スーパーロボット大戦
〜OVER THE GOD〜
第四章 宇宙混沌編
第四話 動乱の最中へ
ガンダムMk2奪取作戦から数刻後
アーガマ隊の主要パイロットがブリーフィングルームに集められていた。
「つい先ほど中立コロニーであるヘリオポリスにザフトが襲撃するという情報を入手した」
クワトロの言葉にその場にいる者は息を呑んだ。
ヘリオポリスは中立という立場を保っていた場所なのだ。
そこを襲撃するということは戦争という状況での最低限のルールが破られるということ。
それはザフトにとってもいい話ではない。
それを行うということはそれなりの理由がある・・・重要な機密があるということだ。
「ヘリオポリスってオーブが所有しているコロニーですよね。そんなことして大丈夫なんですか」
「ただ何の目的もなく中立を破るほどザフトはバカではない。ヘリオポリスには連邦が開発した新型MS。
Gが極秘裏に建造されているということだ」
「G?」
「ティターンズとは別に連邦軍がザフトとオーブの技術を元に開発した機体だと言われている。
詳細は不明だが・・・ガンダムタイプであるという情報も入っている」
「!!」
その言葉に更に一同は息を呑んだ。
まさか、伝説のMSの名を冠したガンダムが更に開発されていたとは。
更にそれは少なくとも四機存在している。
「エゥーゴとしてもこれをこのままにしておくわけにはいかん。そこで情報を収集するためにヘリオポリスに近い位置にいる
我々が調査に向かうことになった」
「それって・・・まさか、ガンダムと戦う可能性があるということですか?」
「連邦にエゥーゴは直接的に敵対はしていないが場合によってはありえるだろう。もしくはザフトが奪ったGが使われる場合もある」
クワトロはそういってカミーユを見た。
カミーユが乗ることとなったガンダムMk2はティターンズから奪取した機体だ。
それをアーガマ隊は既に主力として組み込むことになっている。
「ザフト・・・コーディネイターの軍隊ですよね。エゥーゴはそんなのとも戦ってるんですか?」
カミーユの問いにクワトロは頷いた。
「我々、エゥーゴは全てのスペースノイドの解放を志している。ザフトはスペースノイドであろうとコーディネイターでなければ
仲間とは認めないからな。嫌がおうにも戦闘は発生する」
「つまり、ザフト側はエゥーゴを敵対視しているということですか?」
「その通りだ。我々としても敵はティターンズだけといきたいところだがな」
この地球圏の状態は混沌としきっている。
四方八方が敵に囲まれ、囲んでいるほうも敵同士・・・
もはや、隣人すらも信じてはいけないような世界になっている。
「(これで上手くいけばGのデータも入手することが出来る。さて・・・我々の世界に存在していなかったガンダム。
アナザーガンダムの性能はどれほどのものか・・・)」
ラミアは話し合いを続けているクワトロとカミーユを横目に思考していた。
ヘリオポリス宙域そこでは今まさにヘリオポリスが崩壊しようとしていた。
真空状態に人間が建造した脆き場所。
金属が悲鳴を上げるように潰れ、引きちぎれ、粉々になっていく。
人間の英知など脆いものだと嘲笑うかのようにそれは人々の生活の場所を奪っていた。
多くの人々が生活した場所・・・宇宙という脅威の前にそれはあまりに脆弱だ。
「・・・コロニーが消える・・・」
ルクティオンスは呆然と呟いた。
その光景は圧倒的で心を掴み取っていくようだ。
「これが・・・戦争なのか・・・」
コロニー育ちのカミーユにとって目の前の光景に悪寒を感じずには要られなかった。
一歩間違えれば彼の住んでいたグリーンノアだってこの道をたどった可能性はある。
「どうやら、目的のものはまだいるようだな」
クワトロはヘリオポリスから脱出する一隻の戦艦を見つめた。
白を基調とした前方に二つ突き出るカタパルトを持つ船。
「なんか・・・ホワイトベースに似てますね」
「やはり、ガンダムが積んであるんですかね」
「戦艦の外見だけでは判断を下すことは出来ない」
「ザフトの戦艦が追撃中か・・・どうする大尉?」
ヘンケンの問いにクワトロは少し思案する。
「それでみすみすザフトに奪われては元も子もない。ザフトの戦力はあの戦艦一隻だけなのだな」
「あぁ、そのようだな」
「ならばザフトに攻撃をしかける」
「えっ、でも戦闘なんてしてたらあの船に逃げられますよ」
「それであの戦艦を捕まえようとしてザフトに囲まれでもしたら元も子もない」
「それじゃあ、ザフトは援軍がいるってことですか?」
「襲撃を単艦で行うわけがない。それに比べ連邦は極秘裏に運搬していた恐らく味方はいないだろうさ」
「何か分かりきったように言いますね」
「何、ただの勘だよ」
だが、クワトロの言動には何処か裏打ちされた自信があるように感じられる。
ヘリオポリスから脱出した連邦軍の新戦艦アークエンジェル
「エゥーゴの部隊がザフトに攻撃をしかけてる?」
アークエンジェルの艦長マリュー=ラミアスは訝しげな表情でモニターを見ていた。
「エゥーゴが何故、戦闘に移ったかは分かりませんがこれはチャンスです」
「そうね・・・この隙に一気に引き離せれば・・・」
アークエンジェルのモニターではルクティオンスがジンに斬りかかっていた。
「機関最大!アークエンジェルはこの宙域を突破します」
マリューの号令と共にアークエンジェルの推進器に火が付き一気に加速した。
「ほぉ・・・あれは噂に名高いエゥーゴのアーガマのようだな」
ザフトの戦艦のブリッジで仮面をつけた男が呟いた。
「エゥーゴだと・・・よりにもよってこんなときに」
銀髪おかっぱ頭の青年・・・イザークが苛立ちをあらわに呟いた。
「どうするんです?このままアーガマを相手にしつつ足つきを追うんですか?」
髪の毛を逆立てた金髪、褐色肌の青年・・・ディアッカが仮面の男に尋ねる。
「でも、それだと挟み撃ちにあってこっちが危険になりますよ」
緑色の大人しそうな少年・・・ニコルが述べる。
「ふむ・・・だからといってみすみす足つきとストライクを見逃すわけにはいかないが・・・」
「俺が足つきを追います」
黒い髪の真面目そうな青年・・・アスランが言った。
「俺のイージスなら足つきにも追いつけます・・・それにあのストライクのパイロットは知り合いなんです」
「ほぉ・・・」
「だから、あいつを説得します」
「そう、うまくいくかな?」
「いきます。あいつは・・・あんなのに乗って戦える奴じゃないんだ」
アスランは悲痛な表情でそう呟いた。
「ヘリオポリスがああ、なっている以上、Gが奪取されている可能性は高い」
クワトロがパイロットたちに告げる。
「その性能については一切が明かされていない。だが、対ザフトとして作られている以上、かなりの性能であることは
確かだろうな。それにオーブとの技術提供により造られているというのが気になるな」
「オーブって中立している以外に何かあるんですか?」
「それだけの力を持っているということだ。地球連邦以上の技術力を持っていることだけは確かだ」
「えっ!一国がですか?」
「だからこそ連邦軍も警戒している。その異様さをな」
地球連邦はほぼ地球全土を支配している。言ってみれば地球全土の技術を保有していても可笑しくは無いのだ。
まぁ、スーパーロボットという破格の存在がいるとはいえ。
しかし、オーブに超エネルギーの研究機関など存在しない。
スーパーロボットは存在しないしそれほどの技術を持ちうるとは思えなかった。
しかし、その技術力の高さは裏があるとみても良いだろう。
「(とはいえ・・・それを言えばリガ・ミリティアやあの機体も謎といえば謎だが・・・)」
クワトロは月明かりを受ける白き機体を思い浮かべた。
崩壊したヘリオポリスをバックにアーガマに搭載された機動兵器が展開する。
それに呼応するかのごとくザフトのモビルスーツが発進した。
「アイビス、相手はコーディネイターよ。少しでも油断したら・・・」
「分かってる!」
アルテリオンがプロミネンスを放つ。
「ルクティ、君はアイビスのフォローを頼む。カミーユとラミアは私についてこい」
「了解です」
ルクティオンスは先行するアルテリオンに遅れまいと加速した。
「分かりました」
カミーユのガンダムMk2がビームライフルでジンを狙う。
「私のアンジュルグなら単機でも立ち回れますですが?」
「君をそこまで信用できるほど私は甘い人間ではないのでな」
「納得がいく説明ありがとうございます」
ラミアのアンジュルグの腕から光の槍が発生する。
「なるべく、早めに片付けあの戦艦に追いつきたいところだが・・・」
クワトロのリックディアスがジンの動きを捕らえた。
「はい!」
ルクティオンスがジンの腕を指から発せられるエネルギーカッターで切りつけた。
そして、そのまま戦艦へと近づく。
しかし、ルクティオンスの足元からビームがかすめる。
「!」
咄嗟の回避により被弾を免れるがギリギリのタイミングだった。
「ほぉ、あのタイミングでかわすか。やるな、貴様!」
一機のモビルスーツがルクティオンスに接近しビームサーベルを構えた。
「なっ!」
ルクティオンスはその姿を見て驚く。
形状の違いはあれど・・・その顔に見間違いは無い。二本角と二つの目・・・
「ガンダム!」
ルクティオンスはビームをビームで受け止める。
反発しあうエネルギーが機体を跳ね飛ばそうとするがそれを推力で無理やりねじ伏せた。
「見たことのない機体だな。エゥーゴの新型か・・・?」
「だったらなんです!?」
「ここで消えてもらうまでだ!」
そのガンダム・・・連邦軍が開発した新型モビルスーツ、デュエルガンダムを操るイザークが吼えた。
気合と共にルクティオンスを弾き飛ばす。
「そんな・・・簡単に消えません!」
ルクティオンスは各部スラスターをふかせ一瞬で体制を整えると同時にビームライフルを取り出す。
そして、即座に連射、ビームが無数にデュエルガンダムへと向かう。
だが、それをデュエルガンダムはシールドで防いだ。
「アンチビームコーティング!?」
「その程度のビームなどきかん!」
お返しとばかりにデュエルのビームライフルがルクティオンスを襲う。
しかし、そのビームはルクティオンスの直前でそれた。
「リフレクトフィールド作動」
「Iフィールドか!?」
イザークは射撃が通用しないと判断すると再び接近戦を挑もうとスラスターをふかせる。
「ビームがきかないなら!」
ルクティオンスはビームライフルから実弾兵器であるハイスピードライフルに持ち替えた。
そして、即座に撃つ、撃つ、撃つ!
だが、射出された弾丸は全てデュエルガンダムの装甲にはじかれた。
「利かない!?」
「もらったぁ!」
驚くルクティオンスにデュエルガンダムのビームサーベルが襲い掛かる。
すんでで飛びのくが装甲の一部が斬られた。
「攻撃が・・・きかない。どんな手品なんです!?」
ルクティオンスは実弾が弾かれたことに驚いていた。
確かに装甲が硬いスーパーロボットなら実弾兵器を弾くことも出来るだろう。
だが、相手はモビルスーツだ。そんな規格外の重装甲がなされてるとも合金が使用されているとも思えなかった。
しかし、現に攻撃は弾かれる。
「終わりだ!」
デュエルガンダムのビームサーベルが迫り来る。
ルクティオンスはエネルギーカッターでそれを受け止めるとその反発力をうけてそのまま後方へ飛んだ。
「ビームも実弾も通用しない・・・どうすれば・・・」
ルクティオンスは一旦、あけた距離で計算する。
答えは簡単だ。相手が防げないだけの攻撃を浴びせればいい。
もしくはビームをあの盾で防御されないように当てる。
つまり・・・
「こっちも接近戦!」
ルクティオンスは両の指からビームを展開させる。
デュエルガンダムとルクティオンスが激闘を繰り広げる中、
ディアッカの乗るバスターガンダムとニコルの乗るブリッツガンダムは
カミーユのガンダムMk2とラミアのアンジュルグと戦っていた。
「なんだぁ?あのふざけた機体は?」
「多分、スーパーロボットですよ」
「何でスーパーロボットがエゥーゴにいるの?あいつらは名目だけ地球連邦所属の機体じゃないのかよ!?」
「知りませんよ。そんなこと」
ディアッカとニコルはアンジュルグに驚いていた。
何度か攻撃が当たっているのにも関わらずさほどの損傷はみられない。
それでも厄介なのに機動性も高いのだ当てられるのも的がでかいからというだけに過ぎない。
それで言えばもう一機は更に厄介だ。
「それにあのガンダム・・・こっちの攻撃があたりゃしねぇ」
バスターガンダムが散弾を放つがガンダムMk2はそれを回避しハイパーバズーカを撃つ。
バスターガンダムはそれを回避するも爆発の余波を受ける。
しかし、その程度ではダメージにはならない。バスターガンダムならだが。
もし、ジンなどなら相当に分が悪い。
「まさか・・・アムロ=レイ?」
「はぁ!?あの伝説のニュータイプだったら俺たちは即お陀仏だぜ」
「シミュレーションで勝てる人のほうが圧倒的に少なかったですからね」
「シミュレーションで勝ててたのはアスランだけか」
「それも一回きりでしたけど・・・」
ディアッカとニコルはガンダムMk2に慄いていた。
ジンの発展型シグーがリックディアスと交戦している。
めまぐるしく場所が移り変わり、ビームと実弾の閃光が飛び交う。
それはまるで二機のモビルスーツが踊っているかのような華麗さがあった。
「ほぉ・・・この動き・・・エースパイロットか」
「このパイロット・・・やるな」
それぞれが相応の敵と戦う中で紅い機体が戦場を抜けて飛び出した。
前方に爪のようなものをもった不可思議な形のMA。
白い光の尾をひいてその機体・・・イージスガンダムは逃げたアークエンジェルを追った。
「あいつ・・・」
それをアイビスは目撃しアルテリオンの方向を変える。
「追いかけるつもりなの?」
「アルテリオンのスピードなら追いつける」
アルテリオンは反重力の翼を広げて宇宙を駆け抜けていった。
アークエンジェル格納庫内
「エゥーゴ・・・ですか?」
大人しく優しそうな瞳をした少年・・・キラが横にいる男性に応えた。
「あぁ、何の目的で協力してくれてるかは知らないけどおかげで助かったみたいだな」
軽そうな感じがする男・・・フラガが言う。
「エゥーゴ・・・反地球連邦組織ですよね。やっぱり、敵なんですか?」
「いや、エゥーゴは反地球連邦組織ってことになってるけど実質はティターンズに対するカウンター。
アナハイム・エレクトロニクスと地球連邦軍の一部だからな。俺たちとは敵対することは無いだろ」
「!地球連邦軍なんですか?」
「いや、上層部の誰かが出資してるって話だけどね。実際に連邦と戦闘することは無い。
だけど、エゥーゴも現在は戦力を集めている次期だろうから・・・」
フラガは傍らにたたずむ灰色の機体を見上げた。
それは二本の角と目をもっている。
そう・・・地球連邦軍が対ザフト用にオーブとの協力体制で作り上げた機体。
ガンダムと呼ばれるタイプの機体だった。
「ガンダムを狙ってるってことですか?」
「それよりもガンダムをザフトにとられたくないんじゃないの。これほど高性能な機体はそうそうないしさ」
「結局、ザフトもエゥーゴも戦いたいだけなんですね」
「そういうなよ。どっちも主義主張がある。まぁ、力で対抗するのが正しいとは思わんが」
その時、警報が格納庫を包み込んだ。
空気が一瞬に張り詰め、戦場をかもし出す。
キラとフラガはすぐさまにそれぞれの機体へと飛び移った。
キラはガンダム・・・ストライクガンダムへ
フラガはジムガンバレル装備型へ
イージスガンダムがアークエンジェルへと強襲を駆ける。
それを迎え撃つためにストライクガンダムが出撃した。
イージスガンダムはそれに対しMSへと変形しビームサーベルを抜く。
ストライクガンダムも呼応する形にビームサーベルを構えた。
二つのビームの刃が重なり火花を散らす。
反発するエネルギーを押さえ込み二機がスラスター噴射で押し合った。
出力はほぼ互角・・・
「キラ!それに乗ってるのはキラなんだろ!?」
アスランが近距離通信で問いかける。
「その声はアスラン・・・?」
キラはその言葉を聴き、愕然とした。
燃え盛るヘリオポリスの中、起動の時をまち眠るストライクガンダムの上で
キラとアスラン・・・
かつての親友は再会を果たしていた・・・最悪の形で
キラはヘリオポリスの学生、アスランはザフトの軍人
全く違う道を生きていた二人の道は思わぬ場所で交差した。
そして、キラはストライクガンダムに乗りザフト軍を撃退。
アスランはイージスガンダムを奪って帰還した。
二人の道は相容れぬ平行を歩むこととなる。戦いという・・・
「なんでお前がそんなものに乗っている?」
「それは・・・敵が襲ってきたから・・・これを動かせる力があったから・・・」
「自分がやっていることがわかっているのか?」
アスランは今も戸惑う親友がこの戦いの道に入ってきたことに怒っていた。
アスランの知るキラは戦いなんかには向いていない性格だった。
だから、彼がこれにのり戦っているのに違和感を覚えた。
「こうなったらその機体ごとお前を連れて行く」
アスランはそういうと一旦距離をとってビームライフルを構える。
そんなイージスガンダムを横合いから攻撃が襲った。
「まだ、いたのか」
アスランはそれを回避すると攻撃を行ったものを視る。
そこには連邦軍が量産し使用している一機のモビルスーツがあった。
ジム・・・伝説の名機ガンダムを元に作られた量産機。
性能はお世辞にも良いとは言えない。
だが、それはジムとは違っていた。
背中からコードが延びている。
「インコムか!」
アスランが周りを見回すと四つの物体が浮いていた。
円柱に発射口がついたそれからビームが発射された。
「くっ!」
アスランはそれを回避しつつ撃ち落そうとする。
だが、モビルスーツよりも圧倒的に小さく高速で動き回るそれを落とすことは難しい。
「なにやってんだ。坊主」
フラガがキラへ通信を入れる。
「フラガ大尉・・・」
「敵を目の前にボーっとして、死にたいのか」
フラガはそういいつつジムのビームライフルでイージスガンダムを狙う。
そこに突然、別方向から反応が現れた。
フラガは攻撃をやめてその場からとびのく。
そこにビームが数発、通り抜けた。
「くっ、まだいやがったか?」
フラガは攻撃方向へカメラを向ける。
「増援・・・いや、早すぎる」
アスランは増援にしては早すぎる攻撃に驚いていた。
それもそのはず、それはザフトではない。
三機のハイザックがストライクガンダムに向かって光をひきながら迫る。
「ザク!?」
キラはモニターに写るその顔を見て驚いた。
その顔は一年戦争時にジオン軍が最初に量産し主力としたモビルスーツザクと告示していたからだ。
しかし、それはザクであってザクではない。
ジオンの技術を取り入れ連邦軍が量産した現在のティターンズの主力モビルスーツである。
ビームサーベルがストライクガンダムに向かって振り下ろされる。
それをストライクガンダムはとっさにシールドでそれを防いだ。
ビームはシールドの表面のアンチビームコーティングにはじかれる。
「このっ!」
そして、そのままシールドで弾き飛ばしビームライフルを撃った。
ハイザックはそれをギリギリで回避する。
「かわした」
きわどいタイミングの攻撃をかわすとは目の前のハイザックのパイロットは相当な腕前だ。
そのハイザックはすぐさまにビームライフルで反撃する。
キラはそれをシールドでやりすごし再びビームライフルを放つ。
だが、ハイザックはそれを再び回避した。
射撃戦では分が悪いと判断したキラはストライクガンダムの高い機動性。
背中に装備されている機動性を上げるためにバックパック、エールによる機動性は現状のモビルスーツでも
トップクラスの機動を誇っている。
たかが量産型のハイザックとは比べ物にならないそれで接近戦を挑んだ。
すれ違いザマに一撃、それはヒートホークで防がれるがそれを流すようにしてそのまま通り過ぎる。
そして、即座に旋回すると後方から再び斬りかかった。
だが、ハイザックはそれを最小限の機動で回避する。
「かわした!」
その隙にハイザックのヒートホークがストライクガンダムにたたきつけられる。
ストライクガンダムの機体は大きく揺れるが装甲自体に損傷はほとんど・・・どころか全く無かった。
「この!」
キラはハイザックを弾き飛ばすと一旦距離をとる。
目の前の敵は相手にするには分が悪すぎた。
そこに後方からもう一機の反応が近づいてくる。
ストライクガンダムのモニターにその機体の反応のデータが現れた。
「ヒュッケバイン・・・Mk2?」
キラがモニターに写った名称を読み上げると同時に漆黒の機体が光の刃をかかげて迫る。
ストライクガンダムはそれをビームサーベルで受け止めた。
アスランは突然のティターンズ襲撃に驚いていたが直ぐに対処に移っていた。
味方の戦艦から遠く離れたこの状況で戦闘は自殺行為に等しい。
ザフトのモビルスーツは通常のモビルスーツと違いバッテリーに頼っていた。
核融合炉に必要なヘリウムVを輸送する木星船団を信用していないのと
ナチュラルであるミノフスキー博士が発見したミノフスキー粒子とその理論を使うのを嫌っていることが原因だが
明らかに動力源としてバッテリーは劣っている。
推進剤よりも先にバッテリー切れで動けなくなるからだ。
その代わり核融合炉ほどの危険性とメンテナンスしやすさがうりだが。
ともかく単機というただでさえ危険な状況に三つ巴はもはや戦いとは呼べない。
この中で唯一、単機であるイージスガンダムが即座にターゲットになるのは明白だからだ。
「くそ・・・キラ・・・死ぬなよ」
アスランはイージスガンダムをMAに変形させるとすぐさまに戦線から離脱しようと加速する。
それを逃すまいとハイザックが追跡、攻撃してくるがアスランにとってその攻撃をかわすのはたやすかった。
スピードでMSがMAにかてるはずがない逃走は簡単だろう。
アイビスはイージスガンダムを追いこの宙域までやってきた。
そこでティターンズの介入を確認する。
そして、アイビスは何かを見つめ・・・眉間に力を込めた。
イージスガンダムがアルテリオンの横を通り抜けようとする。
だが、アイビスは何の反応も示さなかった。
「アイビス!?」
その行動にツグミは驚くがアイビスは反応しない。
「・・・今日は負けない!」
アイビスはそう叫ぶとスロットルを押し倒す。
アフターバーナーが燃え上がりアルテリオンが加速した。
ストライクガンダムはヒュッケバインMK2の猛攻とハイザックたちによる攻撃を回避していた。
息もつかせぬ猛攻をギリギリとはいえストライクガンダムは回避していく。
その光景にティターンズたちは息を呑んだ。
まさか、これほどのパイロットが連邦にいまだ存在していたことに。
「くそっ・・・バッテリー残量60%・・・持つのか」
何故かバッテリー搭載型のストライクガンダムの残パワーを見つめキラは焦っていた。
動けなくなったモビルスーツなどただの的。
その前に目の前の敵を倒さなくては・・・
ストライクガンダムは一発のビームを回避すると射撃後の僅かな隙をつきビームライフルを放つ。
ビームの光が流れ、ハイザックを撃ちぬく。
機体は爆発四散し漆黒の宇宙を照らし出した。
だが、射撃後に隙が出来るのは敵だけではないキラはその一瞬の隙をつかれハイザックのビームライフルが足をかすめる。
かすめて済んだのは咄嗟の反応の賜物だ。
出なければ足は完全に吹き飛ばされていただろう。
しかし、ハイザックの行動はかすっただけでも成功していた。
その回避行動は更なる隙を増やすこととなる。
「もらったぁ!」
ヒュッケバインMk2がライトソードを大きく構え気合と共に突進する。
「しまっ・・・!」
いくら、ストライクガンダムの機動性でもこの距離での回避は不可能。
シールドで防ごうにもあの勢いならシールドを弾き懐に潜りこまれてしまう。
どちらにしろ絶体絶命だ。
だが、そこに銀の流星が光の尾を引いて割り込む。
ストライクガンダムをお構いなしに放たれたプロミネンスが二機を巻き込んだ。
だが、爆発の衝撃もストライクガンダムはその装甲・・・フェイズシフト装甲により無効化していく。
しかし、ヒュッケバインMk2はそうはいかない。
通常のモビルスーツよりも装甲が硬いもののそれでも至近弾は確実に機体にダメージを与える。
「この間の借りは返す」
アルテリオンがGGキャノンを放ちつつヒュッケバインMk2に接近する。
ヒュッケバインMk2はそれを腕で防ぎつつ距離をとろうとする。
だが、スピードは完全にアルテリオンが勝っている。
逃れられるはずがなかった。
「くそっ、このダメージでガンダムとアルテリオンを相手にするのは無理だ」
逃れようとするアラドを援護しようとハイザックが近づく。
「いくら、リオンシリーズの最新型だからって!」
ゼオラの叫びと共にビームが放たれていく。
ビームはアルテリオンの装甲をすれすれ通り過ぎる。
だが、余剰エネルギーにより翼が一部溶けバランスを崩した。
「右翼一部破損」
「くっ・・・待たせられるの」
バランスを崩し暴れまわるレバーを握りアイビスは焦った。
ただでさえ高速な機体だ。少しの衝撃でも直ぐバランスを崩しかねない。
「今度は・・・きっちり止めを刺す!」
ヒュッケバインMk2がライトソードを構えアルテリオンに迫る。
制御のために速度を落としたアルテリオンではヒュッケバインMk2からは逃れられない。
「やらせるかぁ!」
先ほどお返しとばかりにストライクガンダムがスラスターをふかせヒュッケバインMk2を弾き飛ばした。
「アラド!」
そして、ヒュッケバインMk2を蹴るとそのままハイザックに迫る。
「回避!」
ゼオラは咄嗟に回避を試みるがストライクガンダムの速度はそれを上回りビームサーベルが
ハイザックの左肩から左足を真っ直ぐに切り裂いた。
「きゃぁ!」
ハイザックは大きく揺れてバランスを崩す。
キラは止めをさそうとビームサーベルを構え・・・
「チャクラムシューター!」
振動ワイヤーにより繋がれたチャクラムがストライクガンダムの腕を捕らえる。
しかし、物理的衝撃を無効化するフェイズシフト装甲の前にそれは意味を成さなかった。
しかし、捕らえられる物質であることは変わらない。
ヒュッケバインMk2はストライクガンダムを思い切り引っ張った。
「うわぁ!」
ストライクガンダムはヒュッケバインMk2に手繰り寄せられる。
「この」
ストライクガンダムは向き直ると頭部のイーゲルシュテルン・・・バルカン砲を放った。
その弾丸はヒュッケバインMk2の腕部を破壊しワイヤーを切る。
「このやろう!」
フォトンライフルが光弾を放つがストライクガンダムはそれを回避する。
大きく動いたストライクガンダムの横をヒュッケバインMk2は射撃を続けつつハイザックへと近づいた。
「ゼオラ!」
そして、傷つき漂うハイザックに呼びかける。
だが、返事は返ってこない。
どうやら気絶しているようだ。
「あのパイロット・・・仲間を護るために・・・」
キラはあのあまりにも必死な攻撃を思い出し愕然とする。
相手も同じ・・・失いたくないものがある・・・そんな当たり前のことを感じていた。
「坊主!」
「フラガ大尉!?」
「何機か抜けられちまった」
「分かりました。アークエンジェルに向かいます!」
キラは最優先にアークエンジェルの護衛に戻るべきと判断しその場から離脱していく。
「あいつ・・・俺を見逃したのか・・・?」
アラドは去っていくストライクガンダムを見つめ呟いた。
しかし、彼を見逃そうとしないものがいた。
ヒュッケバインMk2の右肩を高速で何かがえぐった。
「うわっ!」
アラドがレーダーを見る。
そこには白銀に塗装された一機の戦闘機がいた。
「アイビス、なるべく壊さないようにね。あれは重要な機体なんだから」
「そんな簡単に出来るわけないでしょ」
アイビスは余裕のない声で答える。
破損状況はアルテリオンに分があろうとも開いてはHシリーズ。
油断などしていい相手ではない。
「まだ持つかMk2?・・・ちょっと無茶に付き合ってもらうぜ!」
既に両の腕は失われている。
残る武装は頭部バルカン砲のみ。
だが、逃げることは許されなかった。
なぜなら背中には彼女が・・・ゼオラがいるから・・・
護らなければならないものがいるから・・・
キラはアークエンジェルに攻撃を仕掛けるハイザックを撃ち落していく。
残りのエネルギーはレッドゾーンに突入している。
これ以上、時間をかけることは出来ない。
しかし、ここにきて最も厄介な敵がいた。
マラサイ・・・次期ティターンズ量産型モビルスーツ。
それを操るはこの部隊の隊長、ヤザン。
その動きは通常のティターンズとは一線を画していた。
フラガの攻撃を次々に回避し、ガンバレルすらもかわしている。
「ガンバレル・・・エンディミオンの鷹か」
「この動き・・・ティターンズのヤザン大尉か」
二人はお互いにそれなりに名の知れるエースとして激戦を繰り広げていた。
そこにストライクが割り込む。
「大丈夫ですか。フラガ大尉?」
「坊主、ナイスタイミングだ」
フラガは頼れる増援の出現に喜ぶ。
「ほぉ・・・それがGか・・・少しは骨のある奴なんだろうな」
ヤザンのマラサイがストライクガンダムに向かって猛攻をかける。
キラは最初、それを回避するが次第に逃げ場所をふさがれ追い詰められていく。
「なんだ・・・OSが対処しきれない・・・」
ランダム・・・と呼ぶよりも不規則で効果的な攻撃を繰り返すヤザンにキラは次第に追い込まれる。
ビームをシールドで弾きライフルを撃つがヤザンは回避し接近してくる。
機動性ではストライクガンダムが勝るもののそれをヤザンは技術で押してきた。
「くっ・・・これがエースパイロット・・・」
キラは機体ごしから発せられる威圧感に恐怖を感じていた。
「坊主!」
ガンバレルがマラサイを狙いビームを撃つ。
「ちっ、邪魔するな」
ヤザンは舌打ちをしつつ回避する。
迫れた距離は0に戻る。
「トロトロ動くな。死にたいのか!?」
フラガが叱咤するとガンバレルがマラサイを取り囲む。
「二機、相手じゃ分が悪すぎるか」
ヤザンは戦況の不利を悟ると撤退を開始する。
それを追おうとキラはするがフラガはそれを静止した。
「止めておけ、罠かもしれない」
「・・そうですね」
キラとフラガはアークエンジェルへと帰還する。
「どうやら、持ちこたえたようね」
マリューはシートに深く座り安堵の息を漏らした。
ザフト、ティターンズという二つの組織の攻撃を相手に生き残れたのは奇跡と言ってもいい。
もし、あそこでエゥーゴが支援しなければどちらかの組織にやられていたはずだ。
「そういえば、あのエゥーゴの戦艦は・・?」
「アーガマですか。どうやら、こちらに向かってきているようですね」
「助けてもらったお礼は言いたいけれど。エゥーゴもGを狙っているなら逃げたほうがいいわね」
「・・・逃げられたら・・・ですがね」
その言葉が示すようにアークエンジェルの前にアルテリオンが立ち塞がった。
「ストライクとジムを・・・」
「後方よりアーガマ接近・・・通信を求めています」
「・・・通信回線、開いて」
「私はアーガマの艦長ヘンケンだ」
アークエンジェルのモニターにヘンケンが顔が映し出される。
「アークエンジェル艦長、マリュー=ラミアスです」
「こちらに交戦の意思はない」
「それをどう信じろと?」
「ふむ・・・では、こちらから少しの補給物資を送ろう」
「エゥーゴであるあなたたちが何故、そのようなことを?」
「我々が敵対しているのはティターンズだけだ。それ以外の連邦軍と争う気はない。
それに貴艦が積んでいるGは対ザフトの切り札だ。それをザフトやティターンズに奪われるのだけはさけたい」
「・・・わかりました。こちらも物資が不足していたところです」
マリューはアーガマからの援助を受けることを容認した。
しかし、完全には信じきってはいない。
エゥーゴは反地球連邦組織として戦いをしかけているものだ。信用しきれるはずもなかった。
「エゥーゴのモビルスーツが入ってくる?」
キラがそれを聞いて怪訝な表情をする。
「何でもこっちに物資を分けてくれるんだとさ。どんな魂胆があるかは分からないが。
正直助かる。こっちはヘリオポリスから大急ぎで逃げ出したからな、物資が圧倒的に不足してるんだ」
「・・・そうですね」
「悪い、嫌なことを思い出させちまったな」
「いえ・・・」
キラは崩壊するヘリオポリス・・・自分が住んでいたコロニーを思い出した。
自分が生活していた場所の崩壊。
それは心に傷を与えるには十分な衝撃だった。
ガンダムMk2とルクティオンスがアークエンジェルの格納庫へと入ってくる。
その手にはコンテナが持たれていた。
武装は全て外されており交戦意思がないことを示している。
その機体を見て整備員は驚きの声を上げていた。
まさか、ガンダムタイプのモビルスーツが来るとは思っていなかったからだ。
更にはモビルスーツとは違う形状をする機体。
彼らは興味を示しずっと眺めている。
キラもその姿を見上げていた。
この先、自分がどれほどまでに過酷な道をたどるのかも知らず。
次回予告
アーガマとアークエンジェルは一時的な協力関係をとりルナツーを目指していた。
その途中、ザフトの戦争の原因となった30番地コロニーに通りかかる。
そこで彼らは死神と歌姫に出会うこととなる。
そして、宇宙を騒がすもう一つの要因との遭遇。
次回
スーパーロボット大戦〜OVER THE GOD〜
第四部 宇宙混沌編
第五話 癒えぬ傷跡
機械の心は人に何をもたらすのか・・・?