たらないのに悔しがっていた。

「あのハイザックのパイロットは特別なのよ。普通のティターンズなら撃破出来てたわ」

「それでも・・・このアルテリオンでモビルスーツの一機も落とせないなんて・・・」

アイビスはこのアーマードモジュールのことを知っていた。

かつて、DCに所属していたときある計画に参加していた。

そして、このアーマードモジュールはその計画で作られたものであり彼女が目指していたものなのだ。

それだけにこのアーマードモジュールの性能を知っている。

これはアーマードモジュールの中でもトップクラスに位置する機体。

ティターンズの量産型モビルスーツなんかとは性能が違うのだ。

だが、それでも倒しきれなかった。

そして、今は更に性能の低いザクに押されている。

「アイビス、戦闘に集中して。あのザクのパイロット。さっきのパイロットよりも操縦は雑だけど

格闘戦の腕前はかなりのものよ」

ツグミの言うとおりザクはヒートホークで必死にアルテリオンを攻撃している。

さっきから高速で回避し引き離そうとするが直ぐに反応して追いついてきていた。

格闘戦でもパイロット技能もアイビスよりも上だ。

唯一の救いは乗っている機体が旧式のザクU・・・一年戦争後期に量産されていたタイプであることだろう。

ハイザックならこの勝負はかなり分が悪い。

「くっ・・・何とか引き離せれば」

「アイビス・・・アルテリオンのモードをクルーズフィギュアにあわせて」

「クルーズフィギュア・・・分かった」

アイビスは言われたとおりにするとアルテリオンは変形し一機の戦闘機へと姿を変える。

アーマードモジュールは元々、戦闘機から発展した兵器だ。

人型であってもその機動性はかなりのものである。

そして、それが戦闘機形態をとったということは機動性が跳ね上がることを意味していた。

アルテリオンは一気にザクを引き離す。

「変形した!?ティターンズでも開発中の可変機構をもう積んでるなんて反則だぁ!」

アラドは最新鋭モビルスーツに搭載される予定である可変機構を目の前で見せられ驚いている。

こうなられては格闘戦には持ち込めない。

ザクマシンガンを構えると狙いを定めて撃った。

光の軌跡が走りアルテリオンを追う。

だが、二機のテスラドライブにより加速するアルテリオンをそれはとらえられていなかった。

「どうやら、格闘に比べて射撃は苦手みたいね」

「そうだね・・・一気に行く。Gドライバーシュート!」

アイビスはアルテリオンの両端につけられた主砲を撃った。

テスラドライブの重力制御によりはじき出された弾丸は圧倒的な速度でザクの腕を貫いていく。

「げっ・・・しまった」

アラドはそう呟くとすぐさまに機体を捨てて外へと飛び出した。

「やったわ、アイビス。一機、撃破よ」

「・・・ザク一機落とすぐらいアルテリオンに乗れば誰だって出来るよ」

「この機動性を持つアルテリオンを操るのが凄いのよ」

ツグミは必死にアイビスを誉めるが聞く耳、持たず。

アイビスは黙り込んでいた。

よっぽどザクに追い込まれたのがショックだったらしい。

「とにかく、もう一機を持って早く指定場所に急ぎましょう。アルテリオンの足ならまだ間に合うわ」

ツグミがそういうとアイビスは頷き爆破したシャトルの方へと近づいた。

そして、アルテリオンと一緒に輸送していた一機のパーソナルトルーパーへと向かう。

パーソナルトルーパー、メテオ3から得た技術により作られた機動兵器。

モビルスーツとの大きな違いは無いもののメテオ3から得た技術を使用しその性能はかなりのものである。

一部、               全く使用していないのもあるが。

アルテリオンが近づきその腕でそのコンテナを掴もうとしたとき、

光がコンテナを突き破り伸びてきた。

そして、アルテリオンの装甲の一部を斬りつける。

「くっ!動いているの!?」

突然、動き出した積荷にアイビスは困惑している。

コンテナは切り崩されその中から一機のパーソナルトルーパーが目を覚ました。

最初に見たものは伝説のモビルスーツ、ガンダムを思い起こすだろう。

そして・・・次にある一機のパーソナルトルーパーを思い出す。

「そんな・・・ヒュッケバイン・・・バニシングトルーパーがなんで・・」

アイビスはDC時代に聞いた話を思い出した。

ヒュッケバインと呼ばれるパーソナルトルーパーがその機動実験の際に暴走し基地一つを飲み込み消滅した。

それ以来、ヒュッケバインはバニシングトルーパーと呼ばれ忌み嫌われている。

不吉を呼ぶ凶鳥・・・それは目の前で翼を広げ、その爪でアルテリオンに掴みかかる。

アルテリオンはソニックセイバーでそれを受け止めた。

「ヒュッケバインが何で動いてるの・・・!?」

「エゥーゴの新型は頂いたぜ」

明るい調子の声が返ってくる。

その声は先ほど戦っていたザクのパイロットのものだった。

「生きてた・・・まさか、これを狙ってたの?」

ツグミはやられと思った。

これではティターンズの思い通りになってしまう。

「へへ・・・幾らなんでもザクでアーマードモジュールに勝てるわけ無いからな。

それにパーソナルトルーパーの操縦なんてスクールで嫌って程やったしモビルスーツよりも慣れてる」

「スクール・・・貴方、スクールの出身なの!?」

ツグミは驚愕していた。

「スクール・・・ツグミ、知ってるの?」

「えぇ、DCの幹部の一人アードラーが作ったパイロット養成所・・・あまりにも過酷な訓練と薬物投与の為に

ほとんどの生徒が死に・・・後はティターンズに渡ったって聞いてたけど・・・」

「スクールのこと知ってるのか!?」

今度はアラドが驚いている。

「噂ぐらいはね・・・それにしても生き残りがいたなんて」

「スクールの生き残りを知らないか?」

「知らないわ。私たちはDCを去ってから結構、たつもの・・・それにスクールとは無関係だし」

「そうか・・・同じDCの人を倒すのは気が引けるけど・・・倒させてもらうぜ!」

ヒュッケバインはそのまま押し切りアルテリオンを吹き飛ばす。

真正面からの力比べでは分が悪すぎる。

「くっ・・・アイビス。あのヒュッケバインと真正面から遣り合ってたら勝ち目はないわよ」

「分かってる・・・」

アイビスはヒュッケバインというパーソナルトルーパーが持つ力に怯えていた。

基地一つを消滅させるほどの力を持つ機体・・・真正面から向かっても勝てるわけが無い。

「何か勘違いしてるみたいだけど・・・この機体はヒュッケバインじゃねぇぜ」

「・・・違う!?」

「あぁ、こいつはヒュッケバインMk2。バニシングトルーパーの名を継ぐものだ!」

アラドはかっこよく見栄をきると腕に装備されているチャクラムシューターを射出した。

アルテリオンはそれを間一髪で回避する。

「Mk2・・・後継機ってことなの・・・」

アイビスは更に驚愕する。

ただでさえ強力なパーソナルトルーパーの後継機・・・どれほどの性能を持っているというのか・・・

「ヒュッケバインじゃないからって安心するなよ。こいつはそこらのモビルスーツとは訳が違うぜ!」

ヒュッケバインMk2はフォトンライフルでアルテリオンを狙う。

アルテリオンはクルーズフィギュアに変形するとそれをかわしていった。

だが、今度は直ぐにとらえられてしまう。

「アイビス、パターンを切り替えて!?読まれてるわよ」

「分かってるよ!」

アイビスは変形すると何とかフォトンライフルを回避していく。

しかし、再び追い込まれていった。

「その回避パターンはスクールで嫌ってほど練習させられたぜ!」

アラドは再び接近してきたアルテリオンに向かってライトソードで斬りかかる。

アルテリオンはギリギリでそれをソニックセイバーで受け止めた。

「アイビス!パターンに頼ってたらスクールの生徒に適うわけが無いわよ!」

「分かってるよ。ごちゃごちゃ言わないで!」

アイビスは必死にヒュッケバインMk2の猛攻を耐え凌ぐ。

格闘能力で目の前のパイロットにかなうはずが無い。

おそらくシミュレーターで気が狂うほどに繰り返したのであろう。

その動きはアイビスでは追いつけない。

「行くぜ、Mk2」

そして、コクピット周辺にライトソードがかすめる。

衝撃がコクピットを襲い、装甲は熱で切り裂かれていた。

「きゃぁあああ!」

「さぁ、観念しな。もう、お前たちに勝ち目はないぜ」

アラドはコクピットにライトソードを突きつけ勝ち誇っていた。

「くっ・・・こんなところで・・・」

アイビスは悔しかった。

目の前の敵に負けるのが・・・声からして明らかに自分よりも年下だ。

どれだけ苦しい人生を送ってきたかは知らない・・・

だが、自分だって苦しい訓練に耐えてプロジェクトに参加していたのに・・・

ここで負けるのか・・・

その時、突然、閃光が走りヒュッケバインMk2の背中に被弾する。

「な、何だ!?」

アラドは突然の攻撃に驚いている。

「それ以上は・・・やらせませんよ!」

何となく間の抜けた声と共に高速でモビルスーツでもパーソナルトルーパーでもない機体が飛来した。

その腕からエネルギーが刃を形成し伸びていた。

そして、ヒュッケバインMk2に斬りかかる。

それをヒュッケバインMk2はライトソードで受け止めた。

「なんだ・・・エゥーゴの増援?」

「その通りです!」

突然、ヒュッケバインMk2のモニターに少女の顔がドアップで映し出される。

「うわっ!」

「あぁ、酷いです。私の顔みて驚くなんて」

「普通、驚くだろ・・・何なんだ・・」

アラドは全く緊迫感の無いルクティに対して困惑していた。

自分も緊迫感はあまり無いと言われるがそれ以上だ。

「その機体、ヒュッケバインMk2はエゥーゴのものです。横取りは犯罪ですよ」

「ティターンズに戦闘行為を仕掛けるエゥーゴがえらそうにするな!ザフトとかザンスカールとか

倒さなきゃならない相手がいるのにこれ以上、ティターンズの手を焼かせるなよ」

「貴方は本当にティターンズがただしいと思ってるんですか?」

「・・・なっ」

アラドはその言葉に驚かされる。

ティターンズが本当にただしいのか・・・

アラドは考えたことが無かった・・・・ただ、流されるがままにパイロットになって戦っていた。

「ティターンズは確かにその組織と戦ってます・・・でも、元はといえばティターンズの人たちが毒ガスなんて

非情なことをしたのがいけないんじゃないですか!」

「毒ガス・・・何のことだ?」

「知らないんですか・・・コーディネイターがスペースノイドが独立するためにデモをしていた人たちを

コロニーごと毒ガスで殺したこと」

「・・・知らない。ティターンズがそんなこと・・・」

していないなんていえなかった。

ティターンズがどういう組織なのかは良く知っている。

エリート意識の凝り固まった組織で地球出身の人以外を決して認めない・・・

やりかねない・・・

「それで済まされると思ってるんですか!」

ルクティはヒュッケバインMk2を吹き飛ばす。

そして、そのまま追い討ちをかけようとした時、ビームが一斉に飛んできた。

ルクティはアルテリオンの手を掴むとそれをかわして遠くへと飛ぶ。

レーダーには無数のモビルスーツの反応が近づいてきた。

現在、アルテリオンとヒュッケバインMk2を探して索敵していた途中だ。

味方の増援が来るまでかなりの時間がある。

このまま、戦ったら物量で確実に負けてしまう。

「情報処理完了・・・撤退します」

ルクティはそう決断をすると動けないアルテリオンを連れてその宙域を離れていった。

 

「ちっ、逃げられたか」

マラサイに乗ったヤザンが遠ざかる二機の機影を見て呟いた。

モビルスーツの推力では追いつくのは無理だろう。

深追いしてエゥーゴの戦艦とやりあうのも分が悪すぎる。

「アラド!」

ハイザックに乗ってゼオラがヒュッケバインMk2へと向かっていった。

「ゼオラか」

「もう、心配したんだから・・・でもまさか、ヒュッケバインを奪い取るなんて・・・」

ゼオラはアラドがヒュッケバインMk2を奪いそれで敵を撃退したのに驚いていた。

「良くやったなアラド曹長」

そこにヤザンが近づいてきた。

アラドのことを見込んでいたヤザンはいきなりこんな戦果を上げたことに驚いている。

「いえ・・・運が良かっただけです。あと、少し増援が遅かったら」

「それでもあのアルテリオンを相手に生き残るなんて・・・スクールの落ちこぼれの貴方が良くやったわね」

「うるさいな・・・スクールの落ちこぼれって何回も言うことないだろ」

「だって事実じゃない」

「そうだけどさぁ・・・」

アラドはスクールでは落ちこぼれだった。

訓練でも大した成果を上げられずに薬物投与を受けてもさほど反応が無かったのだ。

最終的には半ばスクールを追い出される形でティターンズに配属されたのだが。

「夫婦喧嘩はそのぐらいにして戻るぞ」

ヤザンがそんな二人に通信を入れる。

「そんなんじゃありません!」

「そうですよ。何でオレがこんな短気な女と・・・」

「私の何処が短気なのよ」

「そうやって直ぐ怒るところとかだよ」

二人は再び喧嘩を再開した。

そんな二人に呆れてヤザンや他の隊員は戦艦へと戻り始める。

 

アーガマ内ブリッジ

「それでヒュッケバインMk2はティターンズの手に渡ってしまったわけか」

クワトロは報告を聞いて呟いた。

ヘンケンもその報告に難しい顔をしている。

「あれには確かT−LINKシステムとグラビコンシステムが搭載されていたはずだ」

「あぁ・・・これでむざむざ奴らにその技術を渡してしまったことになるな」

その会話にツグミは驚く。

「あのヒュッケバインMk2にはそんな最新技術が入っていたんですか?」

「あぁ、ブラックホールエンジンはオミットされ核融合炉を積んでいたはずだが・・・

念動力者でなければその真価を発揮できないとはいえ高性能機であることに間違いは無い」

その言葉にツグミは青い顔をしている。

そんなツグミをよそにアイビスは全く会話に加わっていなかった。

「どうしたんですか?恐い顔して?」

そんなアイビスにルクティが話しかける。

「別に・・・私に関わらないで」

アイビスはそんなルクティに冷たく当たる。

「アイビス!助けてくれた恩人に対してなんていい方なの!」

ツグミはそんなアイビスの態度に怒っていた。

「いいんですよ。それにヒュッケバインMk2をとられちゃったの私のせいでもありますし」

ルクティも暗い顔をしている。

「まぁ、とにかくアルテリオンだけでも運べてよかったじゃないですか。これで次の作戦は何とか行えます。

それに元々パイロットがいなかった二機に一人パイロットが付いてきたんだから逆に良かったじゃないですか」

そんなくらいムードの中、ハーディン博士はわざと気分を盛り上げて話をする。

「・・・パイロット?」

だが、アイビスはその話の中で聞き捨てならないことを聞いていた。

「そう、アルテリオンは元々、このアーガマで乗れる人がいなかったんだ。丁度いい、

何せプロジェクトTDの候補生だからね」

「!!」

その言葉に二人は驚いている。

この男は自分たちの素性を知っている。

クワトロやヘンケンも驚かないところを見ると最初から仕組まされていたことらしい。

だから、アイビスにアルテリオンの輸送を頼んだのだ。

「今回の失敗の件・・・それで償ってもらおうか」

クワトロの言葉を聞き入れるほかに無い・・・

ヒュッケバインMk2を奪われるということは相当な損害なのだ。

何もなしで開放されるほどに甘いわけが無い。

「・・・分かったよ」

アイビスは渋々、了解した。

それを聞いてハーディン博士はにやりと微笑む・・・

その微笑みは何故か不気味にツグミの目には映っていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

ティターンズの新型モビルスーツ奪取作戦が開始される。

グリーンノアに住む少年、カミーユはティターンズに反感しそのモビルスーツを奪い取った。

コロニー内で行われる戦闘。

その戦いの折・・・一機のロボットが戦場へと舞い込む・・・

 

次回

スーパーロボット大戦〜OVER THE GOD〜
第四章    宇宙混迷編

第三話 黒いガンダム

機械の心は人になにをもたらすのか・・・?