スーパーロボット大戦

〜OVER THE GOD〜

第四章         宇宙混沌編

第五話 癒えぬ傷跡

 

アークエンジェルとアーガマはそのまま行動を共にしていた。

一応、護衛と言っていたが戦艦であるアーガマがそんな慈善行動をとるはずもない。

「我々はこのままアークエンジェルと共にステルヴィアを目指す」

クワトロのその言葉に一同はざわめいた。

「ステルヴィアというと・・・あのイージス計画の主軸となったファウンデーションのことですか?」

カミーユの問いにクワトロが頷く。

「でも、あそこは宇宙パイロット訓練学校では?」

ツグミの記憶どおりならあそこは基本的に軍事施設ではなく教育機関だ。

イージス計画も終わったが宇宙開発のために現在も学生たちが勉学に励んでいる。

「あぁ、だがあそこの責任者はエゥーゴの協力者でね。何かとお世話になっているんだ」

「それにルナツーにいくにもあそこは丁度、いい位置にある。補給をすませるにはな」

 

「ステルヴィアですか!?」

そのことはアークエンジェルにも伝わっていた。

アーガマの補給物資だけでは心もとなかったアークエンジェルとしてもその申し入れはありがたかった。

それにステルヴィアなら安心できる。少なくとも罠は無いと思う。

「そうだけど・・・何か知ってるの?」

マリューはキラの驚き方に何かを感じ尋ねる。

「知ってるって言うか・・・前にちょっと行ったことがあるんです」

「ステルヴィアにか?なんでまた?」

その会話にフラガが加わる。

「イージス計画の時に手伝いで。とはいっても裏方なんですけど」

「イージス計画手伝ってたのか。オレもあの時はパイロットとして参加してたんだぜ」

「そうだったんですか」

エースパイロットであるフラガが参加していても不思議は無い。

「とりあえずそういうことだから。キラくんにはそれまでまだ、ストライクに乗っていて欲しいのよ」

「・・・わかりました。仕方ないですからね」

キラは少し不機嫌そうに呟いた。

 

二つの船はそのまま、一つのポイントにさしかかった。

「ここに何かあるんですか?」

カミーユがクワトロに尋ねる。

目の前には一つのコロニーが浮いていた。

そのコロニーに生命感は無く、中に人の姿は無い。

廃棄されたコロニーだった。

「そうか・・・30バンチ事件を知らないんだな」

「30バンチ・・・事件ですか?」

「あぁ、昔・・・といってもそんなにたってないがあそこで反地球連邦の活動が活発だった。

ナチュラル、コーディネイターとわずにな。

それで狙われたのだ・・・ティターンズにな」

「ティターンズ・・・ですか?」

「あぁ、反地球連邦運動とコーディネイター・・・二つに対するあてつけとしてあのコロニーには毒ガスが流された」

カミーユはその言葉に絶句した。

たった、それだけのことで命を・・・一つのコロニーごと奪ったというのか・・・

「そのおかげで更に反地球連邦運動は活発になり、コーディネイターとの確執は完全なものとなった。

イージス計画という地球存亡をかけた大事が終わりそれが顕著に現れているわけだが」

ザフトとの戦争、エゥーゴの決起、ザンスカール帝国の建国・・・

地球連邦はそのことにより一気に敵を作り上げ、自分の首を締め上げることとなった。

「・・・かわいそう」

ルクティはコロニーを眺めながら呟いた。

「ティターンズのやり方は常軌を逸している。このまま、野放しにはしておけない」

「分かっています。だから、戦っているんです」

ルクティはそういって再びコロニーに視線を向ける。

まるでそこは悲しみに満ちた魂が満ちているようだった。

 

「ザフトの船?」

ストライクにのったキラが問い返した。

「えぇ、コロニーの近くに・・・単艦みたいだけど・・・」

「どうするんですか?」

「出来ればやり過ごすつもりだけど・・・見つかったら戦うしかないから外で待機してて」

「わかりました」

ストライクが外にでると既にルクティオンスが外で待機していた。

「あっキラくん」

「ルクティ・・・さんでしたっけ」

「さん、はいらないよ」

「はぁ・・・だったら僕も呼び捨てでいいですよ」

「そう、じゃ、キラ。一緒に頑張ろう」

「頑張るって・・・何をです」

「戦わないこと」

「・・・そうですね」

キラはルクティのその言葉に素直に感心した。

 

 

その宙域には亡霊がさまよっている。

そう感じずにはいられないほどに冷たい何かが流れていた。

ニュータイプたちに言わせれば宇宙は人の意思が渦巻いているという。

だから、幽霊がいたって不思議は無いのかもしれない。

だが、亡霊が何かをなすわけがない。

悲しき思いを絶てずに彷徨うなら癒してあげることは出来ないだろうか・・・

 

歌声が宇宙に響く

それは空気の振動ではなく心に震えるように広がっていった。

優しき歌声の主は歌姫。

ザフトの最高評議会の一人、クラインの一人娘、ラクス=クライン。

彼女はこの地で何を想い歌を歌うのか・・・

 

「目標発見・・・慰霊船団・・・コーディネイターでも幽霊とか信じるのかね」

少年が歌姫の乗る船を確認し呟いた。

漆黒の闇に瞳が灯る。

それは黒い機動兵器であった。

その手には光り輝く刃をもった鎌を携えていた。

それはまるで死神・・・

「だが、ここにいるのは亡霊だけじゃない・・・もっと恐ろしい死神だっているのさ」

 

 

「爆発!?」

ルクティはセンサーの反応に驚きの声を上げる。

「戦争・・・なのか?」

キラもそれに気づき呟いた。

また、戦いが始まる。

そうすればこの手の中にある力を振るわなければならない。

ガンダムという名の・・・

「どうやら、ザフトの船が正体不明のMSの攻撃を受けてるみたい」

ルクティオンスがそういうと脱出艇が一隻、こちらへむかって飛んでくる。

その横をジンが一機、護衛として飛んでいる。

「ザフト・・・の」

「どうしよう・・・クワトロ大尉の指示を仰いだほうが・・・」

ルクティオンスは自己判断が出来ずに慌てふためいている。

「・・・助けよう」

キラは一人、そう決めて呟いた。

「はい・・・?」

「逃げてる人を黙って見殺しになんて出来ない」

「でも・・・ザフトですよ。敵なんですよ」

「それでも・・・同じ人じゃないか。コーディネイターだから見殺しにするっていうのか?」

「それは・・・」

ルクティはAI、ナチュラルとコーディネイターという差別意識は無い。

しかし、ザフトは敵として入力されている。

それを拒否するなど・・・

「僕は・・・そんなことできない」

ストライクはその脱出艇に向かっていった。

ルクティは何も言えず、止めることも出来ずそれを見ているしかなかった。

 

「死ぬぜぇ・・・俺の姿を見た奴は皆、死んじまうぞぉ」

突然、ジンが真っ二つに切り裂かれ爆発した。

キラはその突然に困惑する。

レーダーに反応は無い。

しかし、それは現実に起こったのだ。

MSを撃破できる兵器。それは確実にそこにいる。

「何処だ・・・何処に・・」

キラはあたりを見回す。

だが、宇宙は静寂に包まれている。

「危ない!」

叫び声と共に衝撃音。

キラはそれに反応して振り向くとそこには黒いMSがいた。

その手にはビームで出来た鎌を持ち、今、まさにそれは振り下ろされようとしていた。

「なっ!」

ストライクはすぐさま飛びのきその一撃を回避する。

だが、さっきの声が無ければ・・・

「気をつけてください。その機体、凄いジャマーでレーダーに反応しません」

ルクティオンスがミサイルを撃つが出鱈目な方向に飛んでいく。

「だったら!」

ストライクはビームサーベルを抜くと黒い機体に斬りかかる。

ビームとビームが激突し、火花を散らす。

「おっと・・・流石にガンダム。量産型とは比べ物にならないパワーだな」

黒い機体のパイロットが呟いた。

火花の先に映る顔。

それにキラは驚愕する。

二本の角と二つの瞳・・・その顔は紛れも無くガンダムであった。

「なっ・・・こいつもガンダムなのか?」

見たことの無いガンダム。

ストライクを初めとするGやティターンズのガンダムとも違う。

「連邦軍のG・・・ストライク。残念だがコロニーの脅威になるまえに消えてもらうぜ」

黒いガンダム・・・ガンダムデスサイズはストライクガンダムを吹き飛ばす。

「うわっ!」

「オラオラァ!死神様のお通りだ!」

振るわれるビームサイズをシールドで防ぐが腕ごと弾かれる。

「パワー負けしてる!?」

「どうやら、白兵戦ならこっちに分があるみたいだな」

デスサイズがそのまま止めを刺そうとするが横からビームが降り注ぎ、すぐさまに離脱する。

「やらせません!」

「ちっ、そういやもう一機、いたんだったな」

デスサイズはルクティオンスにシールドを向けると射出する。

「えっ!?」

ルクティオンスはおなかを貫かれ、爆発の衝撃で吹き飛ばされた。

「ルクティ!」

キラが叫ぶ横でデスサイズが肉薄する。

「仲間の後を追いな!」

「くっ!」

キラはスロットルを一気に入れるとストライクを加速させる。

エール装備のストライクはギリギリでビームサイズをかわす。

「かわした!」

デスサイズのパイロット。

デュオはストライクの加速に目を疑った。

あの速度・・・現存するMSのトップクラス。

「エールの機動性なら・・・」

ストライクは旋回すると即座にビームライフルを撃つ。

デスサイズは回避を行うが一発が足を撃ちぬく。

「ちぃ・・・」

飛び道具を持たないデスサイズはバルカンで牽制するがフェイズシフト装甲を持つストライクには通用しない。

「あたれぇ!」

ビームがデスサイズの右腕を貫く。

「ちっ・・・ストライク・・・ここまでの力とはな・・・むしろ、パイロットのほうか」

デュオはこのままでは不利だと判断すると一気に宙域を離脱しようとする。

「逃げるのか・・・」

キラは離脱を開始したデスサイズを見送った。

戦わずに済むというのならそのほうがいい。

そう思ったキラは追わずにそのまま、脱出艇へと向かった。

 

アーガマ

ルクティオンスはボロボロとなったボディの修理を受けていた。

デスサイズの一撃は確実にルクティオンスを傷つけていた。

「こりゃ・・・専用の施設で修理しないと完全には治せませんね」

ハーディスはルクティオンスの損傷を見ていった。

騙し騙しの機動ならば出来るだろうが完璧にするには戦艦では難しい。

「そうか・・・ステルヴィアで修理が出来ればいいのだが」

クワトロは応急処置を受けるルクティオンスを見て呟く。

「完全なワンオフ機ですからね。僕のラボにいければいいんですけど」

「それは難しいな。これからの作戦行動もある」

「ですよね・・・まぁ、補給物資さえ届けばどうにかいけると思うんで」

「彼女は貴重な戦力だからな。失うわけにはいかない」

「ありがとうございます」

「なに、本当のことを言ったまでだ」

 

アークエンジェル

キラが救出した脱出艇の中にはザフトの歌姫ラクス=クラインが乗っていた。

そのことにより艦内の空気が変わる。

異質なもの・・・コーディネイターに対しての偏見はここでも根付いていた。

キラはまだ、皆を護るために戦っているからいいが、ラクスは敵側に属するもの。

明らかに彼女に対する空気は異質だった。

キラは思い悩んだ挙句、彼女の軟禁されている部屋を訪ねる。

「あの・・・はいります」

ドアを開けてキラが部屋に入るとそこではラクスとルクティが談笑していた。

「あっ、キラだ」

「あぁ、先ほどはどうも。ありがとうございます」

ラクスがキラに丁寧にお辞儀をする。

キラは慣れていないのか少し戸惑っていた。

「いえ、そんな・・・」

「そうそう、キラ凄かったね。あのガンダムを倒すなんて。さすがはガンダムのパイロット」

「あら、キラはガンダムに乗っているのですか?」

「ガンダムって言っても外見の特徴を似せた別のモビルスーツですけど」

「それでもガンダムには変わりないでしょう。凄いですわね」

ラクスは素直に感心していた。

一般的にガンダムは伝説のモビルスーツ。

乗っていればそれだけでまるでエースである。

実際にキラはエース並みの活躍を見せているわけだが。

「それより、ルクティ。何故、君がこっちに?機体はアーガマに運ばれたはずだけど」

既にルクティがAIでネットワーク上を移動できるのはアークエンジェルでも知れ渡っていた。

何せ補給物資を運んだ際にそのまま、アークエンジェル内、全ての人に自己紹介したからだ。

「あぁ、体は動きそうにもないんで意識だけは運んでもらってるときにストライクに隠れてたんです」

「そんなことも出来るのか」

その言葉にキラは絶句する。

プロテクトがかけられてるはずのモビルスーツに進入するなど。

キラですら全く見抜けないとは。

「別にOSの書き換えとかそういうことは出来ませんけど意識を移すだけなら」

「なんか・・・まるで幽霊みたいだな」

ルクティの言ってることが本当ならそれはプログラムの範疇を超えている。

大本であるボディを介さずにこんなことが出来るなどまるで魂が一人歩きしているようだ。

「それじゃルクティに失礼ですわよ」

ラクスがキラの言葉をたしなめる。

「あっ・・・ごめん」

「生霊って言ってあげませんと」

キラはそれもどうかと心で思った。

「どっちでもいいですよ。ねぇ、ハロ」

「ナンデヤネン!」

ルクティが話しかけると突然、小さな球体状のロボットが飛び跳ねる。

「うわっ・・・は、ハロ!?」

「あら、ハロを知っているのですか?」

「はい、僕の友達が昔作ってたのを」

「もしかして、アスラン?アスラン=ザラ」

「知っているんですか?」

「私の婚約者ですわ」

その言葉にキラは絶句した。

 

「つまり、キラ=ヤマトの友人であるアスラン=ザラはラクス=クラインの婚約者。ザフト最高評議会議長の息子でイージスのパイロットというわけか」

クワトロがルクティの話を聞いて要点を纏める。

カミーユは良くあの支離滅裂で脱線しまくりの話を良く纏めたと尊敬のまなざしで眺めた。

「らしいですね」

「ですけど・・・大丈夫なんですか?そのキラって奴にストライクを任せていて」

カミーユがクワトロに尋ねる。

その言葉にはキラに対して何かしらのトゲをはらんでいた。

「コーディネイターは信じられないかね」

「いえ・・・そういうわけじゃありませんけど・・・友人と命の取り合いが出来るのかと思っただけです」

「そうだな・・・彼には酷なことになるが・・・現状、ストライクを操れるのは彼だけなのだよ」

「なんでです?」

今度はルクティが尋ねた。

「マリュー艦長の話によるとストライクのOSはキラくんの最適化によりようやく動かせるものらしい。

余りにも高性能化を目指しすぎて常人では制御できなくなっているようだ」

「流石はコーディネイターってところね」

アイビスはトゲを隠す様子も無く呟いた。

「つまり、ストライクには彼を乗せるしかないと」

「そういうことだ」

クワトロはそういうがルクティは余りいい気持ちではなかった。

友達同士が命をかけて戦うこともそうだが、自分の仲間もコーディネイターに対して差別とはいかないが偏見を持っている。

それがルクティにはたまらなく嫌だった。

他とを違うのを排他するのであればルクティこそ最も顕著にそれにあてはまる。

 

 

医務室

そこでアラド=バランガは眠っていた。

前回の戦闘・・・アークエンジェル襲撃のさいにアルテリオンに撃破されヒュッケバインMk2ごとつれてこられたのだ。

生存していたのは偶然。アラドが非常に頑丈だったからに他ならない。

命に別状がないものの。今も眠り続けていた。

「こいつがヒュッケバインMk2のパイロット・・・」

ラミアはしまりのない顔で眠りこけるアラドの顔を覗き込んだ。

「ヒュッケバインMk2のパイロットはサイコドライバーだったはず・・・だが、間違いなくこいつではない。

こんなところでも差が生じているのか・・・では、一体、サイコドライバーは何処に・・・」

ラミアは独り言を呟くとそのまま、医務室を後にした。

「サイコ・・・ドライバー・・・」

医務室の端末に潜り込んでいたルクティはその単語を反芻した。

とても聞き覚えがあるような気がする。

しかし、思い出せない・・・

そのうちに考えるのをやめて体へと戻っていった。

 

 

アーガマとアークエンジェルは問題を抱えつつステルヴィアへとたどり着こうとしていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

ステルヴィアへとたどり着いたアーガマとアークエンジェル。

キラはそこでシマたちと再会する。

突如、現れるナデシコ。そして、木星トカゲ。

混乱する戦場の中でルクティに銃口が向けられる。

次回

スーパーロボット大戦〜OVER THE GOD〜
第四章      宇宙混沌編

第六話 復讐の銃口

機械の心は人に何をもたらすのか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インターミション

ルクティ:遂に始まりました。私たちの時間、インターミションで〜す。

キラ:ず、随分と元気だね

ルクティ:まぁ、本編はほとんど進んでないアンド短いという体たらくぶりですからね。ここで元気を発散させておかないと

カミーユ:確かに短かったからな。というかこの話を独立で存在させてる意味がわからないんだが

キラ:一応、僕とラクスの出会いとデュオの登場で重要なことはあるんだけどね

ルクティ:まぁ、どっちも本編的にはさほど重要じゃないですけど

キラ:そうなの?

ルクティ:残念ですけどね。でも、SEEDは重要な位置にいるんでキラさんは目立ちますよ

キラ:だったらいいや

カミーユ:いいのか・・・

ルクティ:まぁ、でも原作とはほとんど違った感じになると思いますけどね

キラ:例えば?

ルクティ:いっちゃっていいんですかねぇ・・・一応、予定ではキラさんはずっとこの章登場で地上にはいかないんですよ

キラ:それじゃあ、バルドフェルトさんは?

ルクティ:さぁ?

キラ:さぁって、それじゃエターナルの副長は誰がやるんですか?

ルクティ:いなくても別にいいんじゃないですかね?

キラ:・・・かわいそうな。バルドフェルトさん・・・

ルクティ:それじゃ、次回で〜